*どの質問もyoutubeのコメント欄で公開しているものです。
*おおまかな分野にわけていますが、基本的に順不同です。
*質問文に不正確な用語が使われていることもありますが、それを見た他の生徒が、よりリアルに質問者とモヤモヤを共有できると考え、そのままにしてあります(一部は修正しました)。
*僕の答えに対して「用語の定義があやしい!そういう用語の使い方は一般的ではない!」「不正確だ!例外もある!」などという意見もあることでしょう。その場合はご自身のノートに正しく修正していただき、学習に役立ててください。
*大学内容の質問が多いです。入試では差がつかないような部分ですが、学問の面白いところはこういうところです。ぜひ好奇心に水をやりながら学習に励んでください。
*2020年5月にこれを見ている学生は、本当につらい生活を送っていることでしょう。でも負けないで。若い人々が困難に打ち勝ってきたから生物学の今があるのです。生物学の進歩が速い、などとよく言われますが、それは別に簡単な学問だからというわけではありません。あなた方のような力強い若者が、生命に秘められた真理の輝きを求めて、昼夜を問わず必死に研究してきたから、ここまで生物学が急速に発展したのです。どうか心身の健康に気を付けて、頑張ってください。応援しています。
講義動画はこちら
●細胞・代謝について
Q.呼吸でエネルギーを放出しますが、エネルギーって例えばどんなものですか?イメージができなくて。また光合成についても同じように具体例を示してもらいたいです🙇
A.正直に話せば、実は非常に奥深い話で、エネルギーという抽象概念は、目に見えるものではないのです。 我々がエネルギーと名付ける「量」が、この宇宙に存在すると仮定した場合に、実生活レベルでは、その総量が変化しないらしいことを人類は発見しました(エネルギー保存則)。高校ではその奥深さは習いませんが、このエネルギーという概念の発見は科学史の中でも最大の発見のひとつです。 呼吸も光合成も、一発の化学反応ではなく、たくさんの反応、たくさんのタンパク質、酵素が関わっています。ひとつひとつの反応を見ていくと高校範囲を超えて煩雑になってしまうので、大きく呼吸と光合成を見ることにします。 呼吸反応の基質であるグルコースは、呼吸によって分解され、二酸化炭素や水になります。ここで、グルコース(反応前の物質)と二酸化炭素や水(反応後にできる生成物)に含まれるエネルギーを比べてみると、生成物の方が含まれるエネルギーがグッと減っているのです(あまり正確な言い方ではありませんが、高校生物ではこのように考えておきましょう)。 じゃあグルコースの持っていたエネルギーはどこにいっちゃったかというと、ATPの合成に使われているのです。 ADPとリン酸は、ATPよりも低いエネルギーを持ちます。つまり、ADPとリン酸だけあっても、エネルギーが外部から投入されない限り、勝手にATPにはならないのです。 (ばね仕掛けのピストルのオモチャに、弾をセットするイメージです。ピストルのオモチャと弾が転がっていても勝手に弾はセットされません。外からグッと力を入れてバネを縮めてセットしないと、つまり、外からエネルギーを投入してあげないと、ピストルに弾はセットされません) そこで、グルコースから奪った(取り出した)エネルギーで、ADPとリン酸をくっつけて、ATPを合成しているのです(ATPは生命活動を推し進めるお金のような働きを持っています。地球上の全ての生き物はATPを合成、分解しながら動いています)。これが呼吸という反応の実態です。 電池でオモチャを動かす場合、電池に蓄えられていたエネルギーが失われ、そのエネルギーによってオモチャが運動エネルギーを得た、などと中学校で習いますね。 同じように、グルコースの中のエネルギーが失われて(その過程でグルコースは崩壊します)、そのエネルギーを用いてATPが合成されているのです。以上を、教科書では、「呼吸によってグルコースが分解され、エネルギーが放出される。そのエネルギーでATPが合成される」などと表現しています。その実態は、ある物質を低レベルのエネルギー状態に変化させるかわりに、別の高エネルギー物質を生成している、という一連の反応なんです。 水力発電によくたとえられます。水が上から下に落ちると、水の位置エネルギーが失われますが、その代わりにモーターが運動エネルギーを得るでしょう。あちらを下げてこちらを上げる、面白いことに、こんなことを細胞は何故かひたすら繰り返しているのです。 よく高校生からエネルギーってどんな物ですか?と聞かれるのですが、エネルギーが目に見える形で、漫画みたいに飛び出しているという訳ではないのですね。 光合成でも、反応の方向は大きく逆に見えますが、同じ原理に従っています。 光エネルギーを用いて、ADPとリン酸からATPを合成します(この詳しいしくみは難しいので生物基礎では習いません。たくさんのタンパク質や光合成色素が電子のやり取りをする反応です。今は気にしなくて大丈夫です)。そのATPを分解し、再び低エネルギー物質(ADPとリン酸)に変えながら二酸化炭素や水からグルコースを合成しているのです。 (たとえば、ジェンガって勝手に組み立たないじゃないですか。組み立てるには、人の持つエネルギーが必要です。だからジェンガを組み立てたら少し疲れるんですね。これは我々のエネルギーが、ジェンガに蓄えられたと言ってもいい。同じように、二酸化炭素と水から勝手にグルコースは合成されないんです。二酸化炭素と水なんていう単純極まりない低エネルギー物質から、グルコースという複雑な高エネルギー物質を作るには、誰かの手間、労力が必要です。つまりどこか別の場所から、エネルギーを持ってこなくてはいけないんです) 植物はこのグルコースをまるで自分の貯蓄食糧のように細胞に貯めておくのですね。 本当はこの内容は正確に説明すると大学範囲になってしまい、自由エネルギーとかエントロピーとか考えなくてはいけないんですが、大学に入って必要になったら学べばよいです。今は、そんなもんか、で大丈夫です。物理学的な背景は問われません。面白いのですけどね。
Q.医療系の仕事をしています。
生物、化学は医療の基礎、基本なので復習するに当たりつまづいていた分野のためとても分かりやすい動画ありがとうございます。質問ですが、 この解糖系、クエン酸回路、電子伝達系の仕組みは人間の60兆個の細胞全てで行われているのですか?
Q.質問なのですが、
教科書の電子伝達系の反応式では左辺に10H+がありました。これは今までの動画(解糖系、クエン酸回路の動画)でNADHの外にいたH+のことですか? 解糖系とクエン酸回路の動画にはいたのに、今回の動画には書いてなかったので不思議に思いました。
●細胞・代謝について
Q.呼吸でエネルギーを放出しますが、エネルギーって例えばどんなものですか?イメージができなくて。また光合成についても同じように具体例を示してもらいたいです🙇
A.正直に話せば、実は非常に奥深い話で、エネルギーという抽象概念は、目に見えるものではないのです。 我々がエネルギーと名付ける「量」が、この宇宙に存在すると仮定した場合に、実生活レベルでは、その総量が変化しないらしいことを人類は発見しました(エネルギー保存則)。高校ではその奥深さは習いませんが、このエネルギーという概念の発見は科学史の中でも最大の発見のひとつです。 呼吸も光合成も、一発の化学反応ではなく、たくさんの反応、たくさんのタンパク質、酵素が関わっています。ひとつひとつの反応を見ていくと高校範囲を超えて煩雑になってしまうので、大きく呼吸と光合成を見ることにします。 呼吸反応の基質であるグルコースは、呼吸によって分解され、二酸化炭素や水になります。ここで、グルコース(反応前の物質)と二酸化炭素や水(反応後にできる生成物)に含まれるエネルギーを比べてみると、生成物の方が含まれるエネルギーがグッと減っているのです(あまり正確な言い方ではありませんが、高校生物ではこのように考えておきましょう)。 じゃあグルコースの持っていたエネルギーはどこにいっちゃったかというと、ATPの合成に使われているのです。 ADPとリン酸は、ATPよりも低いエネルギーを持ちます。つまり、ADPとリン酸だけあっても、エネルギーが外部から投入されない限り、勝手にATPにはならないのです。 (ばね仕掛けのピストルのオモチャに、弾をセットするイメージです。ピストルのオモチャと弾が転がっていても勝手に弾はセットされません。外からグッと力を入れてバネを縮めてセットしないと、つまり、外からエネルギーを投入してあげないと、ピストルに弾はセットされません) そこで、グルコースから奪った(取り出した)エネルギーで、ADPとリン酸をくっつけて、ATPを合成しているのです(ATPは生命活動を推し進めるお金のような働きを持っています。地球上の全ての生き物はATPを合成、分解しながら動いています)。これが呼吸という反応の実態です。 電池でオモチャを動かす場合、電池に蓄えられていたエネルギーが失われ、そのエネルギーによってオモチャが運動エネルギーを得た、などと中学校で習いますね。 同じように、グルコースの中のエネルギーが失われて(その過程でグルコースは崩壊します)、そのエネルギーを用いてATPが合成されているのです。以上を、教科書では、「呼吸によってグルコースが分解され、エネルギーが放出される。そのエネルギーでATPが合成される」などと表現しています。その実態は、ある物質を低レベルのエネルギー状態に変化させるかわりに、別の高エネルギー物質を生成している、という一連の反応なんです。 水力発電によくたとえられます。水が上から下に落ちると、水の位置エネルギーが失われますが、その代わりにモーターが運動エネルギーを得るでしょう。あちらを下げてこちらを上げる、面白いことに、こんなことを細胞は何故かひたすら繰り返しているのです。 よく高校生からエネルギーってどんな物ですか?と聞かれるのですが、エネルギーが目に見える形で、漫画みたいに飛び出しているという訳ではないのですね。 光合成でも、反応の方向は大きく逆に見えますが、同じ原理に従っています。 光エネルギーを用いて、ADPとリン酸からATPを合成します(この詳しいしくみは難しいので生物基礎では習いません。たくさんのタンパク質や光合成色素が電子のやり取りをする反応です。今は気にしなくて大丈夫です)。そのATPを分解し、再び低エネルギー物質(ADPとリン酸)に変えながら二酸化炭素や水からグルコースを合成しているのです。 (たとえば、ジェンガって勝手に組み立たないじゃないですか。組み立てるには、人の持つエネルギーが必要です。だからジェンガを組み立てたら少し疲れるんですね。これは我々のエネルギーが、ジェンガに蓄えられたと言ってもいい。同じように、二酸化炭素と水から勝手にグルコースは合成されないんです。二酸化炭素と水なんていう単純極まりない低エネルギー物質から、グルコースという複雑な高エネルギー物質を作るには、誰かの手間、労力が必要です。つまりどこか別の場所から、エネルギーを持ってこなくてはいけないんです) 植物はこのグルコースをまるで自分の貯蓄食糧のように細胞に貯めておくのですね。 本当はこの内容は正確に説明すると大学範囲になってしまい、自由エネルギーとかエントロピーとか考えなくてはいけないんですが、大学に入って必要になったら学べばよいです。今は、そんなもんか、で大丈夫です。物理学的な背景は問われません。面白いのですけどね。
Q.医療系の仕事をしています。
生物、化学は医療の基礎、基本なので復習するに当たりつまづいていた分野のためとても分かりやすい動画ありがとうございます。質問ですが、 この解糖系、クエン酸回路、電子伝達系の仕組みは人間の60兆個の細胞全てで行われているのですか?
A.人の場合、基本的に生きている細胞ならば、おっしゃる通り、呼吸を行います。成熟した赤血球のようなミトコンドリアを捨てている細胞はほぼ呼吸を行いませんが、特殊な例です。
Q.C4植物は2つ細胞が必要なのにCAM植物は1つの細胞だけで同じようなことができているのはどうしてですか??
A.CAM植物の方が楽そうに思えるかもしれませんが、その代わり、昼間はほぼ気孔を閉じなければいけないので、光合成速度が極端に低いことが知られています。
ただし、当然ですが、気孔を閉じる分蒸散による水分の損失がかなり少なく、砂漠のような環境でも生きていけます。
Q.RuBPがリブロースニリン酸と記載されてるワークがあったのですが教科書ではリブロースビスリン酸です。どちらが正しいのですか?
A.どちらも正しいです。「ビス」は「二つ」という意味です。どちらで書いても〇です。
Q.鶏卵の、人の卵にあたる部分ってどこですか。
A.鶏卵というのは、お店で売られているようなタマゴを指しているのでしょうか(精子と受精する、一個の細胞としての卵の話をしているならば、鳥類にも哺乳類にも当然卵は存在します。ニワトリ卵の受精は、卵殻に覆われる前に、雌の卵管で起こります)。
鳥類の未受精卵(いわゆる黄身)は、極めて多量の卵黄を含む大きな細胞です。受精後、直径数cmにも及ぶ大きな細胞全体が細胞分裂していくことは不可能なので、細胞分裂は受精卵の表面のごく一部のみで行われます(その部分を胚盤といいます) 人の卵に相当する部分は、大雑把に言えば黄色い部分と言って良いと思います。が、前述したとおり、実際にニワトリのタマゴの中で細胞分裂をして器官を形成していく部分は、ほんの小さな一領域のみなのです。 ちなみに、我々哺乳類の卵には、あんなに多量の卵黄は含まれていません。哺乳類は、あんな馬鹿でかい栄養の塊がなくても、胎盤を通じて栄養摂取ができるようになっています。 繰り返しますが、ニワトリのタマゴにおいて、発生の舞台となる小さな部分を、胚盤といいます。胚盤を除いて、卵黄(鳥類の卵形成には、大量の卵黄の蓄積が伴います。卵黄タンパク質は卵巣で成長しつつある将来卵になる細胞に蓄積されます)が卵細胞の細胞質全体を埋め尽くしています。 ほかにも、鳥類と哺乳類では、卵の特徴、発生のしくみが異なるので、「ニワトリのタマゴのどこが我々哺乳類の卵に相当するのだろう」という質問は、実は、非常に難しい問題なのです。 まあ小さい子に聞かれたら、大雑把には黄色い部分かな、と答えていいと思います。ただし、卵割様式が異なるので、「相当する」の定義によっては答えが変わると思います。
Q.RuBPがリブロースニリン酸と記載されてるワークがあったのですが教科書ではリブロースビスリン酸です。どちらが正しいのですか?
A.どちらも正しいです。「ビス」は「二つ」という意味です。どちらで書いても〇です。
Q.鶏卵の、人の卵にあたる部分ってどこですか。
A.鶏卵というのは、お店で売られているようなタマゴを指しているのでしょうか(精子と受精する、一個の細胞としての卵の話をしているならば、鳥類にも哺乳類にも当然卵は存在します。ニワトリ卵の受精は、卵殻に覆われる前に、雌の卵管で起こります)。
鳥類の未受精卵(いわゆる黄身)は、極めて多量の卵黄を含む大きな細胞です。受精後、直径数cmにも及ぶ大きな細胞全体が細胞分裂していくことは不可能なので、細胞分裂は受精卵の表面のごく一部のみで行われます(その部分を胚盤といいます) 人の卵に相当する部分は、大雑把に言えば黄色い部分と言って良いと思います。が、前述したとおり、実際にニワトリのタマゴの中で細胞分裂をして器官を形成していく部分は、ほんの小さな一領域のみなのです。 ちなみに、我々哺乳類の卵には、あんなに多量の卵黄は含まれていません。哺乳類は、あんな馬鹿でかい栄養の塊がなくても、胎盤を通じて栄養摂取ができるようになっています。 繰り返しますが、ニワトリのタマゴにおいて、発生の舞台となる小さな部分を、胚盤といいます。胚盤を除いて、卵黄(鳥類の卵形成には、大量の卵黄の蓄積が伴います。卵黄タンパク質は卵巣で成長しつつある将来卵になる細胞に蓄積されます)が卵細胞の細胞質全体を埋め尽くしています。 ほかにも、鳥類と哺乳類では、卵の特徴、発生のしくみが異なるので、「ニワトリのタマゴのどこが我々哺乳類の卵に相当するのだろう」という質問は、実は、非常に難しい問題なのです。 まあ小さい子に聞かれたら、大雑把には黄色い部分かな、と答えていいと思います。ただし、卵割様式が異なるので、「相当する」の定義によっては答えが変わると思います。
Q.核分裂と体細胞分裂って意味は同じですか??
A.あまり一般的な考え方だとは思いませんが、核分裂の様式の一つを体細胞分裂とする人もいます(ちなみにもう一つは減数分裂です。岩波辞典は、書き方が微妙ですが、上記のような分類をしています)。
それぞれの用語にあまり厳密な定義はありません。
核分裂は主に核の分裂(核膜消失から新しい核膜の形成まで)に注目して、細胞質分裂は主に細胞質の分裂に注目して細胞分裂を見た用語です。
一方、(こちらの方が一般的だと思いますが)体細胞分裂を、
前〜終期の核の分裂(染色体の分配を含む)と、
終期の細胞質の分裂に分け、
前者を核分裂、後者を細胞質分裂と呼ぶ人もいます。
このように、体細胞分裂=核分裂+細胞質分裂とする入試問題、資料集の方が多いです。
Q.いつも先生の動画を見て感動しています。私の知ってる生物講師の中で断トツで分かりやすく、生物への好奇心を煽る凄い授業です…!クロロフィルbが、aの補助的ポジションというのは分かるのですが、動画中にある、座布団の上の2人のクロロフィルaの、電子をあげるよって言ってる左側の(光化学系Ⅱの)クロロフィルaは、これまた右側の(光化学系Ⅰの)クロロフィルaの補助的役割となるのでしょうか?クロロフィルaがすべて主役、というわけではないのでしょうか?
A.ありがとうございます。もったいないお言葉です。 実は、二箇所にいるクロロフィルはどちらも主役です。どちらも光に由来するエネルギーを受け取ります。 電子は、もらう人だけでなく、与える人もいないと移動しません。 また、高エネルギーの電子が左から右へ伝わることで、ATPが生産されます(光化学系II(左)から光化学系I(右)へ電子の移動[伝達]が起こると、H+がチラコイドの中に輸送され、そのH+の濃度勾配を利用してATPが作られます)。 これらの反応は連動しています。電子を手放す水から、電子を受け取るNADPまで、ひとつでも欠けると反応は進みません。
Q.いつも先生の動画を見て感動しています。私の知ってる生物講師の中で断トツで分かりやすく、生物への好奇心を煽る凄い授業です…!クロロフィルbが、aの補助的ポジションというのは分かるのですが、動画中にある、座布団の上の2人のクロロフィルaの、電子をあげるよって言ってる左側の(光化学系Ⅱの)クロロフィルaは、これまた右側の(光化学系Ⅰの)クロロフィルaの補助的役割となるのでしょうか?クロロフィルaがすべて主役、というわけではないのでしょうか?
A.ありがとうございます。もったいないお言葉です。 実は、二箇所にいるクロロフィルはどちらも主役です。どちらも光に由来するエネルギーを受け取ります。 電子は、もらう人だけでなく、与える人もいないと移動しません。 また、高エネルギーの電子が左から右へ伝わることで、ATPが生産されます(光化学系II(左)から光化学系I(右)へ電子の移動[伝達]が起こると、H+がチラコイドの中に輸送され、そのH+の濃度勾配を利用してATPが作られます)。 これらの反応は連動しています。電子を手放す水から、電子を受け取るNADPまで、ひとつでも欠けると反応は進みません。
Q.質問なのですが細菌にはペプチドグリカンからなる細胞壁があると習ったのですが、一般の細菌に共通した構造と捉えても良いのでしょうか?また、細菌と古細菌の細胞壁に大きな違いはありますか?
A.その通りです。ペプチドグリカンは一般的な細菌の細胞壁成分です。
また、ふつう古細菌の細胞壁はペプチドグリカンではなく、別の成分でできています(Sレイヤーなど。覚えなくて良いです)。
Q.質問なのですが、C4植物は、効率よくCO2を固定できることはわかったのですが、なぜ効率よく固定出来たら蒸散によって失われる水分を少なくすることができるんですか?
A.進化の結果なので本当の所はわからないのですが、おそらく、蒸散による水分の損失を少なくしようという目的の方が先です。
乾燥は植物にとって最大のストレスですから、どうしても乾燥を防ぎたい。乾燥を防ぐには、あまり気孔を開けなければいいのですが、そうすると二酸化炭素を十分に取り込めずに、身体の中で良くない反応が起きてしまうのです(詳しく話すと難しいのですが、ルビスコという酵素が、低い二酸化炭素濃度の環境では、本来の働きをしないのです。ルビスコは低い二酸化炭素濃度では誤作動してしまうのです[本当に誤作動なのかはわかっていないのですが、今は置いておきます])。
そこで、C 4植物は、低い二酸化炭素濃度でも立派に光合成できるように、つまり効率よく光合成できるように進化したのです。あまり気孔を開けずに蒸散による水の損失を防ぐ、ルビスコも誤作動しない、素晴らしい進化です(これも詳しい仕組みは難しいのですが、低い二酸化炭素濃度条件下でも、細胞内の特殊な回路で二酸化炭素を濃縮し、ルビスコに与えることで、ルビスコの誤作動を防いでいるのです)。
Q.ピルビン酸より、ピルビン酸イオンがクエン回路に入るんじゃないですか? (他のところではそう聞いたので混乱しています)
A.おっしゃる通りです。ピルビン酸はイオンの状態でアセチルCoAへの一連の反応に入ると考えられています。高校生物では、電離した有機酸を「~イオン」と呼んでいないというだけです。電離した有機酸と電離していない有機酸を区別していないのです。本来はご指摘の通り、物質名だけでなく、生体内での状態(平衡の状況)まで触れなければいけませんね。
Q.質問です! 電子伝達系だけ、ATPの量に『最大34ATP』と書いてあるのを不思議に思い、一度学校の先生に質問したところ、「34ATPになるのは、電子によって運ばれた水素イオンが全てATP合成酵素を通って戻ってきた場合」と言われました。 これはつまり、『一分子あたりのグルコースの分解で生じる電子が、最大で34ATP分しか水素イオンを膜間に吸い寄せることができない』のか、『一分子あたりのグルコースの分解において、水素イオン量が膜間の限界収容量に達するから』なのでしょうか? 僕のなかではこの二つの仮説が立ちました たぶん前者かなって思ってます あと、最大量である34ATP生成できないならば、膜間に移動した水素はどーなってしまうのかが分からないです 長い質問ですみません…
A.とても難しい問題です。よく自身で調べ、考えられたようで感心します。そのような姿勢は本当に素晴らしいです。正しいとされている仮説はおっしゃる通り前者です。答えは単純で、水素イオンは漏れるのです。水素イオンがゆっくりと漏れてマトリックス内に戻ってきてしまうので、エネルギーの変換効率が100%ではないのです。(実は、他にも理由があります。覚えなくてよいことです。細胞質で生成したNADHをミトコンドリア内で使うためには、エネルギーを使ってミトコンドリア内膜を横断させなければなりません。NADHは拡散で内膜を横断できないのです。そのためのエネルギーに、水素イオンの濃度勾配が使われます。さらに別の視点として、ATP自身が、酸化的リン酸化にかかわる複合体に結合し、その働きを抑制するという報告もあります。つまり、34ATPというのは理論値であり、実際は複雑な現象が起きているので「絶対グルコース1分子につき34分子のATPがミトコンドリア内膜でつくられる!」などとは言えないのです。)
Q.ピルビン酸より、ピルビン酸イオンがクエン回路に入るんじゃないですか? (他のところではそう聞いたので混乱しています)
A.おっしゃる通りです。ピルビン酸はイオンの状態でアセチルCoAへの一連の反応に入ると考えられています。高校生物では、電離した有機酸を「~イオン」と呼んでいないというだけです。電離した有機酸と電離していない有機酸を区別していないのです。本来はご指摘の通り、物質名だけでなく、生体内での状態(平衡の状況)まで触れなければいけませんね。
Q.質問です! 電子伝達系だけ、ATPの量に『最大34ATP』と書いてあるのを不思議に思い、一度学校の先生に質問したところ、「34ATPになるのは、電子によって運ばれた水素イオンが全てATP合成酵素を通って戻ってきた場合」と言われました。 これはつまり、『一分子あたりのグルコースの分解で生じる電子が、最大で34ATP分しか水素イオンを膜間に吸い寄せることができない』のか、『一分子あたりのグルコースの分解において、水素イオン量が膜間の限界収容量に達するから』なのでしょうか? 僕のなかではこの二つの仮説が立ちました たぶん前者かなって思ってます あと、最大量である34ATP生成できないならば、膜間に移動した水素はどーなってしまうのかが分からないです 長い質問ですみません…
A.とても難しい問題です。よく自身で調べ、考えられたようで感心します。そのような姿勢は本当に素晴らしいです。正しいとされている仮説はおっしゃる通り前者です。答えは単純で、水素イオンは漏れるのです。水素イオンがゆっくりと漏れてマトリックス内に戻ってきてしまうので、エネルギーの変換効率が100%ではないのです。(実は、他にも理由があります。覚えなくてよいことです。細胞質で生成したNADHをミトコンドリア内で使うためには、エネルギーを使ってミトコンドリア内膜を横断させなければなりません。NADHは拡散で内膜を横断できないのです。そのためのエネルギーに、水素イオンの濃度勾配が使われます。さらに別の視点として、ATP自身が、酸化的リン酸化にかかわる複合体に結合し、その働きを抑制するという報告もあります。つまり、34ATPというのは理論値であり、実際は複雑な現象が起きているので「絶対グルコース1分子につき34分子のATPがミトコンドリア内膜でつくられる!」などとは言えないのです。)
Q.質問なのですが、
教科書の電子伝達系の反応式では左辺に10H+がありました。これは今までの動画(解糖系、クエン酸回路の動画)でNADHの外にいたH+のことですか? 解糖系とクエン酸回路の動画にはいたのに、今回の動画には書いてなかったので不思議に思いました。
A.その教科書を見ないと断言は出来ないのですが、おそらく酸素と結合するH+のことですね。
実は細胞内では、色々な有機酸等が電離していて、ものすごいたくさんのH+がうようよしています。
そのH+が使われています。おっしゃる通り、そのH+は呼吸基質に由来するH+かもしれませんが、H+は細胞内に無数に存在し、由来は特定できません。
その辺にいたH+が使われた、というイメージで大丈夫です。大学入試ではふつう問われません。
Q.教科書にはrRNAというのも出てくるのですが、これの役割は何なのでしょうか??リボソームの一部と考えていいのでしょうか??
A.おっしゃる通りです。リボソームが何で出来ているかは長い間わかりませんでしたが、今はタンパク質とリボソームRNA(rRNA)で出来ていることがわかっています。翻訳反応を進めるのに重要な働きを持っていることがわかっていますが、その働き方は完全には解明されていません。
Q.これ(動画のタイトル)は呼吸となっていますが、摂食時、空腹時とも関連していますか。好気的解糖、嫌気的解糖の区別がわかりません。嫌気的解糖はミトコンドリアに侵入せずにそのまま乳酸になるのか。よければ教えてください。(医療学生です)
A.呼吸は摂食時、空腹時に関わらず起こる現象です(ここでいう呼吸は狭義の「分子状酸素の関与により有機物が二酸化炭素などに完全に分解され、生体に利用可能な形[主にATP]としてエネルギーが供給される現象」を指します。つまりミトコンドリアを持つ生きている細胞が行うエネルギー獲得に関する生命活動です。普遍的な活動です)。 ~~~高校生は以下の文章は読まないように。高校教科書と説明が若干ずれています~~~ 医学では、解糖は、「グルコースなどを、①ピルビン酸または②乳酸にまで分解していくしくみ(その過程でATPが産生する)」としています(解糖により、グルコースは①ピルビン酸→②乳酸の順に変化していく)。 好気的解糖、嫌気的解糖は、医学でよく使われる用語なので、南山堂などの医学事典を使った方が調べやすいです。 (1)酸素が十分にある場合は主に好気的解糖が行われます。 詳細:グルコースを「①ピルビン酸」までしか分解しない場合、その反応を「好気的解糖」といいます(酸素が十分にある場合は、「②乳酸」までの反応が急激にすすみにくくなることが知られています。その結果、最終産物は主にピルビン酸になります[パスツール効果といいます])。このピルビン酸は(酸素が十分にあれば「②乳酸」にならず)、ヒトではミトコンドリア内で(好気性細菌は細胞質で)、クエン酸回路により二酸化炭素と水に分解されます。 (2)酸素が十分にない場合は主に嫌気的解糖が行われます。 詳細:グルコースを「②乳酸」にまで変える仕組みを「嫌気的解糖(乳酸発酵と同じ反応)」といいます(先ほどの(1)と違い、酸素が不十分な環境では「②乳酸」まで解糖がスムーズに進みます。この場合は最終産物は乳酸です)。「嫌気的解糖」の場合は、基本的にミトコンドリアは関与せず、細胞質基質で反応が起こり、乳酸が生じます(低酸素条件におかれた細胞や、ミトコンドリアを持たないヒト赤血球などの特殊な細胞は、この解糖でATPを得ていることが知られています)。
Q.(電子伝達系について)大学の教科書には32ATPと書かれているのですがどういう違いなのでしょうか?
A.よくご自身で調べられたようで、素晴らしいと思います。 合成されるATP量は、計算条件により異なった数値になります。 具体的には、標準状態で計算しているか、生理条件下で計算しているのかで数値が変わってきます。 また、生理条件下ではどうしても熱に変わってしまう分のロスが出ます(プロトンは、現実では内膜から漏れてしまうこともあります。この宇宙では どんなにスマートなしくみでも、エネルギーのやり取り・変換をしようとすると、一部のエネルギーは無駄な熱エネルギーになってしまいます)。 さらに、細胞質基質で生じたNADHをどのようなしくみでミトコンドリアに送るかによっても数値が変わってきます。NADHはミトコンドリア内膜を通れませんので、エネルギーを使って工夫して輸送しています(シャトルと呼ばれるしくみで、高校では習いません)。 さらに、この動画で説明した化学浸透圧説は、まだしくみが完全に解明されたわけではなく(特に、電子伝達と膜間腔へのプロトンの輸送について不明な点が残っている)、真のエネルギー量の計算は難しいという事情があります。 細かくは問われませんが、もし入試で問われたら高校教科書の数値を用いましょう。
Q.(呼吸の電子伝達系について、ATP合成酵素を通る)H+はどこから出てきたものですか??
A.「H+はいったいどこからきたのか」は多くの高校生が疑問に思うことです。実は、H+は細胞内・外にとーーーってもたくさん存在するのです。たとえば、〇〇酸という名前の物質のほとんどはH+を遊離します(H+をポイッと投げ出します)。食べ物や飲み物の中に、たくさんのH+を遊離する物質が含まれています。私たちは生命活動に必要なH+を絶えず摂取していることになります。(余談ですが、細胞内のH+濃度、つまりpHは厳密に制御されています。細胞内のpH制御機構は全世界で研究中の重要なテーマです。)もちろん、おっしゃっていただいたように、H+の収支に注目して呼吸を考えることは非常に大切です。理解していただきたいのは、「H+は生命活動のために絶対必須だが、どこにでもあるものなのだ」ということです。今回の動画で問題となっているのは、マトリックスのH+濃度と膜間腔(内膜と外膜の隙間)のH+濃度に「差」があるということです。どちらの空間にもH+はありふれて存在します。ただ、その濃度に差があるとき、濃度差を解消させる方向にH+が移動し、ATP合成酵素を働かせる駆動力が生じるのです。教科書では図を見やすくするために、フラフラしてるH+は描かれていないことが多いです。
Q.これ(動画のタイトル)は呼吸となっていますが、摂食時、空腹時とも関連していますか。好気的解糖、嫌気的解糖の区別がわかりません。嫌気的解糖はミトコンドリアに侵入せずにそのまま乳酸になるのか。よければ教えてください。(医療学生です)
A.呼吸は摂食時、空腹時に関わらず起こる現象です(ここでいう呼吸は狭義の「分子状酸素の関与により有機物が二酸化炭素などに完全に分解され、生体に利用可能な形[主にATP]としてエネルギーが供給される現象」を指します。つまりミトコンドリアを持つ生きている細胞が行うエネルギー獲得に関する生命活動です。普遍的な活動です)。 ~~~高校生は以下の文章は読まないように。高校教科書と説明が若干ずれています~~~ 医学では、解糖は、「グルコースなどを、①ピルビン酸または②乳酸にまで分解していくしくみ(その過程でATPが産生する)」としています(解糖により、グルコースは①ピルビン酸→②乳酸の順に変化していく)。 好気的解糖、嫌気的解糖は、医学でよく使われる用語なので、南山堂などの医学事典を使った方が調べやすいです。 (1)酸素が十分にある場合は主に好気的解糖が行われます。 詳細:グルコースを「①ピルビン酸」までしか分解しない場合、その反応を「好気的解糖」といいます(酸素が十分にある場合は、「②乳酸」までの反応が急激にすすみにくくなることが知られています。その結果、最終産物は主にピルビン酸になります[パスツール効果といいます])。このピルビン酸は(酸素が十分にあれば「②乳酸」にならず)、ヒトではミトコンドリア内で(好気性細菌は細胞質で)、クエン酸回路により二酸化炭素と水に分解されます。 (2)酸素が十分にない場合は主に嫌気的解糖が行われます。 詳細:グルコースを「②乳酸」にまで変える仕組みを「嫌気的解糖(乳酸発酵と同じ反応)」といいます(先ほどの(1)と違い、酸素が不十分な環境では「②乳酸」まで解糖がスムーズに進みます。この場合は最終産物は乳酸です)。「嫌気的解糖」の場合は、基本的にミトコンドリアは関与せず、細胞質基質で反応が起こり、乳酸が生じます(低酸素条件におかれた細胞や、ミトコンドリアを持たないヒト赤血球などの特殊な細胞は、この解糖でATPを得ていることが知られています)。
Q.(電子伝達系について)大学の教科書には32ATPと書かれているのですがどういう違いなのでしょうか?
A.よくご自身で調べられたようで、素晴らしいと思います。 合成されるATP量は、計算条件により異なった数値になります。 具体的には、標準状態で計算しているか、生理条件下で計算しているのかで数値が変わってきます。 また、生理条件下ではどうしても熱に変わってしまう分のロスが出ます(プロトンは、現実では内膜から漏れてしまうこともあります。この宇宙では どんなにスマートなしくみでも、エネルギーのやり取り・変換をしようとすると、一部のエネルギーは無駄な熱エネルギーになってしまいます)。 さらに、細胞質基質で生じたNADHをどのようなしくみでミトコンドリアに送るかによっても数値が変わってきます。NADHはミトコンドリア内膜を通れませんので、エネルギーを使って工夫して輸送しています(シャトルと呼ばれるしくみで、高校では習いません)。 さらに、この動画で説明した化学浸透圧説は、まだしくみが完全に解明されたわけではなく(特に、電子伝達と膜間腔へのプロトンの輸送について不明な点が残っている)、真のエネルギー量の計算は難しいという事情があります。 細かくは問われませんが、もし入試で問われたら高校教科書の数値を用いましょう。
Q.(呼吸の電子伝達系について、ATP合成酵素を通る)H+はどこから出てきたものですか??
A.「H+はいったいどこからきたのか」は多くの高校生が疑問に思うことです。実は、H+は細胞内・外にとーーーってもたくさん存在するのです。たとえば、〇〇酸という名前の物質のほとんどはH+を遊離します(H+をポイッと投げ出します)。食べ物や飲み物の中に、たくさんのH+を遊離する物質が含まれています。私たちは生命活動に必要なH+を絶えず摂取していることになります。(余談ですが、細胞内のH+濃度、つまりpHは厳密に制御されています。細胞内のpH制御機構は全世界で研究中の重要なテーマです。)もちろん、おっしゃっていただいたように、H+の収支に注目して呼吸を考えることは非常に大切です。理解していただきたいのは、「H+は生命活動のために絶対必須だが、どこにでもあるものなのだ」ということです。今回の動画で問題となっているのは、マトリックスのH+濃度と膜間腔(内膜と外膜の隙間)のH+濃度に「差」があるということです。どちらの空間にもH+はありふれて存在します。ただ、その濃度に差があるとき、濃度差を解消させる方向にH+が移動し、ATP合成酵素を働かせる駆動力が生じるのです。教科書では図を見やすくするために、フラフラしてるH+は描かれていないことが多いです。
Q.呼吸の反応式の左辺の10H+はどこからきたんですか?
A.呼吸の過程で生じるNADHのHの由来ことをおっしゃっているのでしたら、基質です。つまり我々でいえば、食べ物です。
Q.原形質分離のとき細胞壁と細胞膜の間の部分は高張状態、等張状態、低張状態のどれなんでしょうか?
出来れば原形質復帰のときも教えて頂きたいです。
A.細胞壁と細胞膜の隙間は、外液が満たしています。全透性である細胞壁は溶媒も溶質も通すからです。つまり外液は細胞壁を素通りするのです。
原形質分離を起こしているときは外液は高張液を使っていますから、細胞壁と細胞膜の隙間は高張液が満たしています。
(細かい話なので無視しても良いです→高張液とは、細胞内液より浸透圧が高い、つまり濃度が高い溶液を指します。上で言う「外液は高張液」というのは、外液に細胞を入れた瞬間の細胞内液と比べて、外液が高い浸透圧を持つ、という意味です。細胞を外液に入れて十分に時間が経った状態では、細胞膜に包まれた部分から水が抜けて、細胞は縮み、細胞内液の濃度は濃くなり、外液とほぼ同じ浸透圧になっています)
原形質復帰を起こそうとしている時は外液には低張液を使っていますから、細胞壁と細胞膜の隙間は低張液が満たしています。
Q.2つ質問させて頂きたいです!生物基礎です! まずは、ヒトにおいてゲノムの塩基対数は30億個、遺伝子数は2万個、ゲノムは23本。と認識してるのですが、これら3つの働きの違いがよくわからないです。 もう1つは、生物(植物含む)は呼吸でatpを作ることを目的にしているのに、なぜ植物の光合成は、光合成の段階で生まれたatpを用いて二酸化炭素から有機物を作るのかがわかりません。 光合成で有機物を作る過程で生まれたatpをそのままエネルギーとして使えば、植物は呼吸いらないじゃん!と思ってしまいます。 A.ヒトのゲノムは、精子もしくは卵に入っている二十三本のDNAを指します。この二十三本のDNAの塩基対数を、二十三本分全て数えて合計していくと、三十億塩基対になります。 また、この二十三本は、それぞれがタンパク質と結合し、さらに折り畳まれてコンパクトになっています。そのコンパクトになった一つ一つを染色体と言うので、二十三本の染色体がある、という言い方もします(もし二十三本イヤホンがあっても、そのままではコードがからまってしまいますね。だからクリップか何かで、それぞれコンパクトにまとめるはずです。そのクリップがタンパク質で、コンパクトにまとめられたイヤホンが染色体みたいなものです。だから、染色体=タンパク質+DNAなどと言われます) 遺伝子数というのは少し観点が違います。実はすごく長いDNAですが、そのほとんどの領域は使われてないと考えられているのです(詳しくいうと、90%以上の領域は、アミノ酸の指定に使われないと言われています。これが本当なのか、そしてどうしてなのかは研究中で、高校範囲外です) DNAの中で、使われている領域がおよそ2万カ所あり、その使われている領域を遺伝子(遺伝子領域)とよんでいます。ヒトのゲノムのDNAには、2万カ所遺伝子があるので、ヒトゲノムには2万個の遺伝子がある、などといわれます(砂漠にオアシス 領域が2万カ所あるようなものです)。もちろんヒトゲノムは二十三本のDNAですので、一本一本のDNAにある遺伝子数は2万よりも少ないです。二十三本の遺伝子領域を全て合計すると2万個(2万領域)になるということです。 葉緑体中に生じたATPをもっと多様な生命活動に使えないのか、という質問ですが、非常に良い質問です。 簡単に言ってしまえば、葉緑体の中で生じたATPは、生体膜、つまり葉緑体の膜を通れないので、基本的に葉緑体から出れず、葉緑体の外の生命活動には使用できません(ちなみに高校では教えませんが、ミトコンドリアにはATPをミトコンドリアの外に運搬する特別な仕組みが備わっています)。 しかし、この質問は、繰り返しますが非常に良い質問で、「どうしてそのように進化したのか」という観点については、ほぼわかっていません。もしかしたら、大昔は、光合成と呼吸の電子伝達系の区別が曖昧だったという可能性は十分に考えられます。ミトコンドリア内膜とチラコイド膜の電子伝達に関わるこれほどの類似性はとても興味深いものです。しかし高校範囲外なので、ぜひご自身で大学に入ったら調べてみてください。
Q.DNAポリメラーゼは新しい鎖を3’→5’の方向にしか合成出来ないということですか?
A.あまりそう言う表現はしません。 (鋳型鎖でなく)伸びている新しい鎖に注目すると、この伸長中の新鎖は3’の方が伸びていくので、5’から3’方向に合成していく、と表現します。
Q.「酸化的」リン酸化という名前の由来は何ですか。
A.酸化的リン酸化とは「有機物を分子状酸素により酸化して得られるエネルギーをATPのエネルギーに変換する反応」を指します。呼吸では、有機物由来の高エネルギーの電子を反応に用います。その電子からエネルギーを引き出していき、ATPを合成するのです。電子は最終的に酸素に受け渡します(酸素が電子を最後に受け取ってくれるから、有機物から電子を引き抜き、反応を進めることができます。電子は、渡す方と渡される方の両方がいなければ移動してくれません)。この一連の流れは、大きく見れば、有機物から電子が酸素に移動したので、有機物を酸素を用いて『酸化』したことになります。有機物を酸素を用いて『酸化』して得たエネルギーで、ADPをリン酸化しているので、この反応を『酸化的リン酸化』といいます。
Q.先生の授業にはこの休校期間大変お世話になってます。
質問なのですがチラコイド膜の表面にはクロロフィルaやATP合成酵素といったタンパク質が存在していて、水素イオンを通すポンプもあり、細胞膜と似たような構造をしていると思いました。チラコイド膜は細胞膜と同じように流動モザイクモデルの膜構造をとるのでしょうか。
A.まったくおっしゃる通りです。流動モザイクモデルは生体膜についてのモデルであり、細胞膜やミトコンドリア膜、チラコイド膜など、多くの膜の構造モデルとして採用されています。
Q.参考書を見ると、滑面小胞体と粗面小胞体の働きがそれぞれ違うと書いてあり、詳しくそれぞれの説明が書いてあったんですけど、入試等でそこまで詳しく聞かれるものなんですか?
A.どちらも生物基礎では出にくいです。私大でたまに出る程度です。発展生物の方ではよく登場します。
滑面小胞体については、リボソームが付着していないということがよく問われます。
筋細胞で特殊化した滑面小胞体として、筋小胞体はよく出ます。
滑面小胞体の働きはテストにほぼ出ません。大学内容です。脂質代謝(リン脂質やステロイドの合成)、糖代謝、薬物代謝、細胞内カルシウム濃度調節など幅広いはたらきをもちます。
粗面小胞体のほうが問われます。
リボソームが付着しているということがよく問われます。
リボソームがつくったタンパク質が粗面小胞体内に入ります。粗面小胞体はゴルジ体と連携して、リボソームがつくったタンパク質の「輸送」に関わります(この働きについては、難関大で考察問題として出ることがあります)。
Q.(呼吸の電子伝達系について)なんで24H+なんですか??
A.1分子のグルコースを呼吸で分解する際に、6分子の酸素が必要です。 6分子の酸素、つまり6O2から12分子の水、つまり12H2Oをつくるには24個のH +が必要です。 H +は細胞や地球上に(水があるところに)たくさん存在しますから、代謝に利用するようになったのでしょう(正の電荷を持っていますから電子の入れ物としてもとても便利です)。 どうして24なのか、という質問でしたら、誰にもわかりません。 グルコースの持つ電子の数が関係すると思いますが、誰にも分からないことです。
Q.(呼吸の電子伝達系について)なんで24H+なんですか??
A.1分子のグルコースを呼吸で分解する際に、6分子の酸素が必要です。 6分子の酸素、つまり6O2から12分子の水、つまり12H2Oをつくるには24個のH +が必要です。 H +は細胞や地球上に(水があるところに)たくさん存在しますから、代謝に利用するようになったのでしょう(正の電荷を持っていますから電子の入れ物としてもとても便利です)。 どうして24なのか、という質問でしたら、誰にもわかりません。 グルコースの持つ電子の数が関係すると思いますが、誰にも分からないことです。
Q.たまに問題でクロロフィルaとクロロフィルbの違いを問う問題が出てくるのですが、
具体的にはどのように違うのですか?どちらの吸収スペクトルも似ているしどちらも光合成
に使われると書いてあるのでよく混乱します。
A.混乱するのもわかります。クロロフィルaとクロロフィルbは、その構造もほぼ同じです。巨大な分子の中の、ただ一か所がメチル基CH3(a)かアルデヒド基CHO(b)かの違いだけです。しかし、植物では反応中心にある主役の色素は常にクロロフィルaです(反応中心以外で、補助色素として働くクロロフィルaもあります。こちらは脇役です。)。植物において、クロロフィルbはあくまで「補助」に徹する補助色素です。補助色素のおもな役割は反応中心クロロフィルaにエネルギーを伝えることです。高等植物では、クロロフィルaとbの存在比は約3:1になっています。「なんだよ、それじゃあbなんていらないじゃん」と思うでしょうか。その通りです。実際、シアノバクテリアはクロロフィルaのみしかもちません。しかし現在、高等植物がaとbを持つということは、より多くの波長(aとbの吸収する波長は似ていますが、若干ずれています。)をキャッチできるということが生存に有利に働いたのでしょう。クロロフィルの進化はとても深いテーマです。最近もクロロフィルdやfの発見が話題を呼びました。受験では、aは外堀(bより外側の波長を吸収する)!と覚えておきましょう。
Q.ピルビン酸がアセチルCoAになるまでの反応で、2つの資料から異なる説明を見ました。
脱炭酸酵素と脱水素酵素が働くという説明と、コエンザイムAと結合するという説明です。 どっちが正しいんでしょうか?
Q.ピルビン酸がアセチルCoAになるまでの反応で、2つの資料から異なる説明を見ました。
脱炭酸酵素と脱水素酵素が働くという説明と、コエンザイムAと結合するという説明です。 どっちが正しいんでしょうか?
A.どちらも正しいです。高校の範囲を大きく超えますが、ピルビン酸は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体という三種類の酵素を複数含む複合体と反応します。
このピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体に含まれるたくさんの酵素等が連携して反応します。
その一連の反応の中で、ピルビン酸は脱炭酸され、アセチルCoAがつくられ、さらに脱水素酵素がはたらいて再びピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が初期状態に戻ります。
脱炭酸が酵素により促進される、アセチルCoAが出来る、脱水素が酵素により促進される、という三ステップは(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が働く上での)一連の反応なのです。
繰り返しますが高校内容を大きく越えるので、大学に入ったらご自身でも生化学の教科書を見てみてください。
Q.ATP合成酵素は解糖系やクエン酸回路では脱水素酵素が同じ役割になるんですか?
ゴミ箱は脱水素酵素ということですか??
A.すばらしい質問です!「解糖系やクエン酸回路でもATPが合成されるのだから、電子伝達系にあるようなATP合成酵素が存在しているのか?」ということですね。
実は、解糖系やクエン酸回路でATPを合成する仕組みは、電子伝達系のそれとはまったく違う仕組みです。基質レベルのリン酸化といって、詳しいことは高校内容を超えます。
複雑な反応の中で外からリン酸基がとりこまれ、さらに進む反応の中でリン酸基がADP分子に付加されます。当然そのためのエネルギーはグルコースに起因しますが、電子伝達系のように、Hの濃度勾配が出来て、ATP合成酵素を通って~などということは起きないのです。
すこし難しい話ですね。今はぼんやりイメージを持っておいて、大学に入ってから詳しく学んでもよいと思います。時間に余裕があれば図書館でキャンベル生物学・ホートン生化学で調べてみましょう。
Q.発酵過程においてのATPの生成についての質問です。
参考書では解糖系でグルコースからピルビン酸までの過程で2ATP生成され、実質乳酸発酵とアルコール発酵ではATPは生成されない。
と書いてあったのですが、
グルコース→エタノール (アルコール発酵)
グルコース→乳酸(乳酸発酵)
として見ると各発酵過程でATPは生成されてると言われて混乱しています。
グルコースから発酵過程と見るか、ピルビン酸から発酵過程と見るかどちらなのかわかりません。
A.発酵は、とーっても簡単に言うと、前半と後半、2つの反応に分けられます。
前半はグルコースをピルビン酸に分解する反応。(グルコース→ピルビン酸)
後半はピルビン酸を乳酸やエタノールにする反応(ピルビン酸→乳酸やエタノール)
です。前半後半2つあわせて『発酵』です
前半ではATPが生成されます。後半ではATPは生成されません。
「後半の反応いらないじゃん」と思うかもしれません。しかし、後半の反応がないと、発酵はストップしてしまうのです。
前半の反応では、グルコースがピルビン酸にまで分解されますが、その途中で、脱水素酵素という酵素の働きでHが奪われます。奪われたHはNADという物質に結合します(NAD→NADH)。
ところが、NADは少量しか存在しない貴重な物質で、すぐに足りなくなってしまうのです。
「おーい!グルコースをピルビン酸に分解するために、Hを奪うぞ!NADはいるか?Hを受取ってくれ」
NADH「だめです汗!今細胞内には私と同じNADHしかいません!手が空いているNADがいません!」
「なんだ。残念だなあ。Hを持ってくれる人がいないと、グルコースをピルビン酸にできないや。これじゃあATPを生成できないぞ」
みたいなイメージです。
実は、発酵では、NADHの手を空けるために、後半の反応があるのです。
NADHは、ピルビン酸にHを押し付けて、NADになったり(乳酸発酵)、ピルビン酸から二酸化炭素がとれたあと、できたアセトアルデヒドにHを押し付けてNADになったり(アルコール発酵)します。
Hを離して手が空いたNADは、再び前半の反応を進行させるのに使われます。NADHがNADに戻らなければ、発酵は止まってしまいます。ざっくりいうと前半と後半の反応は
前半:ATPを生成する、それに伴い、NADはNADHになる
後半:NADHをNADに戻す
反応です。
前半の反応は、特に解糖系と呼ばれます。
解糖系は、呼吸にも発酵にも用いられる重要なステップの1つです(呼吸でもNADHをNADに戻す過程がありますが、もっとうまい方法でHを捨てます)。
これが教科書的な説明です。
しかし、確かに、後半の反応のみを『発酵』と呼んでいるような専門書も存在します。質問文にある、「乳酸発酵とアルコール発酵ではATPは生成されない」とは、教科書で言う発酵の後半の反応だけを指して『発酵』だと言っているのでしょう。
乳酸発酵の定義は「微生物の作用により糖質から主として乳酸を生成すること(岩波生物学辞典)」です。「糖質から」とある通り、解糖系も発酵の反応の一部に含めるほうが一般的です。教科書の記述に従って問題を解いていきましょう。
Q.(呼吸の電子伝達系について)H+はATP合成酵素を通って、エネルギーを生成した後に、水となるのですか?
A.HはATP合成酵素を通りますが、同じHがそのまま水の生成に使われるという訳ではありません。
Hは細胞内に溢れています。板書には書かれていませんが、Hは至る所に大量に存在するのです。
あっちではあるHがATP合成酵素を通っていて、こっちでは別のHが水の生成に使われる、といった具合に、両者は関係ないところで起こるのです。
A君が空気を吐き、B君は離れたところで空気を吸っていても、A君が吐いた空気を必ずB君が吸う訳ではないのと似ています。
Q.(窒素同化の板書について)NH4じゃないんですか?
A.レベルの高い質問ありがとうございます。
高校の教科書には葉緑体内で還元されてできるアンモニア(アンモニウムイオン)がNH4+と書いてあることが多いですね。大学で使われている教科書、ホートン生化学にあわせNH3と記しました。アンモニアは生体内では水に溶けて存在し、NH3の一部がNH4+となるような平衡状態をとっています。大部分はNH3の形で存在します。また、大雑把に言えば、多くの場合NH3の状態で他の物質と反応します。したがってNH3と書いた方が現実に近いと私は判断しました。学校の先生の考えも聞いてみてください。
Q.呼吸の動画で出てきた電子伝達系と今回(光合成)の動画の電子伝達系は同じですか?
ミトコンドリアのマトリックスでも葉緑体のチラコイドでも電子伝達系はあるということでしょうか?
A.いえ、どちらも電子を伝達させながら動くしくみですから電子伝達系とよばれていますが(非常に似ているので、明らかに進化的な起源は同じですが)別のしくみです。
大学では「食物分子に由来するエネルギーを用いるミトコンドリア内膜の電子伝達、太陽光のエネルギーを用いる葉緑体チラコイド膜の電子伝達」のように、区別して説明されることが多いです。
サッカーのシュートとバスケのシュートが全く別の現象なのに、ボールが何かに入るという点で同じだからどちらも「シュート」と呼ばれるようなものです。呼吸と光合成の電子伝達は別のタンパク質等が関わる別の現象なのですが、どちらも電子が伝達していくしくみだから同じように電子伝達系と呼ばれているのです。
Q.(ゴルジ体がつくる)プレゼントBOXの名前を教えてください
A.一般には、生体膜で包まれた球状の構造は小胞と呼ばれます。高校ではあまり問われませんが、詳しくいえば、小胞は、「真核細胞内にみとめられる、膜に包まれた、直径50~100 nmの球状の小さな袋状の構造」です。
Q.キノコが人間になることはありえますか?
A.キノコと人では持っている遺伝子が違いますので、つくられるタンパク質も違います。したがって細胞は違った形態と挙動をとります。
たとえキノコの細胞の一つを採取し、ヒトのDNAを挿入しても、正常にヒトのタンパク質が機能し出すとは考えられません。キノコの細胞外には細胞壁が、細胞内には元々作っていたキノコ特有のタンパク質が溢れています。多くのキノコのタンパク質はヒトのタンパク質と共存・協働できないでしょう。
キノコが単細胞の状態のとき、細胞壁を取り除き、DNAと、細胞質に含まれる様々な因子を、丸ごと人の受精卵のものと交換すれば、キノコが人になった、と言えるでしょうか。非常にクレイジーだと思いますけどね。Q.2つ質問させて頂きたいです!生物基礎です! まずは、ヒトにおいてゲノムの塩基対数は30億個、遺伝子数は2万個、ゲノムは23本。と認識してるのですが、これら3つの働きの違いがよくわからないです。 もう1つは、生物(植物含む)は呼吸でatpを作ることを目的にしているのに、なぜ植物の光合成は、光合成の段階で生まれたatpを用いて二酸化炭素から有機物を作るのかがわかりません。 光合成で有機物を作る過程で生まれたatpをそのままエネルギーとして使えば、植物は呼吸いらないじゃん!と思ってしまいます。 A.ヒトのゲノムは、精子もしくは卵に入っている二十三本のDNAを指します。この二十三本のDNAの塩基対数を、二十三本分全て数えて合計していくと、三十億塩基対になります。 また、この二十三本は、それぞれがタンパク質と結合し、さらに折り畳まれてコンパクトになっています。そのコンパクトになった一つ一つを染色体と言うので、二十三本の染色体がある、という言い方もします(もし二十三本イヤホンがあっても、そのままではコードがからまってしまいますね。だからクリップか何かで、それぞれコンパクトにまとめるはずです。そのクリップがタンパク質で、コンパクトにまとめられたイヤホンが染色体みたいなものです。だから、染色体=タンパク質+DNAなどと言われます) 遺伝子数というのは少し観点が違います。実はすごく長いDNAですが、そのほとんどの領域は使われてないと考えられているのです(詳しくいうと、90%以上の領域は、アミノ酸の指定に使われないと言われています。これが本当なのか、そしてどうしてなのかは研究中で、高校範囲外です) DNAの中で、使われている領域がおよそ2万カ所あり、その使われている領域を遺伝子(遺伝子領域)とよんでいます。ヒトのゲノムのDNAには、2万カ所遺伝子があるので、ヒトゲノムには2万個の遺伝子がある、などといわれます(砂漠にオアシス 領域が2万カ所あるようなものです)。もちろんヒトゲノムは二十三本のDNAですので、一本一本のDNAにある遺伝子数は2万よりも少ないです。二十三本の遺伝子領域を全て合計すると2万個(2万領域)になるということです。 葉緑体中に生じたATPをもっと多様な生命活動に使えないのか、という質問ですが、非常に良い質問です。 簡単に言ってしまえば、葉緑体の中で生じたATPは、生体膜、つまり葉緑体の膜を通れないので、基本的に葉緑体から出れず、葉緑体の外の生命活動には使用できません(ちなみに高校では教えませんが、ミトコンドリアにはATPをミトコンドリアの外に運搬する特別な仕組みが備わっています)。 しかし、この質問は、繰り返しますが非常に良い質問で、「どうしてそのように進化したのか」という観点については、ほぼわかっていません。もしかしたら、大昔は、光合成と呼吸の電子伝達系の区別が曖昧だったという可能性は十分に考えられます。ミトコンドリア内膜とチラコイド膜の電子伝達に関わるこれほどの類似性はとても興味深いものです。しかし高校範囲外なので、ぜひご自身で大学に入ったら調べてみてください。
●遺伝子について
Q.ヘテロ接合がなぜおこるかわかりません
A.特定の遺伝子について異なっている配偶子の接合によって生じた個体をヘテロ接合体といいます(このような状態をヘテロといいます)。
たとえば、メス親からもらったDNAに、「タンパク質Aをつくる遺伝子A」が乗っていたとします(メス親のつくった卵の中に遺伝子Aがあったとします)。オス親からもらったDNAには「タンパク質Aを合成できない遺伝子a」が乗っていたとします(オス親のつくった精子の中に遺伝子aがあったとします)。
結果、子どもは遺伝子をAaにもつことになります。
この場合、子供は「タンパク質Aを作る遺伝子A」と「つくらない遺伝子a」を同時に持っています。遺伝子Aがあるので、タンパク質Aは合成できます(もしかしたら、遺伝子Aを1つしかもっていないので、タンパク質Aの合成量は遺伝子をAAに持つ人に比べて少ないかもしれません。そうなると話は複雑になりますが、そのような場合は問題文で捕捉説明やヒントが与えられます)。
このように、遺伝子Aとaを同時に持っているが、遺伝子Aの支配する形質(今回の場合、「タンパク質Aを合成できる」という形質)が表に出る場合、Aはaに対して優性であると表現します。
優性、劣性のちがいは、このように、「●●を合成できる遺伝子」と「●●を合成できない遺伝子」である場合が多いです(当然たくさんの例外がありますが)。優性遺伝子を1つでも持っていれば優性形質が現れるのは、優性遺伝子の多くが「●●を合成できる」遺伝子だからです。Q.DNAポリメラーゼは新しい鎖を3’→5’の方向にしか合成出来ないということですか?
A.あまりそう言う表現はしません。 (鋳型鎖でなく)伸びている新しい鎖に注目すると、この伸長中の新鎖は3’の方が伸びていくので、5’から3’方向に合成していく、と表現します。
Q.バイテクで使われるやつでベクターとバクテリオファージのちがいがわかりません。
どちらも生物ないに運搬し増殖するものとあったのでお願いします
A.簡単に言うと、
ベクター=遺伝子の運び屋として使うDNAのこと。細菌のプラスミドDNAやウイルスのDNAなどがベクターとして使われる。
バクテリオファージ=ウイルスの1グループ。
です。
遺伝子を入れておく(遺伝子運んでもらう)小型のDNA分子を「ベクター」といいます。実験に使う遺伝子(大事な塩基配列を持ったDNA)は、そのまま保存することもありますが、別の小型DNAの中に入れて置く場合があります。大切な遺伝子が宝石だとすると、ベクターは宝石箱です。ベクターには細菌のプラスミドやバクテリオファージなどのDNAが使われます(覚えなくてよいですが前者をプラスミドベクター、後者をウイルスベクターといいます)。こういった細菌やウイルスのDNAに、大切な遺伝子をつないでおくのです。大切な遺伝子を運んでくれるので、ベクター(「運び屋」が語源)といいます。そうしておくと、たとえばプラスミドをベクターに使った場合、細菌がプラスミドごと増幅(僕たちが導入したDNAを複製して増やしてくれる)させてくれますし、ウイルスのDNAをベクターに使った場合、ウイルスはDNAを感染する細胞に注入してくれるので、遺伝子導入実験(細胞などにDNAを導入する実験)を行う上で便利です。
バクテリオファージはウイルスの1グループです(細菌を宿主として増殖するウイルスです。「バクテリオファージ」は「細菌を食べる」という意味です)。
Q.DNAヘリカーゼと制限酵素って切るという同じ働きではないですか?どうちがうのでしょう
A.ヘリカーゼは二重らせんをほどく酵素です。塩基同士の水素結合を開裂し、一本鎖DNAにします。食事前に割り箸を割るイメージです。
制限酵素は2本鎖DNA切断する酵素です。DNA中の特定の配列を認識し、二本鎖をそこで切断します。割り箸を割らないまま、はさみでジョキンと切って、2つの小さい割り箸に分けるような酵素です。制限酵素は認識する配列や切断方法の違いによってたくさんの種類があります。どんな制限酵素が2本鎖をどこでどう切るかは資料集等に載っているので確認してください。
Q.質問してもいいですか真核生物のタンパク質合成で、DNAを転写するとき、片方の鎖を鋳型にすると思うんですが、いまいち鋳型がどっちになるのか分かりません。RNA鎖の伸長は5'→3'に進んでいくと教えられましたがそれが鋳型になんの関係があるのかわからないし、DNAになったときに5'末端がどっちで、3'末端がどっちになっているか、イメージつきません。教えて下さい!
A.こちらに詳しく書きました→http://koukouseibutsuhappy.blogspot.jp/遺伝子によって、DNAの二本鎖のどちらが鋳型になるかは変わります。ただし、RNAを合成する際は、かならずはじめにRNAの5’末端側ができ、それから3’末端が伸長していきます。しかも、鋳型となるDNAと、生成しているRNAの方向は、逆になっていなければなりません(方向性が逆な鎖が結合しているのは、二本鎖DNAも同じです)。つまりRNAポリメラーゼは、DNAを3’側から5’側に動き、RNAの3’方向を伸長していくのです。
(追加質問:ということは鋳型かどうかは問題とRNAの転写方向から判断するしかないということなんですね!)
おっしゃる通りです。塩基が書かれていれば、RNAと相補的な鎖が鋳型とすぐわかるのですが、塩基が書かれていなければ難問です。DNAの二本鎖のうち、RNAポリメラーゼの進む方向に5’末端がある方が鋳型鎖です。いずれにしても問題ごとに判断します。
Q.質問してもいいですか真核生物のタンパク質合成で、DNAを転写するとき、片方の鎖を鋳型にすると思うんですが、いまいち鋳型がどっちになるのか分かりません。RNA鎖の伸長は5'→3'に進んでいくと教えられましたがそれが鋳型になんの関係があるのかわからないし、DNAになったときに5'末端がどっちで、3'末端がどっちになっているか、イメージつきません。教えて下さい!
A.こちらに詳しく書きました→http://koukouseibutsuhappy.blogspot.jp/遺伝子によって、DNAの二本鎖のどちらが鋳型になるかは変わります。ただし、RNAを合成する際は、かならずはじめにRNAの5’末端側ができ、それから3’末端が伸長していきます。しかも、鋳型となるDNAと、生成しているRNAの方向は、逆になっていなければなりません(方向性が逆な鎖が結合しているのは、二本鎖DNAも同じです)。つまりRNAポリメラーゼは、DNAを3’側から5’側に動き、RNAの3’方向を伸長していくのです。
(追加質問:ということは鋳型かどうかは問題とRNAの転写方向から判断するしかないということなんですね!)
おっしゃる通りです。塩基が書かれていれば、RNAと相補的な鎖が鋳型とすぐわかるのですが、塩基が書かれていなければ難問です。DNAの二本鎖のうち、RNAポリメラーゼの進む方向に5’末端がある方が鋳型鎖です。いずれにしても問題ごとに判断します。
Q.質問です。何故、組換え価は遺伝子間の距離に比例するのでしょうか。
A.組換え価は、今注目している遺伝子間で、どのくらい組換えが起こりやすいかをあらわす値ですね(詳しくいうと、組換え価は(組換え型配偶子の数)÷(全配偶子の数)で与えられる数値です。組換え率ともいいます)。
組換えはどうして起こるかというと、染色体が交叉し、隣の染色体とつなぎ変わることによって(染色体の乗換えによって)起こるのですね。
そして、これは重要な仮定ですが、交叉が染色体のどこで起こるか、端の方で起こるか中央の方で起こるかでは、まったくのランダムであるとします(そのような仮定は実は正確ではないのですが、今は無視します)。生物はたくさん配偶子をつくるのですが、そのたびにランダムな場所で染色体の交叉が起こり、遺伝子の組換えが起こるのです。
たとえば、注目している遺伝子が染色体の端にあれば、どこで交叉が起ころうとも、必ず組換わります。しかし、注目している遺伝子が近い位置にあれば、その遺伝子の間で交叉が起こらなければ組換わりませんから、非常に組換えの確率は低いことになります(たとえば、あなたと僕が別々の100両編成の電車に乗っていて、電車がつなぎ変わるとします。あなたがある電車の1両目、僕が別の電車の100両目に乗っているとすると、1両目と2両目の間から、99両目と100両目の間まで、どこで電車のつなぎ変えがあっても、あなたと僕は同じ電車に乗ることになります。つなぎ変え後、1両目にあなたが、100両目に僕が乗ることになります。しかし、最初に、あなたが電車の1両目、僕が別の電車の2両目に乗っていると、3両目~100両目までのどこで交叉が起こっても、あなたと僕の位置には無関係です。あなたと僕が同じ電車に乗るためには、1両目と2両目の間で電車の交叉とつなぎかえが起こるしかありません)。
2本の100cmの紐を想定してもよいです。一本目の紐の上から1cmの所に赤のしるしを、そして上から100cmの所に青のしるしを、もう1本の紐の上から1cmの所に黄色、上から100cmの所に緑のしるしをつけます。すると大抵どこで2本の紐を交叉させて、切ってつなぎ変えても、つなぎ変え後は赤と緑が同じ紐に乗ることになります。しかし、1本目の紐の上から1cmの所に赤のしるしを、上から2cmの所に青のしるしをつけ、もう一本の紐にも上から1cmに黄色、上から2cmに緑のしるしをつけるとします。すると、たとえば紐を中央で交叉させても、しるしは動きません。2つのしるしの間、つまり紐の上から1cm~2cmの間で紐を交叉させないとしるしは動きません。近い位置にあるしるしは、紐の交叉とつなぎ変えがあっても位置関係が変わりにくいのですね。
したがって、注目している遺伝子の距離が離れていればいるほど、組換えの起こる確率は高いことになります。すると、全配偶子のうち、組換えを起こした配偶子の割合が大きくなりますから、組換え価は大きくなります。教科書や資料集でももう一度確認してみてください。
Q.致死遺伝子についてなんですが、劣性遺伝子は劣性の致死作用があり.....と問題の解説に書いてあるのですがどういう意味か今一分からないです。劣性があるのなら優性はあるのでしょうか?
A.いい質問ですね。 致死遺伝子という言葉には、「致死作用をもつ遺伝子」といったざっくりした意味しかありません。その遺伝子をホモにもつ個体が死亡する場合(生まれてすぐ死亡する・生まれてこず母体の中で死亡する・生まれて成体になってから死亡する等、死亡する時期は様々です!)、その遺伝子を「劣性の致死遺伝子」ということがあります。劣性という言葉には、「ホモにもつとある表現型があらわれる」という意味があります。つまり劣性の致死遺伝子とは、「その遺伝子をホモにもつと個体が死亡する遺伝子」という意味です。 優性の致死遺伝子があるかどうかは、多くの高校生が疑問に思うことです。あります。ある有名なヒトに関するH病(名前は伏せます)は、「ある変異遺伝子を1つもつだけ」でその人を死に至らしめます。「その遺伝子を1つ持つだけで何かしら表現型(死亡するという表現型も含めて)があらわれるような遺伝子」を「優性の遺伝子」といいます。H病は多くの場合その人が成人してから(つまり子を残せる年齢になってから)症状が出始め、その人を死に至らしめます。したがって変異遺伝子は子孫へと伝わっていきます。 また、当然、~遺伝などは人が無理やり分類しようとしているだけで、実際は生命現象ですから、優性や劣性で分けられない致死遺伝子も存在します。ヘテロならば死亡のリスクは低いが、ホモでは症状が重く、死亡しやすいといった例(不完全優性などと名前が付く場合があります)はたくさんあります。 新課程生物の遺伝問題では、問題文を一文一文しっかり読み、文章から、その遺伝子がどのような遺伝子なのか、その場で判断できるようになることが大切です。
Q.PCR法についての質問失礼します。参考書にある「プライマーのヌクレオチド数が18以上であれば、ヒトゲノム中のどこのDNA領域を増幅する場合でも、確実に鋳型鎖の増幅域の3末端部に結合することが期待できる」という説明がどうしても理解できません。
A.前後の文脈があるようなので断言できませんが、18ヌクレオチドであれば、プライマーがくっつく領域を確実に指定できる、という意味だと思います。
プライマーが短すぎると、くっつけたい場所以外にべたべたくっついてしまうんです。
極端な話、プライマーがたとえばGGCなどという塩基を持つ三ヌクレオチドだったならば、当たり前ですがプライマーと相補的な配列は長いDNA中でいくらでも出てくるので、プライマーが目的の場所以外にもべたべたくっついてしまいます。
だから、特定の場所だけにプライマーをくっつけたいと思ったら、なるべくプライマーを長く作った方がいいのです。
しかし長ければ長いほどプライマーの作成にお金がかかるので、生物学者は丁度よい長さのプライマーを設計して発注するのです。
Q.トリプトファンとタンパク質が結合した後にリプレッサーとなりますがこのリプレッサーを解除する仕組みはないのでしょうか?(ラクトース分解酵素の調節では、アロラクトース(?)がリプレッサーに結合するとこでオペレーターから外れる仕組みがあった気がします。)
A.リプレッサーは、何もしなくても、たまにオペレーターから外れます。リプレッサーとDNAの関係は、両者の親和性の大小に支配されていて、決して「ずっと永遠にくっついたまま」か「絶対にくっつかない」かなどと言う二択ではないのです。「くっつきやすい。くっついている時間が長い」か「くっつきにくい。くっついていない時間が長い」かなのです。
したがって、いくらDNAとの親和性が高いリプレッサーも、たまにはDNAから外れます。
この関係はトリプトファンと、それに結合するタンパク質でも同じです。
細胞内のトリプトファン濃度が下がってくれば、トリプトファンはタンパク質から外れがちになることが知られています(日本国内で宝石が不足してくれば、宝石を持っている人の数は減ってきますね)。したがって、トリプトファン濃度が下がってくれば、タンパク質がトリプトファンからはずれてしまう確率が高まります。
とても難しい話なので理解しなくても大丈夫ですが、大学に入ったらもっと学習してみて下さい。タンパク質の世界は、1か0かではなく、どちらかと言うと、親和性の大小で支配されているのです。
Q.フィードバック阻害と非競争的阻害の違いはなんですか?
A.定義は生物辞典で確認してください。フィードバック阻害は、概念的な言葉で、現象に対しても使います。「高血糖の血液が原因となってインスリンの分泌が促進された(インスリンの分泌が結果!)。そうしたら、血糖値が下がった。結果が原因を抑制したのでこれはフィードバック阻害の例である。」もっと大胆に言えば「彼女のさみしいアピールがすごいから一日100回電話した。そうしたら彼女がドン引きして、さみしいアピールは抑制された。結果が原因を抑制したのでこれはフィードバック阻害の例である。」
非競争的阻害は、酵素に阻害物質が結合することで、酵素の立体構造が変わり、活性部位の構造も変わってしまい、基質との結合が阻害される仕組みです(酵素の持つ活性部位の形と基質の形がぴったり合わないと反応できません)。
どうしてこの2つの用語が紛らわしいのかというと、酵素反応(原因)の結果生じる産物(結果)が非競争的な阻害剤となることが、生体内では多いからです。産物が酵素に結合し、酵素の活性部位を変化させて反応速度を下げます。これは非競争的阻害です。また、結果である産物が、原因となった酵素反応を阻害したのでフィードバック阻害です。産物がその産物を作る酵素を阻害するので、過剰に産物を作ってしまうなどということがなくなります。
完成品が作業員に噛みついて製造作業を阻害するようなものです。噛みつき犬ロボットをつくる工場では、そのようなことが起こるでしょう。作りすぎると工場内を噛みつきロボットが駆け回り、作業員にかみついて作業速度が下がります。やがて出荷速度と作業速度がちょうどいいバランスになって平衡状態に達するでしょう。
Q.DNAにくっついてるリプレッサーにどうしてアロラクトースがくっつくのですか?
一回リプレッサーを引っこ抜いて結合するのでしょうか?
A.とても良い質問ですね!現実に起きている(と考えられている)仕組みはもう少し複雑です。
実際には、アロラクトースはDNAと結合しているリプレッサーに結合して、リプレッサーの形(立体構造)を、オペレーターと結合しにくくなるように変化させます。つまりリプレッサーはアロステリック的な調節を受ける(リプレッサーのある場所[露出しているアロラクトースがはまる溝]にアロラクトースが結合すると、別の場所「オペレーターに結合している=DNAにつかまっている部位]の立体構造が変化する)のです。
鉄棒(=DNAのオペレーター領域)につかまっている少年(=リプレッサー)が、犬(=アロラクトース)に横腹を噛みつかれて、痛がって体勢が変化し鉄棒から手を離すようなものです。犬に噛まれたまま鉄棒につかまっているのは無理でしょう。
Q.(ラクトースオペロンについて)ラクトースあり、グルコースなし
ラクトースなし、グルコースあり
とあるのですが、グルコースがあるのとないのとではどのような影響があるのですか??
A.受験対策としては、「グルコースがあるときはラクトースがあってもラクトース分解にかかわる酵素をあまりつくらない」ことを知っていれば十分です。グルコースの方が使いやすい糖だからです。問題文のヒントから解けるようになっています。その仕組みは参考書にもなかなか正確に書かれていないので、以下に書いておきます。
・・・・・・・・オペロンにかかわるプロモーターとRNAポリメラーゼはリプレッサーがなくてもまだ結合しにくい。しかし、プロモーターにCRP-cAMP複合体という物質が結合すると、プロモーターとRNAポリメラーゼの親和性が高くなり、オペロンの転写が促進される。さて、グルコースがあると、CRP-cAMPの材料であるcAMPが細胞内でできにくくなる=オペロンの転写が促進されない。グルコースがないと、cAMPがたくさんできる=転写が促進される。
詳しい機構:細胞外にあるグルコースは輸送体タンパク質複合体により細胞内に運ばれ、リン酸化を受けることが知られている。『グルコースが存在しないとき』、この輸送体タンパク質複合体(ホスホエノールピルビン酸依存性糖リン酸基転移酵素系とよばれる)の構成員の一人(酵素Ⅲ)が、「ATPを使ってcAMPを作れ!」という命令を隣にいる酵素(細胞膜に結合しているアデニル酸シクラーゼ)に出し始める。アデニル酸シクラーゼは命令通りATPからcAMPをたくさんつくる。cAMPはCRPと結合し、CRP-cAMP複合体となる。CRP-cAMP複合体はプロモーター部位でRNAポリメラーゼに接触し、転写開始の速度を速める。この仕組みはカタボライト(異化代謝産物)抑制という。
Q.先天性異常についてです。
先天性異常には染色体異常によるものと遺伝子異常によるものがあるのですが、二つの違いがいまいちわかりません。解説よろしくお願いします。
A.定義はけっこうあいまいです。「染色体異常=染色体の構造や数の異常」「遺伝子異常=遺伝子に起きた異常」です。
問題文によって使い方が違うと思いますので、どういう意味で使われているかに注意しましょう。
狭い意味では、染色体異常は「欠失(染色体の一部が失われる)」「逆位(染色体がいったん切れて、逆向きにつながる)」「重複(染色体の一部が重複する)」「転座(染色体の一部がほかの染色体に付着する)」「染色体の本数がふつうより少ない(または多い)」などを指します。
もちろん、染色体はDNAがタンパク質に巻き付いたものですから、例えば欠失などが起きた場合、もし失われた部分に重要な遺伝子があったら(失われた染色体を構成しているDNAに重要な遺伝子があったら)、重大な疾患につながります。
遺伝子異常は、狭い意味では、『遺伝子(DNA中の意味のある塩基配列領域)内の塩基に起こった異常』を指します。塩基が失われたり、余分な塩基が挿入されたり、違う種類の塩基に置換したりといった異常を指します。染色体異常より規模が小さいです。が、1塩基挿入などがおきるとコドンの読み枠がずれて大きな被害がでたりします。
「染色体に異常が起こっても、結局は遺伝子に異常が起こるじゃないか」と思うかもしれません。その通りで、広く意味をとらえれば、「こういう異常は染色体異常!ああいう異常は遺伝子異常!」というふうには決められません。
自分が遺伝子に注目しているのか、染色体に注目しているかによって使い分けます。
Q.遺伝子問題について質問なのですが、完全連鎖同士の遺伝子は交配出来るのに
不完全連鎖同士の遺伝子が交配出来ないのはなぜですが??完全連鎖と不完全連鎖の遺伝子の交配はできるとあるのですが……
A.整理しましょう。交配するのは生き物ですね?そして連鎖しているのは遺伝子です。染色体には乗換えが起こりやすい場所と起こりにくい場所があります。極めて乗換えが起こりにくい場所をはさんで連鎖している二対の対立遺伝子は「完全連鎖している」といいます。乗換えが起こってしまうような場所をはさんで連鎖している二対の対立遺伝子を「不完全連鎖している」といいます。
もしかしたらショウジョウバエの問題でしょうか。一般にショウジョウバエのオスの持つ遺伝子は完全連鎖し、メスの持つ遺伝子は不完全連鎖していることが知られています。
Q.質問です‼(注意:このような入試問題の質問は、問題文の条件の不足や、著作権の問題で答えられことがあります。なるべく学校の先生に質問してください) (問題) 丸くて黄色の種子を作る個体(A・B)としわのある緑色の種子を作る個体(a・b)を選び、それぞれの純系をF1として交配すると、F2は AB:Ab:aB:ab=9:3:3:1の割合で分離。形に関する遺伝子記号は優勢はA、劣勢はa色に関する遺伝子記号は優勢はB、劣勢はbとする。 問 F2の種子がAB:Ab:aB:ab=3:1:3:1の割合で生じるためのF1それぞれの遺伝子型の組み合わせを求めよ。 とあるのですが、表現型の比から親の遺伝子型を求めるにはどのように考えたらよいですか?? 解放補教えてください。。。見にくくて申し訳ありません泣
A.AaとBbで分けて考えます。 Aaについて、 F2の結果をまとめると 〔A〕:〔A〕:〔a〕:〔a〕=3:1:3:1 まとめると〔A〕:〔a〕=1:1です。 このような比で子を産む親の遺伝子型の組み合わせはAaとaaです(遺伝子型Aaと遺伝子型aaの親から生じる子の表現型の分離比は〔A〕:〔a〕=1:1です。表を書いて実際に作ってみてください)。 また、Bbについても同様にまとまると、 〔B〕:〔b〕=3:1 このような比で子を産む親の遺伝子型の組み合わせはBbとBbです。 AaとBbの結果をまとめると、親の遺伝子型は AaBbとaaBbです。
Q.遺伝の問題の質問です‼(注意:このような入試問題の質問は、問題文の条件の不足や、著作権の問題で答えられことがあります。なるべく学校の先生に質問してください) 黄色の子葉の個体の遺伝子はY 緑色の子葉の個体の遺伝子はy 大豆の種子の表面は、母親の体細胞である珠皮に由来する種皮によって覆われている。 種皮には黒色のものと透明のものがあり、種皮が透明な場合、内部の子葉の色が透けて黄色や緑色に見える。 そこで、大豆のしゅぢの色の遺伝様式を調べるため、以下の実験を行った。なお、種皮の色を透明にする遺伝子Xは、黒色にする遺伝子xに対して優性である。 また、子葉の色を決定する遺伝子Y、yとは異なる染色体にある。 実験 黒色の種子をつける純系個体めしべに、緑色の種子をつける純系個体の花粉を受粉させ、F1を得た。このF1種子をまいて育てた植物を自家受精させてF2種子を得た。F2の色の分離比は 黒:黄:緑=0:3:1であった。 問 実験で生じたF2種子をすべて育てて自家受精させると、黒色の種子とそのほかの色(黄色+緑色)の種子の分離比はどのようになるか。 *F1の遺伝子型はXxYyと出ています。 解説には、F1種子の胚の遺伝子型はXxとなる。このF1種子をまいて育てた植物を自家受精すると、F2の種子の胚の遺伝子型はXX:Xx:xx=1:2:1となる。このF1種子をまいて育てた植物つを自家受精すると F2の遺伝子型の胚の遺伝子型はXX:Xx:xx=1:2:1となる。 F2を自家受精させて生じたF3の種子の表面を覆う種皮はF2のめしべの遺伝子型と同じXX:Xx:xx=1:2:1であることから、種皮の色は透明:黒=3:1となる、、、、、 とあるのですが、F2の比がXX:Xx:xx=1:2:1になるのはわかるのですが、F3の比もF2と同じになる理由がわかりません。よろしくお願いします。
A.F1の遺伝子型はすべてXxYyですね。なので、このF1のつくる種子の種皮は、すべて透明です。 つまり、X(x)は、「『その個体がつくる種子の』種皮の性質を決める遺伝子」なのです(重要なことですが、種皮はめしべ側の親の体の一部です)。 F2の表現型は、[XY]:[Xy]:[xY]:[xy]=9:3:3:1です。Xとxにだけ注目すると[X]:[x] =3:1です。XをもつF2(表現型[X])は透明な種皮の種子を、xしかもたないF2(表現型[x])は黒い種皮を持つ種子をつくるのでしたね。X(x)は「その個体がつくる種子の種皮の性質を決める遺伝子」なので、F2のつくる種子は透明:黒=3:1です。
(追加質問:先生、何度もすみません。。先生の記述の通りF2の透明:黒=3:1となるのは理解できるのですが、解説の、F3の透明:黒=3:1となる説明が理解できません。。種皮は母親(めしべ)の体細胞である珠皮に由来するため、種皮の表現型は交配により生じた子(種子)の遺伝子型ではなく、母親の体細胞の遺伝子型によって決定される。という解説も関係しているのでしょうか。。)
F2のつくる種子がF3ですね。F2が作る種子(=F3)の種皮はF2の遺伝子型で決まります(F3のもつ種皮はF2の体の一部ですから)。
解説でいっている「F3の種子の表面」とは、「F3が『つくる』種子の表面」ではなく「F3が『種子だったころの』F3の表面」という意味でしょう。問で聞かれているのはF2につくらせた種子(F3)の表現型ですからね。
F2のつくる種子(F3)の種皮はF2の遺伝子型で決まりますから(F3の種皮は、F3の体の一部のように見えますが、F3が自分の遺伝子を発現させて作ったものではありません。母型のF2がF3のために自分の遺伝子を発現させてつくったものです)、F2(F3の母親)の遺伝子型だけを見て答えます。
「問 実験で生じたF2種子をすべて育てて自家受精させると、(1)黒色の種子とそのほかの色(黄色+緑色)の種子の分離比はどのようになるか。」
この問いを簡単に言えば、「F2を自家受精させて種子を作らせた。F2のつくった種子の表面はどうなっているか」ですね。
F2の遺伝子型を求めて、それを見ながらF2のつくる種子の表面を答えればよいわけです。F3の遺伝子型など求める必要はありません。
F3の遺伝子型を見てわかるのはF4の種子の表面です。
Q.質問です‼(注意:このような入試問題の質問は、問題文の条件の不足や、著作権の問題で答えられことがあります。なるべく学校の先生に質問してください) (問題) 丸くて黄色の種子を作る個体(A・B)としわのある緑色の種子を作る個体(a・b)を選び、それぞれの純系をF1として交配すると、F2は AB:Ab:aB:ab=9:3:3:1の割合で分離。形に関する遺伝子記号は優勢はA、劣勢はa色に関する遺伝子記号は優勢はB、劣勢はbとする。 問 F2の種子がAB:Ab:aB:ab=3:1:3:1の割合で生じるためのF1それぞれの遺伝子型の組み合わせを求めよ。 とあるのですが、表現型の比から親の遺伝子型を求めるにはどのように考えたらよいですか?? 解放補教えてください。。。見にくくて申し訳ありません泣
A.AaとBbで分けて考えます。 Aaについて、 F2の結果をまとめると 〔A〕:〔A〕:〔a〕:〔a〕=3:1:3:1 まとめると〔A〕:〔a〕=1:1です。 このような比で子を産む親の遺伝子型の組み合わせはAaとaaです(遺伝子型Aaと遺伝子型aaの親から生じる子の表現型の分離比は〔A〕:〔a〕=1:1です。表を書いて実際に作ってみてください)。 また、Bbについても同様にまとまると、 〔B〕:〔b〕=3:1 このような比で子を産む親の遺伝子型の組み合わせはBbとBbです。 AaとBbの結果をまとめると、親の遺伝子型は AaBbとaaBbです。
Q.遺伝の問題の質問です‼(注意:このような入試問題の質問は、問題文の条件の不足や、著作権の問題で答えられことがあります。なるべく学校の先生に質問してください) 黄色の子葉の個体の遺伝子はY 緑色の子葉の個体の遺伝子はy 大豆の種子の表面は、母親の体細胞である珠皮に由来する種皮によって覆われている。 種皮には黒色のものと透明のものがあり、種皮が透明な場合、内部の子葉の色が透けて黄色や緑色に見える。 そこで、大豆のしゅぢの色の遺伝様式を調べるため、以下の実験を行った。なお、種皮の色を透明にする遺伝子Xは、黒色にする遺伝子xに対して優性である。 また、子葉の色を決定する遺伝子Y、yとは異なる染色体にある。 実験 黒色の種子をつける純系個体めしべに、緑色の種子をつける純系個体の花粉を受粉させ、F1を得た。このF1種子をまいて育てた植物を自家受精させてF2種子を得た。F2の色の分離比は 黒:黄:緑=0:3:1であった。 問 実験で生じたF2種子をすべて育てて自家受精させると、黒色の種子とそのほかの色(黄色+緑色)の種子の分離比はどのようになるか。 *F1の遺伝子型はXxYyと出ています。 解説には、F1種子の胚の遺伝子型はXxとなる。このF1種子をまいて育てた植物を自家受精すると、F2の種子の胚の遺伝子型はXX:Xx:xx=1:2:1となる。このF1種子をまいて育てた植物つを自家受精すると F2の遺伝子型の胚の遺伝子型はXX:Xx:xx=1:2:1となる。 F2を自家受精させて生じたF3の種子の表面を覆う種皮はF2のめしべの遺伝子型と同じXX:Xx:xx=1:2:1であることから、種皮の色は透明:黒=3:1となる、、、、、 とあるのですが、F2の比がXX:Xx:xx=1:2:1になるのはわかるのですが、F3の比もF2と同じになる理由がわかりません。よろしくお願いします。
A.F1の遺伝子型はすべてXxYyですね。なので、このF1のつくる種子の種皮は、すべて透明です。 つまり、X(x)は、「『その個体がつくる種子の』種皮の性質を決める遺伝子」なのです(重要なことですが、種皮はめしべ側の親の体の一部です)。 F2の表現型は、[XY]:[Xy]:[xY]:[xy]=9:3:3:1です。Xとxにだけ注目すると[X]:[x] =3:1です。XをもつF2(表現型[X])は透明な種皮の種子を、xしかもたないF2(表現型[x])は黒い種皮を持つ種子をつくるのでしたね。X(x)は「その個体がつくる種子の種皮の性質を決める遺伝子」なので、F2のつくる種子は透明:黒=3:1です。
(追加質問:先生、何度もすみません。。先生の記述の通りF2の透明:黒=3:1となるのは理解できるのですが、解説の、F3の透明:黒=3:1となる説明が理解できません。。種皮は母親(めしべ)の体細胞である珠皮に由来するため、種皮の表現型は交配により生じた子(種子)の遺伝子型ではなく、母親の体細胞の遺伝子型によって決定される。という解説も関係しているのでしょうか。。)
F2のつくる種子がF3ですね。F2が作る種子(=F3)の種皮はF2の遺伝子型で決まります(F3のもつ種皮はF2の体の一部ですから)。
解説でいっている「F3の種子の表面」とは、「F3が『つくる』種子の表面」ではなく「F3が『種子だったころの』F3の表面」という意味でしょう。問で聞かれているのはF2につくらせた種子(F3)の表現型ですからね。
F2のつくる種子(F3)の種皮はF2の遺伝子型で決まりますから(F3の種皮は、F3の体の一部のように見えますが、F3が自分の遺伝子を発現させて作ったものではありません。母型のF2がF3のために自分の遺伝子を発現させてつくったものです)、F2(F3の母親)の遺伝子型だけを見て答えます。
「問 実験で生じたF2種子をすべて育てて自家受精させると、(1)黒色の種子とそのほかの色(黄色+緑色)の種子の分離比はどのようになるか。」
この問いを簡単に言えば、「F2を自家受精させて種子を作らせた。F2のつくった種子の表面はどうなっているか」ですね。
F2の遺伝子型を求めて、それを見ながらF2のつくる種子の表面を答えればよいわけです。F3の遺伝子型など求める必要はありません。
F3の遺伝子型を見てわかるのはF4の種子の表面です。
Q.プラスミドとは、どういうものですか?ベクターと違いがあるのでしょうか?
A.ベクターとプラスミドは違う用語です。ベクターとはもともと「運ぶもの」という意味で、遺伝子組換えの際、遺伝子の入れ物のことをざっくり指して使います(病気を運ぶ生き物を指して使う場合もありますが、今回は遺伝子組換えにおけるベクターについて説明します)。プラスミドは細菌などが持つ小さな環状DNAです。多くの細菌は、大きなDNAとは別にこの小さな環状DNA(プラスミド)を複数持ちます。プラスミドはたいてい、抗生物質に対する耐性遺伝子を持っています。もともとプラスミドは細菌が進化の過程で獲得したものですが、人がベクターとして使いやすいように改良されたものもあります(抗生物質耐性遺伝子が組込まれたり、制限酵素認識領域が組込まれたり)。プラスミドに目的の遺伝子をつなぎ、大腸菌に導入するとき、「ベクター(遺伝子の運び屋)としてプラスミド(環状DNA)を使う」などと言います。「乗り物(ベクター)として車(プラスミド)を使う」という言い方と似ています。ベクターには、プラスミドのほかにもウイルスのDNAから人工的に調製したものも使われます。ベクターのほうが意味が広いです。遺伝子を運ぶものは基本何でもベクターです。プラスミドは自然界で生まれたものです。人がたまたま見つけ、DNAクローニングに都合がよいからベクターとして利用するようになったのです。
Q.サンガー法についてなんですが、複製の起点となるプライマーに相補的な部分のDNAの塩基配列は分かっていることが前提なんですか?
A.実は非常に難しい問題なのですが、基本的にその通りです。高校範囲を超えます。なんとか配列のわかっているDNAの中に組み込む努力をすることもありますし、他の生物などの情報を論文で集めて、勘でプライマーの配列を予想して設計する場合もあります。
Q.ハーシーとチェイスの実験でバクテリオファージとかいてあったりT2ファージと書いてあるものもあるのですがどう違うのでしょうか?
A.T2ファージはバクテリオファージの一種です。他にも様々な種類のバクテリオファージがいます(T2だけでなく、T1~T7のT系ファージが知られています。これらのファージは大腸菌を宿主にします)。
Q.分子系統樹の作成の際に(他の核酸ではなく)rRNAを用いる事でのメリットは何ですか?回答をお願いします
A.全ての生物がr RNAを持つので全ての生物の間で比較がしやすいです。たとえば、DNA中のヘモグロビン 遺伝子で全生物を比較しようとしても、当たり前ですがヘモグロビン 遺伝子を持たない生物もいるので、比較ができなくなってしまいます。
また、r RNAは重要な役割をもっているので、進化の速度、つまり、変異の速度が遅く、近縁な種でなくても比較しやすいです(重要な分子ほど進化の速度が遅いらしいということが分かっています)。たとえば、いくつかの種で塩基配列を比べようとしても、その塩基配列が生物ごとにぐちゃぐちゃに違っていると、違いの数が膨大になり、比較のしようがありません。あの生物とは一つ違いがあり、この生物とは二つ違いがあり、などと、少しずつ違いを数えられるから系統樹が作れるのです。僕のもっている時計とあなたの持っている時計の比較は、文字盤が違う、針の長さが違う、などと比較できますが、僕の持っているシャーペンとあなたの持っているリュックでは、比較のしようがありません。少しずつ変異し、ある程度似ているから、どのくらい似ているかが比較できるのです。r RNAはゆっくり変異するので、多くの生物で配列が比較的似ています。なので比較がしやすいです。
●動物生理について
Q.(交感神経について)これから敵と戦おうとするときは興奮で顔が赤くなるようなイメージがあるんですけど、それはまた別の機構なんですか?
A.ストレスや情動に対する反応は謎が多く、顔面紅潮(の他にも、感動の涙、恐怖の涙などに)どう影響しているのか、まだわかっていません。交感神経の中に色々なグループがあることも、一層研究を複雑にしています。セロトニンという脳内神経伝達物質が過剰になると顔面紅潮を引き起こすことが知られていますが、高度な精神活動との関係はわかっていません(おっしゃる通り、恐れを感じた際の交感神経優位の状況では顔面が蒼白になるはずです。怒りを感じた場合では違う反応が起きていると考えられます。心臓の働きが高まったか?体温が上がったか?そもそも赤面は人特有の反応であるという見方もあります。とても興味深い問題ですが解明されていません)。
Q.ステロイドホルモンとステロイド剤は、同じものですか?ステロイド、副腎皮質ホルモンだと思うのですが?副腎髄質ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンもステロイドホルモンですか?
A.ステロイドホルモンとステロイド剤は、どちらも同じステロイド核という構造(炭素が特定の形で繋がった構造。正確にはシクロペンタノペルヒドロフェナントレン炭素骨格という構造)をもつ化合物です。副腎皮質ホルモンもこのステロイド核を持ちます。アドレナリンやノルアドレナリンはステロイド核を持ちません。なので、ステロイドホルモンとは言えません。
Q.質問です どうて間脳視床下部を介してランゲルハンス島に到達し、グルカゴンが作られる方法と、そのまま直接ランゲルハンス島からグルカゴンが作られる方法(血糖が直接α細胞を刺激する方法)があるのですか。
A.同じ命令でも、たくさんの伝達ルートがあったほうが、絶対に命令が伝わるので、安心ですね。(同じ要件を、電話とメールで二重に伝えれば、より安心ですね)
血糖値の調節は命に関わる大切なしくみなので、そのようにに進化して来たのでしょう。
Q.セロトニンホルモンは受容体は細胞の外か中か教えてください。
A.セロトニン受容体は細胞膜に埋め込まれています。セロトニン受容体の細胞外側にあるくぼみにセロトニンが結合します。
Q.セロトニンホルモンは受容体は細胞の外か中か教えてください。
A.セロトニン受容体は細胞膜に埋め込まれています。セロトニン受容体の細胞外側にあるくぼみにセロトニンが結合します。
Q.なんで受精にカルシウムイオンが関係あるのですか?
A.わかっていません。どうしてカルシウムイオンなのか、そもそも、カルシウムイオンに限らず、どうしてイオンの移動を使った情報伝達が生物界で多く採用されてきたのか、研究中です。カルシウムイオンを使った情報伝達のしくみ(特に、カルモジュリンとよばれるカルシウム結合タンパク質)は、すべての真核生物に存在し、進化上極めて高く保存されています。カルシウムを使った情報伝達のしくみは、受精だけでなく、筋収縮、細胞分裂、免疫応答、代謝調節、神経伝達、神経成長等に使われています。カルシウムイオンという、地球上(生命誕生の場所とされる海を含め)に豊富に存在するイオンを用いるしくみが、進化の結果広く生物界に残ったのかもしれません。
Q.胚葉の分化についてなのですが、脊索の分化後が問題集やワークでの説明が違かったりするのですが、 脊索は脊椎骨に分化するのでしょうか、それとも、消失してしまうのでしょうか。
A.カエルでは消失です。同じ場所に後から脊椎骨がつくられます。
Q.胚葉の分化についてなのですが、脊索の分化後が問題集やワークでの説明が違かったりするのですが、 脊索は脊椎骨に分化するのでしょうか、それとも、消失してしまうのでしょうか。
A.カエルでは消失です。同じ場所に後から脊椎骨がつくられます。
Q.初歩的な質問なんですが、精子が侵入した側は胚の背になるのでしょうか、腹になるのでしょうか?
A.実はよくわかっていないことも多いのですが、大学入試の範囲では『精子が進入した側は腹側になる』としてOKです。
精子進入側の反対側に灰色三日月環があらわれ(そのあたりに将来原口もつくられます)、灰色三日月環から動物極にかけてが背側になります。
まだ研究中ですので、「精子進入点の反対側に背側ができる(腹側形成のしくみや、背側と腹側の境界については触れない)」とぼやかして書くことが多いです。
Q.生物基礎の範囲で聞きたいのですが、交感神経と副交感神経はどこから出てますか?
調べたらところ参考書によって交換神経は脊髄って言ってるのもあれば、脳って抽象的なのもありました。
副交感神経神経は、中脳や延髄、脊髄って書いてるのもあれば、脳って書いてるのもあり、よくわからなくなりました。よろしくお願いします。
A.出る場所、伸びる場所、などと言われたら、高校では、
交感神経は脊髄、
副交感神経は中脳、延髄(中脳と延髄は脳の一部です)、脊髄と答えるのが普通です。
そこから自律神経がビョーンと体の各部に伸びているからです。
脳、と書いてある本があるのは、実は自律神経を支配する中枢、一番偉い細胞が、脳の一部である間脳の視床下部という領域にいるらしいことがわかっているからです。
「自律神経の最高中枢は間脳視床下部である」などと表現します。
Q.もし人間がカルシウムを摂取しなかったらトロポミオシンによって筋肉(体)は動かなくなるんですか?
A.すばらしい良い質問ですね。「研究のために何かを阻害する」という視点はとても大切です。
まずはおそらく骨のカルシウムが使われ、不足分を補うでしょう。それでもずっとカルシウムを摂取せずにいれば、筋肉が動かなくなるばかりか、神経も機能を停止していくはずです。また、血液凝固も起こりにくくなるでしょう。Ca2+は正常な筋収縮、シナプスでの興奮の伝達、血液凝固などに必要です。
Q.普段から開いているカリウムイオンチャネルと電位依存性カリウムイオンチャネルは別物ですか?
それとも普段から開いているカリウムイオンチャネルがナトリウムイオンチャネルが開いてる時には閉じるということですか?
A.普段から開いているカリウムチャネル(カリウムリークチャネル、もしくはカリウム漏洩チャネルなどと言います)と電位依存性カリウムチャネルは別物です。
Q.平衡電位って何ですか?
A.(大学内容ですが、)何か変化が起きて、その後平衡になった時の電位差のことです。 たとえば、細胞膜にあるチャネルが開いたり閉じたりすると、電荷を運ぶイオンがここぞとばかりに動いて、一時的に電位の状態が変化することがあります(生体内では、このように、チャネルさえ開けば移動したい!というイオンが沢山いるように保たれています。エネルギーを使ってポテンシャルが維持してある[変化しようとする原動力が蓄えてある]のです)。 しかしすぐに細胞外に出て行こうとする(電荷を持った)イオンの勢いと、細胞内に入ってこようとする(電荷を持った)イオンの勢いが釣り合って、見かけ上電位の変化が止まります。その状態が平衡電位です。 厳密には、平衡電位は「細胞内外であるイオンについての電気化学ポテンシャルが0になるときの膜電位」を言います。 つまり、何か変化しようとする(バランスを乱そうとする)勢いがなくなった時の膜電位を指します。
Q.すみません。カリウムイオンが細胞外から細胞内に入り込んで分極が起きる ということはありますか?
A.珍しいですがあります。耳のコルチ器にある有毛細胞です。 細胞の周りにある内リンパという液体が、特別に高濃度のカリウム濃度を持つことが、このような(例外的な)カリウムイオン流入による脱分極を可能にしています。 ただしわかってないことも多く研究中です。
Q.平衡電位って何ですか?
A.(大学内容ですが、)何か変化が起きて、その後平衡になった時の電位差のことです。 たとえば、細胞膜にあるチャネルが開いたり閉じたりすると、電荷を運ぶイオンがここぞとばかりに動いて、一時的に電位の状態が変化することがあります(生体内では、このように、チャネルさえ開けば移動したい!というイオンが沢山いるように保たれています。エネルギーを使ってポテンシャルが維持してある[変化しようとする原動力が蓄えてある]のです)。 しかしすぐに細胞外に出て行こうとする(電荷を持った)イオンの勢いと、細胞内に入ってこようとする(電荷を持った)イオンの勢いが釣り合って、見かけ上電位の変化が止まります。その状態が平衡電位です。 厳密には、平衡電位は「細胞内外であるイオンについての電気化学ポテンシャルが0になるときの膜電位」を言います。 つまり、何か変化しようとする(バランスを乱そうとする)勢いがなくなった時の膜電位を指します。
Q.すみません。カリウムイオンが細胞外から細胞内に入り込んで分極が起きる ということはありますか?
A.珍しいですがあります。耳のコルチ器にある有毛細胞です。 細胞の周りにある内リンパという液体が、特別に高濃度のカリウム濃度を持つことが、このような(例外的な)カリウムイオン流入による脱分極を可能にしています。 ただしわかってないことも多く研究中です。
Q.細胞膜にたくさんの種類のポンプやチャネルが、あるのに、ナトリウムーカリウムポンプとカリウムチャネルだけで、議論できるのは、どうしてですか?
A.もちろん、他のイオンの影響も受けます。カリウムイオンのみを考えた場合の理論値との誤差が報告されています。これは高校では教えませんが、教科書にあるイオン説はまだ仮説です。しかし、この仮説を支持する報告はたくさんあります。細胞膜内外の電気的な勾配を細胞内外のカリウムイオン濃度の値を用いて求めると、測定される静止電位の値とよく合うという報告があります。ナトリウムイオン濃度を考慮しない場合の値に近いので、ナトリウムイオンは普段受動輸送によって膜を通過できず、静止電位にほぼ影響しないことがわかります。
つまり、カリウムチャネルなどを単離することが可能になった現在においても、静止電位に関する機構については、実験結果に基づいた経験則を脱しきれていないのです。すべて大学レベルの話で、入試では突っ込まれませんが、気になるのであれば、ニューロンの生物物理の二版をお勧めします。イオン説を支持するたくさんの実験が記載されています。ご自身でよく疑問に思い、追求されたようで感心します。ぜひこれからもその自学自習の姿勢を大切にしてください。
Q.バソプレシンの他に神経分泌細胞から直接でるホルモンってありますか?
A.神経分泌細胞が脳下垂体後葉から分泌するホルモンには、バソプレシンの他にオキシトシン(子宮筋収縮を促す。滅多に問われない)があります。
脳下垂体後葉には、神経分泌細胞の軸索(神経細胞の細長い部分)が直接伸びていて、その末端からホルモンを分泌していますが、脳下垂体「前葉」ではそのような分泌は行われていません。
視床下部にある神経分泌細胞(脳下垂体後葉に伸びている細胞とは別の、もう少し軸索が短い細胞)は、放出ホルモンや抑制ホルモンを分泌します。放出ホルモンや抑制ホルモンは、血管の中を流れ、脳下垂体前葉にある細胞に作用します。
Q.トロポミオシンはカルシウムイオンとくっ付くとどのような反応が起こるのですか??ミオシン頭部とアクチンが結合するとしか書いてないので…
A.アクチンフィラメントには、『トロポミオシン』や『トロポニン』というタンパク質が結合しており(資料集があれば図を見てください)、静止時にはこれらのタンパク質がミオシンとアクチンの結合を邪魔しています(アクチンとミオシンが結合する部分、手をつなぐときの『手』に当たる部分を覆ってしまっています)。トロポニンがカルシウムイオンを受け取ると、トロポニンやトロポミオシンの位置がずれ、(ここが難しいですが、よくあることだと思って納得してください。タンパク質の構造を金属イオンが変化させることは珍しくないと考えられています。)アクチンのミオシン結合部位が露出し、アクチンフィラメントとミオシン頭部との結合が可能になります。
Q.ナトリウムカリウムポンプが機能不全になると脱分極が起こりナトリウムが細胞内に流入すると聞いたのですが、メカニズムがよくわかりません。ポンプ不全になると細胞外にカリウムが出ていき、細胞内にナトリウムが残ると思うのですが、なぜ脱分極が促進されてしまうのでしょうか?
A.前後の文脈があるようなのではっきりとは言えませんが、
ナトリウムポンプがうまく働かないと、細胞内外のカリウムの濃度勾配が小さくなります(本当は静止電位を求めるには計算が必要です)。
ポンプが働かず、細胞の中にあまりカリウムが移動しなくなるからです。
すると、カリウム漏洩チャネルから漏洩するカリウムも減ります。細胞外にカリウムがいつもより多く存在するので、そんなところにカリウムは行きたがりません(化学物質はなるべく均一な濃度になるように拡散します)。
したがって、細胞内にいつもより余計にプラスイオンがいるのですから、膜電位はより正になります(脱分極の方向に電位がズレます)。
この症状がもっともっと進み、完全にイオン濃度勾配が無くなると、ナトリウムチャネルが開いてもナトリウムイオンが動かず(イオンはチャネルを通って濃度の濃い方から薄い方へ移動する傾向がありますが、濃度勾配がないと見かけ上そのような移動はありません。したがって興奮は発生せず)、細胞の機能は停止すると考えられます。
ナトリウムポンプが不活化するとナトリウムが細胞内に流入するというのは、ナトリウムポンプによるナトリウムの汲み出しがうまくいかず、細胞内にナトリウムが溜まったままになる、という意味かもしれません。もしくは、細胞膜内外のイオンのバランスが崩れ、周囲の電位を察知して開く電位依存性ナトリウムチャネルが誤作動を起こす、という意味かもしれません(膜電位が静止時の陰性状態から脱し、マイナスから0mV側へと上昇を始めると、ある電位〔通常-70~-50mV〕でナトリウムチャネルが開く仕組みになっています。イオンバランスが破綻した状態では、予期せぬときにナトリウムチャネルが開くこともあるでしょう)。また、心筋に関して、ナトリウムポンプ阻害による心筋細胞内ナトリウムイオンの蓄積が起こり、本来ナトリウムカルシウム交換輸送体によって、流出するはずのカルシウムイオンが心筋細胞内に残ることで強心作用を引き起こす、という現象を想定しているのかもしれません。文脈がないので、正直なところよくわかりません。
いずれにしろ、完全に大学内容です。大学生になったら、生理学や神経科学の教科書で詳しく学んでみると良いと思います。
Q.問題で筋小胞体が出てきたのですが、それはどこにあってどういう役割を果たしているのですか??
A.筋小胞体は袋状の細胞小器官です。筋細胞内にあります。カルシウムイオンを貯蔵し、出したり入れたりします。筋肉の働きは「収縮と弛緩」です。いつ収縮し、いつ弛緩するかの制御を誤ると命にかかわります。カルシウムイオンは筋収縮についての信号の役割を持っています。筋小胞体からカルシウムイオンが放出されると、様々な反応がおこり、結果筋肉は収縮します。筋小胞体によるカルシウムイオンの分泌、回収は筋収縮のタイミングの制御にかかわっていると考えられています。
Q.血中のカリウム濃度が高くなると、なぜ心停止が起きるのか知りたいです!高カリウムになるとk+チャネルによる流出は行われず、ポンプによりカリウムは取り込まれて脱分極されっぱなしになるからでしょうか?
A.高カリウム血症ですね。大学内容です。
筋・神経系の興奮異常が主な症状で、意識障害、筋力低下、不整脈、伝導障害、心停止がみられることがあります。
おっしゃる通りK+は細胞外に流出しにくくなり、細胞内に+イオンが溜まる分、興奮時+の電荷をもつNa+が流入しにくくなり心停止に至ると考えられます。根拠となる論文は見たことがないのですが、大学生になったら調べてみるとよいかもしれません。
Q.もし可能でしたらお聞きしたいのですが、細胞内外のカリウム濃度勾配が低くなるとなぜナトリウムチャネルは開かなくなるのでしょうか、、
A.申し訳ありません。何か前後の文脈や論文の条件があるかもしれません。医療系の大学で学ぶ内容のようですね。 ナトリウムチャネルは、周囲の電位変化を察知して開くように設計されていますから、ナトリウムイオンの流入が遅れれば、周囲のナトリウムチャネルは開きにくいことになります(普通は、ナトリウムチャネルによるナトリウムイオンの流入がさらなるナトリウムチャネルの開口を促進し、さらなるナトリウムイオンの流入を生むようになっています)。 まずはじめに ①細胞外にK+が多くなる。 ②細胞内にK+が多くなる(おそらく、普段漏洩チャネルを通って細胞外に漏れる分のK+が、普段より漏れなくなると考えれらます。+イオンがたくさんあるところには+イオンはいきたがりません。実際は、イオンの移動を計算するのは複雑な計算式を使いますから、大雑把な話しかできません。しかし、おおよそ、静止電位についてはK+のみを考えればよいことが知られています。K+は普段細胞内に多いからこそ細胞外に漏洩したがるわけで、細胞外にもK+が多くなればK+は別に漏洩する理由がなくなります。結果、細胞内にとどまり続けるK+が増加するでしょう。また、細胞内も細胞外もK+が多いこの状況は、K+の濃度勾配が減少しているともいえます)。 ③普段より細胞内にK+が溜まっているため、細胞内の+の電荷が普段より多くなり、同じ+の電荷をもつNa+が流入しにくくなる。 ④電位変化が起きにくいため、周囲のナトリウムチャネルが開くのが遅れる。 これが高カリウム血症が活動電位の立ち上がりを遅くする原因です。 さらに症状がすすみイオンの濃度勾配が大きく崩壊すると、ナトリウムチャネルが開いたところでナトリウムイオンが流入せず、興奮は生じなくなります。また、イオンのバランスが崩れることにより、ナトリウムチャネルそのものの機能に影響が出ることも考えられます(タンパク質は正常なイオンバランスのもとでよく働くように設計されています。実際に、膜電位を人工的に色々いじると、イオンの透過性が増加または減少、場合によってはほぼ消失することが実験で確かめられています)。 繰り返しますが、条件や文脈があるようなので、僕が勘違いをしているかもしれません。
Q.ナトリウムイオンチャネルが開くのは、どういう理由ですか?
A.正に荷電したアミノ酸を用いて、ナトリウムチャネルは周囲の電位を感知していると考えられています。チャネルはタンパク質ですから、周囲の環境によって安定な状態に変化しようとします。それが、チャネルの開閉、不活化などの原因になっていると言われています。もちろん分子機構レベルの研究ですから、確定はされていません。もしもっと気になるようでしたら、ニューロンの生物物理第2版、またはTheCell細胞の分子生物学6版を読むと図があってわかりやすいです。高校内容ではありませんが、このような素朴な疑問はとても大切です。今後も自学自習の姿勢を大切にしてください。
Q.過分極が起こる理由ってカリウムが細胞の外に出て行くのとナトリウムの透過性が元に戻って細胞の中にはいれなくなってその2つの作用で起こると思ってたのですがこれって間違いですか?
A.負の分極が増加(より負になること)を過分極といいます。
興奮後、ナトリウムチャネルの活性化に遅れて、電位依存性カリウムチャネルが活性化するため、(仰る通り)カリウムイオンが細胞から流出し、膜電位はすばやく負に戻ります(過分極)。
Q.(ひとつ前の質問について)参考書の窒素同化の図でアンモニウムイオンがそのまま根に取り込まれ硝酸イオン→亜硝酸イオンの流れなしでグルタミンと反応してグルタミン酸になって〜(以下略)で各種アミノ酸になる工程が行われています。
これは後半の「どちらを優先してとり込むかにある程度の違いがある」というのが関係しているのですか? また、図によるとこの工程は葉ではなく根で行われているのですが、これは何故でしょうか?
Q.もし可能でしたらお聞きしたいのですが、細胞内外のカリウム濃度勾配が低くなるとなぜナトリウムチャネルは開かなくなるのでしょうか、、
A.申し訳ありません。何か前後の文脈や論文の条件があるかもしれません。医療系の大学で学ぶ内容のようですね。 ナトリウムチャネルは、周囲の電位変化を察知して開くように設計されていますから、ナトリウムイオンの流入が遅れれば、周囲のナトリウムチャネルは開きにくいことになります(普通は、ナトリウムチャネルによるナトリウムイオンの流入がさらなるナトリウムチャネルの開口を促進し、さらなるナトリウムイオンの流入を生むようになっています)。 まずはじめに ①細胞外にK+が多くなる。 ②細胞内にK+が多くなる(おそらく、普段漏洩チャネルを通って細胞外に漏れる分のK+が、普段より漏れなくなると考えれらます。+イオンがたくさんあるところには+イオンはいきたがりません。実際は、イオンの移動を計算するのは複雑な計算式を使いますから、大雑把な話しかできません。しかし、おおよそ、静止電位についてはK+のみを考えればよいことが知られています。K+は普段細胞内に多いからこそ細胞外に漏洩したがるわけで、細胞外にもK+が多くなればK+は別に漏洩する理由がなくなります。結果、細胞内にとどまり続けるK+が増加するでしょう。また、細胞内も細胞外もK+が多いこの状況は、K+の濃度勾配が減少しているともいえます)。 ③普段より細胞内にK+が溜まっているため、細胞内の+の電荷が普段より多くなり、同じ+の電荷をもつNa+が流入しにくくなる。 ④電位変化が起きにくいため、周囲のナトリウムチャネルが開くのが遅れる。 これが高カリウム血症が活動電位の立ち上がりを遅くする原因です。 さらに症状がすすみイオンの濃度勾配が大きく崩壊すると、ナトリウムチャネルが開いたところでナトリウムイオンが流入せず、興奮は生じなくなります。また、イオンのバランスが崩れることにより、ナトリウムチャネルそのものの機能に影響が出ることも考えられます(タンパク質は正常なイオンバランスのもとでよく働くように設計されています。実際に、膜電位を人工的に色々いじると、イオンの透過性が増加または減少、場合によってはほぼ消失することが実験で確かめられています)。 繰り返しますが、条件や文脈があるようなので、僕が勘違いをしているかもしれません。
Q.ナトリウムイオンチャネルが開くのは、どういう理由ですか?
A.正に荷電したアミノ酸を用いて、ナトリウムチャネルは周囲の電位を感知していると考えられています。チャネルはタンパク質ですから、周囲の環境によって安定な状態に変化しようとします。それが、チャネルの開閉、不活化などの原因になっていると言われています。もちろん分子機構レベルの研究ですから、確定はされていません。もしもっと気になるようでしたら、ニューロンの生物物理第2版、またはTheCell細胞の分子生物学6版を読むと図があってわかりやすいです。高校内容ではありませんが、このような素朴な疑問はとても大切です。今後も自学自習の姿勢を大切にしてください。
Q.過分極が起こる理由ってカリウムが細胞の外に出て行くのとナトリウムの透過性が元に戻って細胞の中にはいれなくなってその2つの作用で起こると思ってたのですがこれって間違いですか?
A.負の分極が増加(より負になること)を過分極といいます。
興奮後、ナトリウムチャネルの活性化に遅れて、電位依存性カリウムチャネルが活性化するため、(仰る通り)カリウムイオンが細胞から流出し、膜電位はすばやく負に戻ります(過分極)。
Q.樹状細胞による抗原提示でナイーブT細胞が活性化・増殖し、ヘルパーT細胞やキラーT細胞になるというのは動画では省略していますか?それとも、もともとそんな工程はないのですか…?A.おっしゃる通り、樹状細胞からの刺激を受ける前の、活性化していないT細胞をナイーブT細胞といいます。
しかし、活性化する前から、おおよそT細胞の運命(ヘルパーT細胞、キラーT細胞の区別)が決まっているというのが定説です(最近後から変更可能らしいという説が出ていますが、大学院レベルの話です)。ですので動画ではヘルパーT細胞、キラーT細胞が樹状細胞から刺激を受けているように(ふつう入試ではそう表現されます)描いています。
まだヘルパーT細胞、キラーT細胞の運命の分かれ道について(いつ決定されるのか・変更可能なのか)研究中ですので、教科書によっては、樹状細胞から刺激を受けている細胞を「ナイーブT細胞」として、「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」などと書かないものがあります。(特に、ヘルパーT細胞は活性化された後、分泌するサイトカインによって多くの種類に分けられるようになることから、大学では抗原と出会う前のヘルパーT細胞をナイーブヘルパーT細胞などといって区別することもあります。でも、ナイーブの状態や、維持のされかた、分化の段階やタイミングなど、詳しいしくみは高校生は習いませんしわかっていないことも多いので、気にする必要ありません。様々な説があり入試にもまず出ません)。
その後、抗原提示を受けたT細胞が活性化、増殖するのはおっしゃる通りです。テストにあまり出ないので省略していますが、ヘルパーT細胞も活性化、増殖し、食細胞の働きを活発にさせます(実は、まずこのしくみから解明されました。「細胞」性の名前の由来は「食細胞の活性化」です)。
Q.MHCの存在場所は白血球のみじゃなくて赤血球を除く全ての細胞(この定義はMHCクラス1)が持ってるという認識でいいですか?
A.正しいです。クラス1分子は人ではほぼすべての組織で強く発現しています。
Q.(細胞性免疫について)ウイルスに感染した細胞の抗原提示をキラーT細胞が受け取る?みたいな図があるんですけどなにが起きてるんですか??
Q.MHCの存在場所は白血球のみじゃなくて赤血球を除く全ての細胞(この定義はMHCクラス1)が持ってるという認識でいいですか?
A.正しいです。クラス1分子は人ではほぼすべての組織で強く発現しています。
Q.(細胞性免疫について)ウイルスに感染した細胞の抗原提示をキラーT細胞が受け取る?みたいな図があるんですけどなにが起きてるんですか??
A.すこし難しいのですが、ウイルスに感染した細胞は、ウイルスの特徴を持つ断片を自分の表面上に提示します。自分がウイルスに感染してるよ、というメッセージを表面に出すんですね。
キラーT細胞は、そのウイルス感染細胞が提示した断片を、自分の受容体で認識してから、ウイルス感染細胞を殺傷します。あまり正確な言い方ではありませんが、T細胞には目や鼻がありませんから、自分の受容体で提示された断片をさわって、殺していい相手かどうか確かめているのです。
Q.消化酵素は外分泌腺によって分泌されますか?
A.されます。
Q.(キラーT細胞がウイルス感染細胞を)殺すかどうかの最終判断についてなんですが、その際に樹状細胞で認識したウイルスと異なるウイルスの場合は殺せないのでしょうか。
A.基本的には殺せません(正確ではありませんが、高校範囲ではありません。実際はキラーT細胞にもいろいろ種類があり、それぞれ反応系が異なるのですが、大学に入ったら免疫学の教科書で学んでみてください)。キラーT細胞は樹状細胞などが断片化した抗原しか認識せず、(樹状細胞等のはたらきかけがないと活性化することができず)勝手にウイルスを見極めて判断できないようになっています。ウイルス感染細胞を殺すキラーT細胞は、「自分の体の細胞でも必要ならば殺してしまう」という一歩間違えば非常に危険な働きを持つので、自分一人で暴走しにくい仕組みになっていると考えられています。
Q.消化酵素は外分泌腺によって分泌されますか?
A.されます。
Q.(キラーT細胞がウイルス感染細胞を)殺すかどうかの最終判断についてなんですが、その際に樹状細胞で認識したウイルスと異なるウイルスの場合は殺せないのでしょうか。
A.基本的には殺せません(正確ではありませんが、高校範囲ではありません。実際はキラーT細胞にもいろいろ種類があり、それぞれ反応系が異なるのですが、大学に入ったら免疫学の教科書で学んでみてください)。キラーT細胞は樹状細胞などが断片化した抗原しか認識せず、(樹状細胞等のはたらきかけがないと活性化することができず)勝手にウイルスを見極めて判断できないようになっています。ウイルス感染細胞を殺すキラーT細胞は、「自分の体の細胞でも必要ならば殺してしまう」という一歩間違えば非常に危険な働きを持つので、自分一人で暴走しにくい仕組みになっていると考えられています。
Q.(腎臓について)血しょうと原尿でのイヌリンの濃度はなんで同じなの?原尿には含まれないタンパク質とかが無い分少し濃くなるんじゃないの?
A.濃度をどう定義するかによります。
この場合は水が主な溶媒なので、一定の水の体積に対してどれだけの量イヌリンが含まれているかをイヌリン濃度[g/ml]と呼んでいます(質量パーセント濃度[%]で考えても、血しょうや原尿の重さはほとんど水の重さで決まるので、高校では水以外の物質の重さは無視して大丈夫です)。
他の溶質が何か影響を与えないかという質問のようですが、他の溶質が水分子の相互作用に影響を与え、超微少な体積の変化を引き起こすことはあるでしょう。しかし、無視します。水1リットルに塩を溶かしても水は1リットルのままです。
おっしゃる通り(このような考え方はあまり一般的ではありませんが)、全分子に対するイヌリンの分子数の割合は当然変動します。
Q.内分泌腺によって分泌される物質は「全て」ホルモンですか?
またホルモンは内分泌腺によって「のみ」放出されますか?細かいですがお願い致します
A.内分泌腺から分泌される物質は全てホルモンか、という質問ですが、そうは思いません。生きている細胞は不要な物質の分解産物を細胞外に放出し捨てているはずです。手元に証拠の論文が無くて申し訳ないのですが、大学に入ったら調べてみてください。
ホルモンは内分泌腺によってのみ放出されるか、という質問ですが、そのように考えて良いと思います。ホルモンの定義を、内分泌腺から分泌される情報伝達物質、とする本が多いからです。生物用語の使い方には学者によって揺れがあるのですが、たとえば南山堂医学大辞典ではそのように定義しています。
ホルモンは内分泌腺によってのみ放出されるか、という質問ですが、そのように考えて良いと思います。ホルモンの定義を、内分泌腺から分泌される情報伝達物質、とする本が多いからです。生物用語の使い方には学者によって揺れがあるのですが、たとえば南山堂医学大辞典ではそのように定義しています。
Q.(すい臓ランゲルハンス島への信号命令に)何故ふたつのルートがあるのか分かりますか??
A.進化の結果なので明確な答えは出せませんが、複数血糖を感知する仕組みを持つことで(実はグルカゴンやインスリンに関して、高校で習わない分泌抑制、促進の仕組みがいくつかあります。完全に解明されていません)どれかの仕組みに異常が起こった時も他の仕組みが補えるようにするためかもしれませんし、より精密な分泌調節が出来るようにするためかもしれません。
Q.形質細胞が抗体を出すとあったのですが、形質細胞は抗体産生細胞の別の言い方ですか?
A.その通りです。
Q.すみません。質問したいのですが・・・ あの、原口背唇部は外胚葉を神経管に誘導するじゃないですか。それで神経胚の場合も神経版から神経管を作るじゃないですか。断面の構造見ると神経管が1個しか見られないんですけどどうなっているんですか( ・ ・̥̥̥ )テストに出るので理解したいです。宜しくお願いします。
A.原口背唇部は外胚葉から神経板(になる細胞)を誘導します。出来た神経板はまるまって神経管になります。
Q.卵黄プラグと卵黄栓ってなにがちがうんですか。
A.同じものを指します。
Q.ホルモンと神経伝達物質の違いを教えていただけないでしょうか。セロトニンをホルモンという人もいるし神経伝達物質という方がいて、頭がごっちゃになってます。
A.ふつうニューロンがシナプス後ニューロンに分泌する物質(たとえばセロトニン)は神経伝達物質に分類します。が、ホルモンの定義をかなり広くとらえる人(血流を介さずに自身や近接する細胞に働きかける生理活性物質、神経伝達物質を含む情報伝達物質すべてをホルモンととらえている人)はホルモンと呼んだりします。大学入試ではホルモンの例、神経伝達物質の例は資料集に出てくるものを覚えれば十分です。高校ではホルモンは血流で運ばれて標的細胞に特定の応答を引き起こす物質としています。セロトニンが強力な平滑筋収縮作用をもっていることは確かで、神経伝達物質としてだけではなくホルモンとしても働いているらしいことはわかっていますが、完全には作用機構は解明されていないようです。いずれにしろ高校範囲外です。今はセロトニンは神経伝達物質として覚えておいて、大学に入ってから論文や生理学の教科書で調べてみると良いと思います。
Q.地球規模での窒素の循環に影響を与えてる活動ってなにがありますか?
A.もちろん細菌による窒素固定と硝化作用、脱窒素作用があります。人間の活動でいえば、工業的な窒素の固定が行われています。農作物の窒素肥料生産のためです。工業的には、触媒を用いて、高温・高圧の下、窒素からアンモニアをつくります。
Q.形質細胞が抗体を出すとあったのですが、形質細胞は抗体産生細胞の別の言い方ですか?
A.その通りです。
Q.すみません。質問したいのですが・・・ あの、原口背唇部は外胚葉を神経管に誘導するじゃないですか。それで神経胚の場合も神経版から神経管を作るじゃないですか。断面の構造見ると神経管が1個しか見られないんですけどどうなっているんですか( ・ ・̥̥̥ )テストに出るので理解したいです。宜しくお願いします。
A.原口背唇部は外胚葉から神経板(になる細胞)を誘導します。出来た神経板はまるまって神経管になります。
Q.卵黄プラグと卵黄栓ってなにがちがうんですか。
A.同じものを指します。
Q.ホルモンと神経伝達物質の違いを教えていただけないでしょうか。セロトニンをホルモンという人もいるし神経伝達物質という方がいて、頭がごっちゃになってます。
A.ふつうニューロンがシナプス後ニューロンに分泌する物質(たとえばセロトニン)は神経伝達物質に分類します。が、ホルモンの定義をかなり広くとらえる人(血流を介さずに自身や近接する細胞に働きかける生理活性物質、神経伝達物質を含む情報伝達物質すべてをホルモンととらえている人)はホルモンと呼んだりします。大学入試ではホルモンの例、神経伝達物質の例は資料集に出てくるものを覚えれば十分です。高校ではホルモンは血流で運ばれて標的細胞に特定の応答を引き起こす物質としています。セロトニンが強力な平滑筋収縮作用をもっていることは確かで、神経伝達物質としてだけではなくホルモンとしても働いているらしいことはわかっていますが、完全には作用機構は解明されていないようです。いずれにしろ高校範囲外です。今はセロトニンは神経伝達物質として覚えておいて、大学に入ってから論文や生理学の教科書で調べてみると良いと思います。
Q.未知のウイルスが侵入してきた場合は遺伝子を組みあわせて戦える抗体を作るってことですよね。そこで質問なのですが、どのように戦える抗体のレシピを見つけるのか、作るのにどのくらい時間がかかるのか、また戦える抗体をつくれないなんていうウイルスは存在しますか?
A.
・どのように戦える抗体のレシピを見つけるのか。
まったくのランダムです。恐ろしく多くの種類のリンパ球をつくっておき、偶然自分が退治できる抗原と出会い、反応したリンパ球が急激に増殖するのです(詳しくは少し難しいのですが、たとえばB細胞は自身の遺伝子を再編集するので、莫大な種類のB細胞ができます。それぞれ異なる抗体をつくる能力をもっています。B細胞は自身のもつ受容体[これも、そのB細胞がどのような抗体をつくるかによって形が変わっています]で抗原の立体構造を認識し、その抗原の立体構造が自身の抗体で退治できそうなことを確認したら、活性化する準備をはじめるのです。ぜひご自身で学校の教科書や資料種等で勉強してみてください)。
・作るのにどのくらい時間がかかるか。 抗原の種類や体内環境の条件によって変わります。平均値はわかっていないと思います。数週間とする資料が多いように思います。 ・戦える抗体をつくれないウイルスはあるか。 わかっていません。おそらくありません。そもそも、正確な話をすれば、抗原と抗体の結合は、くっつくかくっつかないかの2択ではなく、親和性の問題なのです。くっつきやすいかくっつきにくいかです。したがって「戦える」の定義によって答えが変わると思います。また、増殖速度等が大きく、獲得免疫が間に合わない(その前に死に至る)場合もあるでしょう。
Q.脱分極、再分極が骨格筋・心筋の収縮に関与するメカニズムを教えていただきたいです。
A.骨格筋の収縮について 運動神経から分泌されたアセチルコリンという物質が筋細胞膜にある受容体に結合すると、筋細胞膜に興奮を引き起こします(筋細胞膜で脱分極が起きます)。さらにその脱分極がきっかけとなって(詳しくは高校範囲外ですが、脱分極が、T管にあるタンパク質を変化させるによって)筋小胞体からカルシウムイオンが放出され、筋収縮が起きます。 心筋については高校範囲外ですが、T管の興奮後、細胞外からカルシウムイオンが流入して筋収縮が起こると考えられています。
Q.再分極の時はアセチルコリンの刺激はないが心筋は常に動いていると思うのですが、再分極の時は心筋はなにが刺激となってどのようにして動いているのでしょうか?
A.高校範囲を越えますが、洞房結節の細胞にはペースメーカ電位が生じています。洞房結節の細胞をばらばらにして見て見ると、それぞれの細胞が独自のリズムで収縮を繰り返しています。 ペースメーカ電位では、活動電位終了後に膜電位が静止電位とならずに、再び(自発的に)ゆっくりと脱分極を起こします。そしてまた活動電位を生じます。 どのようなしくみでこの特殊な電位、ペースメーカ電位が発生しているのかは研究中です。特別なナトリウムチャネルが関わるとされています。大学生になったら調べてみてください。
・どのように戦える抗体のレシピを見つけるのか。
まったくのランダムです。恐ろしく多くの種類のリンパ球をつくっておき、偶然自分が退治できる抗原と出会い、反応したリンパ球が急激に増殖するのです(詳しくは少し難しいのですが、たとえばB細胞は自身の遺伝子を再編集するので、莫大な種類のB細胞ができます。それぞれ異なる抗体をつくる能力をもっています。B細胞は自身のもつ受容体[これも、そのB細胞がどのような抗体をつくるかによって形が変わっています]で抗原の立体構造を認識し、その抗原の立体構造が自身の抗体で退治できそうなことを確認したら、活性化する準備をはじめるのです。ぜひご自身で学校の教科書や資料種等で勉強してみてください)。
・作るのにどのくらい時間がかかるか。 抗原の種類や体内環境の条件によって変わります。平均値はわかっていないと思います。数週間とする資料が多いように思います。 ・戦える抗体をつくれないウイルスはあるか。 わかっていません。おそらくありません。そもそも、正確な話をすれば、抗原と抗体の結合は、くっつくかくっつかないかの2択ではなく、親和性の問題なのです。くっつきやすいかくっつきにくいかです。したがって「戦える」の定義によって答えが変わると思います。また、増殖速度等が大きく、獲得免疫が間に合わない(その前に死に至る)場合もあるでしょう。
Q.脱分極、再分極が骨格筋・心筋の収縮に関与するメカニズムを教えていただきたいです。
A.骨格筋の収縮について 運動神経から分泌されたアセチルコリンという物質が筋細胞膜にある受容体に結合すると、筋細胞膜に興奮を引き起こします(筋細胞膜で脱分極が起きます)。さらにその脱分極がきっかけとなって(詳しくは高校範囲外ですが、脱分極が、T管にあるタンパク質を変化させるによって)筋小胞体からカルシウムイオンが放出され、筋収縮が起きます。 心筋については高校範囲外ですが、T管の興奮後、細胞外からカルシウムイオンが流入して筋収縮が起こると考えられています。
Q.再分極の時はアセチルコリンの刺激はないが心筋は常に動いていると思うのですが、再分極の時は心筋はなにが刺激となってどのようにして動いているのでしょうか?
A.高校範囲を越えますが、洞房結節の細胞にはペースメーカ電位が生じています。洞房結節の細胞をばらばらにして見て見ると、それぞれの細胞が独自のリズムで収縮を繰り返しています。 ペースメーカ電位では、活動電位終了後に膜電位が静止電位とならずに、再び(自発的に)ゆっくりと脱分極を起こします。そしてまた活動電位を生じます。 どのようなしくみでこの特殊な電位、ペースメーカ電位が発生しているのかは研究中です。特別なナトリウムチャネルが関わるとされています。大学生になったら調べてみてください。
●生態系について
Q.(死亡量、成長量について)死んでしまったり食べられたら成長量が残ってても成長できなくないですか?
A.一個体のみを考えたならばおっしゃる通りで、調査の途中でその個体が誰かに食べられていなくなってしまっては、一年後の成長量など測定できません(しかし死亡量は、その個体から抜け落ちる毛や角質等の量として考えることもあります)。
なので、一般にこのような研究は、生物「集団」に対して行うのが普通です。生態学においては、1匹の生物を見るよりむしろ、その生物集団全体を相手にすることが多いのです。
この森にたくさんいるウサギ集団のうち、どれくらいが死亡したのか?どれくらいが食べられてしまったか?そしてウサギ集団はこの一年でどれくらい成長(ウサギ全員分の総重量等が変化)したのか?を問題にすることが多いです。Q.地球規模での窒素の循環に影響を与えてる活動ってなにがありますか?
A.もちろん細菌による窒素固定と硝化作用、脱窒素作用があります。人間の活動でいえば、工業的な窒素の固定が行われています。農作物の窒素肥料生産のためです。工業的には、触媒を用いて、高温・高圧の下、窒素からアンモニアをつくります。
Q.作用と環境形成作用の違いはなんですか?調べてもよくわかりません
A,生き物以外が生き物に影響を与えることを、作用と言います(物理に出てくる作用とは全く違う言葉だと思いましょう)。例えば、「日光が増すことによって植物の成長が促進される」場合、これを日光の作用といいます。
『光』という『生きていないもの』(光は生きていませんよね!)が『植物』という生物に影響を与えたからです。
日の光や雨といった、生物以外がつくる環境を非生物的環境と言います。したがって、作用は「非生物的環境が生物の生活に影響を及ぼすこと」とも言えます。
ざっくりした定義しかないので、この程度を覚えておけばオーケーです。
逆に、環境形成作用(反作用とも言います)とは、生物が周囲の環境を変化させることを言います。例えば、「人の呼吸により大気中のCO2が増える」ことは、環境形成作用と呼べます。人という生物が、『大気』という『生きていないもの』(大気は生きてませんよね!)に影響を与え、その組成を多少なりとも変化させたからです。
作用、環境形成作用は、定義が広く曖昧なので、問題に出る時は、はっきり生物とそうでないものが登場します(引っ掛けとして、食う食われるの関係など、生物どうしが影響を与え合うような選択肢も登場しますが、惑わされてはダメです)。
『生きていないもの』の有名な代表例として、『温度、光、水、大気、土壌』を知っておけば、判断しやすくなります。
Q.(死亡量について)うさぎが死んじゃった時に使う有機物ってなんですか??なんだか、ピンと来ないです…
A.死んでしまったウサギは、ウサギ集団の成長(成長量)には寄与しませんね。死んでしまったウサギは、ウサギ全体の(ウサギ全体の持つ有機物量)の増分にはなりません(細かい話をすれば、死んでしまったウサギの持つ有機物は、土の中等にいる分解者にわたされてしまいます)。
もしあなたが新たに1000円手に入れて(同化量=1000)も、食費など生命維持に100円使い(呼吸量=100)、100円道に落としてしまい(死亡量=100)、100円お兄さんに奪われ(被食量=100)てしまうと、あなたのサイフの中身は700円しか成長しないことになります(成長量=1000-100-100-100=700)。
死亡量は、つまり自分達の成長のために使えなかった量なのです。
*ちなみに、この物質収支の話は、研究によっては、生物1匹に対しても使うことがあります。その場合は、「ウサギの死亡量」は、個体から剥がれ落ち死亡した細胞に含まれる有機物量、たとえば「抜け毛に含まれる有機物量」を指します。この場合も、死亡量=ウサギの成長に使えなかった量であるということは変わりません。
Q.同化量=総生産がわからなかったです
A.厳密にはイコールではありません。消費者にとっての同化量は植物にとっての総生産量に概念が似ている(相当する)というだけです。
●総生産量=独立栄養生物(植物など)による有機物生産量。このつくった(生産した)有機物(このような光エネルギーを吸収してつくった有機物は高いエネルギーを持ちます)は、『呼吸や、自らの成長などに使われる』。
●同化量=摂食によって獲得した(注)有機物量。この有機物は、『呼吸や、自らの成長などに使われる』。
とても似ているでしょう。似た概念といっても差し支えないので、「生産者の総生産量は消費者の同化量に相当する」などと表現されることがあります。
(注)ちなみに、同化量と摂食量を混同してはいけません。動物のフンに有機物が含まれていることを見ればわかるように、食べた(摂食した)ものがすべて体に取り込まれるわけではありません。消化されずにフンとして排出されてしまうものもあります。同化量はそのような不消化のまま排出された量を摂食量から除いた量です。
同化量=摂食量ー不消化排出量
(不消化排出量は主に消費者にしか使わない言葉です。植物は[狭義の]フンをしませんからね)
Q,この動画の質問ではないんですが、
ずっと調べてて分からなくて高校の先生もわからないとおっしゃっていたので最後の頼みで矢口先生に質問しますお願いします( ˃ ⌑ ˂ഃ )
①違う栄養段階で種間競争は起きますか?
②バイオームの問題で、極相までにかかるおよその年月が知りたいです。
冷温帯は(夏緑樹林)1000年と言われることは知ってるのですが、他の暖温帯、亜熱帯、亜寒帯は何年で極相に達しますか??
A.①「種間競争=異種の個体群間にみられる競争。生活要求の類似した近縁種間では,しばしば激しい競争が起こる。」
が岩波生物辞典による定義です。
異なる栄養段階でも見られるであろうと思います(そもそも栄養段階の分け方が、食物連鎖の辿り方次第でコロコロ変わることにも注意してください。人がピザを食べた時、肉の部分を食べたなら、人は二次消費者に、小麦粉の部分を食べたなら人は一次消費者になります)。
何か資源を争って負の相互作用が見られれば競争と呼ぶので、例えば、乾季に水を争うライオンと象は競争しています。
②
非常に難しいです。どこかで、針葉樹林の形成される地域でも、極相に至るまでに千年を超えると読んだ覚えがありますが、本当に申し訳有りません、正確な論文を見た覚えがありません。
何かヒントになればと思うのですが、
以前、東京大学で生態学の研究をされている先生に、遷移についてお話を伺ったことがあります。遷移を一般化することは不可能に近いとのことでした(しかし極相種が強い耐陰性をもつということだけはおおよそ共通していると言って良いそうです)。
何故ならば、同じ気候帯と言っても、先駆種の種類や進入の早さは、周囲にどのようなバイオームがどれだけの量あるかで変わってきますし、その土地がどの方角にどれだけ傾いているかだけでも光の差し具合(植物の成長速度)が変わってきます。将来優占種となるであろう種の成長速度によっても当然変わってきます。同じ山でもエリアによって極相種が異なるということもあります。
極相まで至る大体の年月を問う問題を見たことがありますが、その問題自体ナンセンスで、数少ない研究のみに注目して問うていると考えられます。
例えば、周りが海に囲まれた島よりも、周りに森がある内陸での遷移の方が早く進行すると言われています。
すいません、答えになっていませんが、許してください。
入試問題では遷移は数百年から千年を超えるスケールで起こる、ということを覚えておけば良いわけですが、しかし、あなたのような疑問を持つことは非常に大切で、素晴らしいことです。
●植物生理について
Q.胚のう母細胞ってせっかく減数分裂したのに3/4消失させて、結局何が変わったんですか?
A.まず、減数分裂の最大の目的である、染色体の半減は完了しています(染色体数を減数する目的で行う分裂だから減数分裂ですよね。よく、細胞の数を増やすことが目的で減数分裂を行うと勘違いしている高校生がいますが、違います。減数分裂の目的は染色体の半減です。細胞数をどんどん増やす目的で行われる分裂は「体細胞」分裂と言って、別の生命現象です)。
そして、一見、4個中3個の細胞が無駄になってしまったように見えますが、実はその3個に行くはずだった栄養分が、残り一個に集中しているのです。だから残った1つが大きいのですね。
その栄養は、実際に受精が起こった後、新個体(赤ちゃん)の発生のために使われます。
貧弱な新個体をたくさん作るより、栄養をたくさん持った、確実に生き残るであろう新個体を1つ作った方が有利だ、という戦略だと考えられます。
Q.夏に咲く短日植物が冬にもう一度咲くような感じで、短日植物が限界暗期よりも暗期が長い時期に、二度花芽形成することは無いんですか?
A.あります。一般に二度咲きと呼ばれる現象です。しかし、ほぼ原理はわかっていないと思います。申し訳ありません。大学生になったら調べてみてください。
大学入試では考えなくて大丈夫です。そのような場合はリード文で条件が説明されます。
これは余談ですが、高校で学ぶ花芽形成より、現実の花芽形成はもっと複雑です。植物ごとに、日長と温度が花芽形成にどのように関わるかは異なります。花芽創始、花芽分化、花芽発達、花芽成熟、開花の、それぞれのステップに異なる条件、例えば短日や気温条件が必要になる場合があります。日長条件が花芽形成に「必要」なだけなのか(日長を質的に感知しているのか)、日長条件が開花形成を「より促進」させるのか(日長を量的に感知しているのか)も植物ごとに異なります。
極端な例として、シャコバサボテンは、気温15度のもとでは、中性植物のように、20度では短日植物のように花芽形成します。
二度咲きもおそらくは日長だけでなく気温、そして栄養蓄積量が関係していると思いますが、明確なことはわかっていません。
Q.脱窒って何を目的にするんですか?
あと、なぜアンモニア→亜硝酸イオン→硝酸イオン→亜硝酸イオン→アンモニアにするんですか?
結局はアンモニアが欲しいけどアンモニアのままじゃ取り入れることができないからですか?
A.脱窒は一種の呼吸です。酸素の代わりに硝酸を使う呼吸で、硝酸呼吸と言われます。
後半の質問ですが、おっしゃる通りです。大学受験においては、「植物はアンモニアが欲しいが、周囲に硝酸がたくさんあるので、硝酸を利用する」と考えて問題ありません。しかし、実際は、植物によって、さらに生育環境によってアンモニアと硝酸、どちらを優先して取り込むかにある程度の違いがあるらしい、つまり、その時々で「好み」があるらしいことがわかってきています。詳しくは解明されていません。
Q.(ひとつ前の質問について)参考書の窒素同化の図でアンモニウムイオンがそのまま根に取り込まれ硝酸イオン→亜硝酸イオンの流れなしでグルタミンと反応してグルタミン酸になって〜(以下略)で各種アミノ酸になる工程が行われています。
これは後半の「どちらを優先してとり込むかにある程度の違いがある」というのが関係しているのですか? また、図によるとこの工程は葉ではなく根で行われているのですが、これは何故でしょうか?
A.アンモニアと硝酸、どちらかしか取り込まないというわけではなく、アンモニアを取り込んでそのようにアミノ酸合成に使うこともあります。
窒素同化を行う場所は諸説ありますが、窒素源がアンモニアの場合は根で行われることが多いようです。これも植物によって差があります。詳しくは大学入学後ご自身で植物生理学の教科書で調べてみてください。
Q.(脱窒について)NO3- からN2 になる過程でエネルギー吸収されちゃう気がするんだけど、
A.もちろん指導してくださる先生によると思うのですが、個人的な意見としては、生物を予習しておくべきです。
案外、用語の穴埋めや、例題程度の問題は、自習で十分こなせます。浅い理解と言われてしまえばそれまでなのですが、しかし、そこまで仕上げておけば、今後非常に有利です。 教科書を軽く一読し、資料集や問題集のまとめのページを見ながら、問題を解いておくことをお勧めします。 高校の教材は、入試に出ないような細かい生命現象や、ややこしい例外を隠していますから、勉強していて疑問が出るのは当然です。その辺は今は気にせず、ひとまず置いておきましょう。学問では、まずは大枠を掴むことが大切です。どうしても気になる時はネットで用語の定義を調べたり、大学が出している研究成果の報告などを読んでみましょう。 (どうしても疑問が解消されなければ、連絡手段があるのであれば学校の先生に質問したり、このチャンネルのコメント欄に質問したりしましょう。しかし、大抵、生徒が自身で徹底的に調べて解消されないような疑問は、生物学的に未解明のことであったり、用語の定義が決まっていないということが多いです。つまり大学入試に問われないことです) この状況で前向きに自習を続けることは本当に大変なことでしょう。十分心身の健康に気を付けてください。応援しています。
脱窒素細菌はどっからエネルもってきてんだろ。
A.大学内容ですが、脱窒素作用では、硝酸呼吸という一種の異化反応が起こっています(呼吸のように、外界にある有機物をエネルギー源として、ATPをつくる反応です)。呼吸とは違い、電子受容体として「酸素」の代わりに「硝酸」を用いていると考えられています(呼吸では酸素を電子の最終的な受取り手として電子伝達系を動かしATPをつくりますが、硝酸呼吸では、硝酸を電子の最終的な受取り手として、特殊な電子伝達系を動かしてATPをつくっています)。詳しくは解明されていません。高校では触れませんが、大学に入ったらご自身でも調べてみてください。
●学習・進路について
Q.今年受験で生物を使うのですが、コロナにより生物の授業が受けられていません、、、
生物基礎は一通り復習したので生物の勉強をしたいのですが、いかんせん授業がないのでよくわかりません。
授業が始まるまで予習はしておくべきでしょうか?
それとも授業が始まるまではひたすら生物基礎の復習を何回もするべきなのでしょうか?
よければ返答よろしくお願いしますA.もちろん指導してくださる先生によると思うのですが、個人的な意見としては、生物を予習しておくべきです。
案外、用語の穴埋めや、例題程度の問題は、自習で十分こなせます。浅い理解と言われてしまえばそれまでなのですが、しかし、そこまで仕上げておけば、今後非常に有利です。 教科書を軽く一読し、資料集や問題集のまとめのページを見ながら、問題を解いておくことをお勧めします。 高校の教材は、入試に出ないような細かい生命現象や、ややこしい例外を隠していますから、勉強していて疑問が出るのは当然です。その辺は今は気にせず、ひとまず置いておきましょう。学問では、まずは大枠を掴むことが大切です。どうしても気になる時はネットで用語の定義を調べたり、大学が出している研究成果の報告などを読んでみましょう。 (どうしても疑問が解消されなければ、連絡手段があるのであれば学校の先生に質問したり、このチャンネルのコメント欄に質問したりしましょう。しかし、大抵、生徒が自身で徹底的に調べて解消されないような疑問は、生物学的に未解明のことであったり、用語の定義が決まっていないということが多いです。つまり大学入試に問われないことです) この状況で前向きに自習を続けることは本当に大変なことでしょう。十分心身の健康に気を付けてください。応援しています。
Q.はじめまして、私は今年薬学部に入るものなのですが、高校の生物を全くやったことがなく、友達にこの動画を勧められたのですがどこからみたらいいかわかりません!教えていただけませんか??
A.ありがとうございます。その気持ちは非常に素晴らしいと思いますし、個人的にもとても嬉しく思います。
しかし、申し訳ないのですが、この動画は、学生諸君が自身の教材(教科書、参考書、論文)や友達との対話によって学び、その中で理解しにくい場所があった時に、ぜひ学習の補助として活用してほしいと思って作成したものです。
いずれ、自身で論文を読み、専門書を読み、内容をまとめ直しながら学問を続けることになるでしょう。それは苦しい作業であると同時に、真っ当な学問の学び方だと思っています。実を申しますと、その作業を軽減する、もしくは、その作業に取って代わるものをつくる狙いで動画を撮ったのではないのです。
ですから、ぜひ、教授の指定なさった教科書で、もしくは市販されている生物学の参考書(大学生向けでも高校生向けでも今はそう内容が変わりませんから、好みで選んで良いと思います)で勉強をしながら、もし動画のタイトルにあるようなワードが出てきたら動画も「一応見ておく」程度の使い方をしてほしいと思います。
人類にとって大きな価値のある学部の、熱心な学生さんに興味を持って頂けて光栄です。頑張ってください。
Q.初めまして。いつも先生の動画で学ばせていただいてます。
相談なのですが、僕は今年大学入試を控えています。最近、実践問題を多くやっているせいか、忘れてしまっている分野が多くなってきてしまいました。
毎日全範囲見返すというのもほかの教科との兼ね合いもあるのでなかなかできません。どうすれば入試当日に万全な状態で臨めるでしょうか・・・
最近焦る一方で夜もなかなか寝付けません。アドバイスなどがあればぜひお願いします。
A.教材(教科書、参考書、ノート、テキスト、資料集)に勉強中得た情報を書き込んでいきます。意味調べで学んだこと、問題の解説に書いてあったこと、ほかの教材に書いてあったことなど書き込みます。この方法なら、いやでも同じ知識に触れる回数が増えますので、効率的に復習できます。それに、自分が勉強した跡は、見るだけで安心できます。
また、普段の問題演習では、問題文や解説から連想ゲームのように復習していくとよいです。解説だけ読んですませて次に進む人が多いですが、もったいないし、得た知識を右から左へ次々と忘れていってしまうので非効率的です。例えば、「窒素同化」という語が問題に出てきたならば、「窒素同化の定義は何だろう」→「窒素固定と似ている言葉だけど窒素固定とは何であったか」→「窒素同化はどんな生物が行うか、窒素固定はどんな生物が行うか」→「窒素循環の図もかけるか試してみよう」→「硝化とは何であったか」→「化学合成細菌にはどんな生き物がいたか」→「化学合成と光合成の違いは何か」→「光合成細菌も復習しておこう」→「熱水噴出孔付近では化学合成が行われていたな、化学進化についても復習しておこう」→「生命は何年前に誕生したと考えられているのだったか」→「せっかくだからマーギュリスの細胞内共生説も復習しておこう」→・・・
といった具合に網羅的に復習し、「あー!そういえばそうだった!」「知らなかった!」と感じたことを、教材に書き込んでいきます。
生物の入試問題では、問題文中に下線が引かれ、出題内容がメインテーマとははずれた分野に飛ぶことが多々あります。そのような思考に慣れておくことが必要です。なので連想ゲーム的な学習をお勧めします。また、いろいろなことを網羅的に覚えておけば、ある知識をほかの知識で強化することが出来るようになります。例えば、触媒活性のあるRNAの存在を知っていれば、RNAワールドが覚えやすくなります。神経誘導について知っていれば、原腸胚初期の原基分布図において表皮と神経の領域を間違えることはなくなります。クロマチン繊維について知っていれば、染色体がDNAとタンパク質から成るなどということは覚えるまでもなくなります。
このように知識をまとめ、何度も何度も同じ教材を開くたび、必ず力がついていきます。
今が最もつらく、大切な時期ですね。応援しています。
Q.センターで生物は75点以上いきたいんですけどどーすればいいですか?前の河合の模試は56点でした
A.50点台から70点、80点、そして90点台へ伸ばす方法ですね。
高得点を本気で狙う方は、試験日までに教科書に書かれている用語・現象をすべて自分の言葉で説明できるようにしましょう。このことを意識して勉強を進めている人と、漠然と問題を解く人では最後の伸びに差が出ます。
教科書の検索に載っている用語は、すべて何も見ずに自分の言葉で誰かに説明できなければいけません。例えば「iPS細胞」が説明できるか確認します(実際に説明してみます)。そして次に、周辺の記述を読んでいきます。
「iPS細胞っていうのは人工的に作った多能性を持つ細胞だな。山中伸弥教授が4種類の遺伝子を人の皮膚の細胞に導入して作った細胞だ。関連して、ES細胞の記述もあるぞ。ES細胞は胚性幹細胞のことで、哺乳類の初期胚から採取した全能性を失っていない細胞のことか。どちらも再生医療のキーとなる細胞だな。プラナリアの再生実験(再生芽に集まった幹細胞の働き・分化のしくみ)も参考にしよう。」
といった具合です(また、プラナリアってどんな動物だっけ?と思ったらすぐに分類のページで確認しましょう。生物の勉強は広く広く進めるべきです。)。
教科書の中で「よくわからないページ」を絶対に作ってはいけません。テストでは自分の苦手な分野が必ず出ます(そう思いましょう)。生物辞典・資料集を使ったり、教師や講師やお友達と協力して、必ずしっかり理解しましょう。
センター試験攻略のための最大のカギは時間です。見直し10分を残して解く訓練を日ごろからすることです。そして、最も大切なことですが、解説を読むたびに、登場した生物用語の意味と周辺の知識を生物辞典・資料集・教科書で調べて下さい。問題演習をして解説を読んで「あ~、そうだった、ケアレスミスだ、次は気を付けよう。よし次。」「なるほど、知らなかった知識だな、覚えておこう。次。」といった進め方はよくありません。その問題と時間を無駄にしています。問題は「その分野全体の理解の度合い」を確かめるためのものです。「その問題」を落としたということは、「その分野全体が弱い」証です。その問題に関する周辺知識を徹底的に調べてから、次にの問題に取り掛かってください。
以上です。参考になったでしょうか。「無理、私にはそんな勉強法は向いてない」と思っても、それでまったく構いません。あなたの最善を尽くせばよいのです。当然ですが、受験に成功するためのコツは、自分に合った方法をひたすら模索することです。
また、人にアドバイスを求めるということは、社会に出たあとも必要なスキルです。少しでも何かを得たいと思い、行動に移したあなたはすばらしいと思います。あなたが将来活躍することを願っています。
Q.脳は糖しかエネルギーにしないと聞いてラムネを食べるようにして勉強してたんですが、食べすぎても高血糖で眠くなるってことですか?どのくらいの量ならいいんでしょうか‥‥?
A.正直に申し上げて、わかっていません。
ただ、人体には、タンパク質等から新しく糖を作り出す代謝経路も備わっていますから、摂食量のみの調節がどこまで有効かを考える必要があると思います。
遺伝的な個体差(種々の酵素の発現量の差)もあると思います。
食後、副交感神経が優位になり、眠くなる事もありましょう。糖尿病に関して、極度の高血糖を伴う昏睡も知られています。
また、自然状態での身体にとっての理想と、勉強を目的とした理想とでは違いがあるでしょう。身体にとっての理想はエネルギーをなるべく多く貯蓄し、生存の可能性を上げることですが、勉強を目的とした場合、理想は、所謂(そのような状態をどう評価するかわかりませんが)頭がよく回る状態でしょう。
つまり、条件が明確でないので、何も断言できないのです。こういった健康学の問題は、地道に、論文を検証しながら、より確からしい答えに近付いていくしかないと思います。大学に入ったら、信用できる論文を読んでみてください。
Q.矢口はっぴーさんの動画の助けもあって今年から第一志望の大学の理学部生物学科に進学することが出来ました!とても感謝してます。
そこで大学生物の本について質問したいのですが、矢口さん的に「大学1、2年生向けでなるべく取っ付きやすく、正確な(曖昧な説明がなされてない)生物の本」でオススメがあったら教えて頂きたいです!分野は問いません🙇♂️
あと、数理生物学に興味があるのですが今後の勉強において気をつけるべき点などがあれば教えて頂きたいです!🙇♂️
質問多くてすみません
A.本当におめでとうございます!よく頑張りましたね。ありきたりで申し訳ないのですが、キャンベル生物学(生物学のほとんどの範囲の基礎を網羅している)やEssential細胞生物学(細胞生物学分野の基礎を学べる)が個人的におすすめです。どちらも有名なのでもしかしたら大学で指定される教科書に入っているかもしれません。どちらも(記述は簡単なのですが)分厚いし、高いので、まずはしばらく大学の授業を受けてみてから、授業の内容と近いページを読んでみて、どうしてもほしいと思ったら購入するとよいと思います。
数理生物学についても、図書館で関係する本を読むとよいと思います。一口に数理生物といっても、生態系分野から発生学、生理学分野まで、幅が広いですから、まずはいろいろな本を読んでみてください。
大学の勉強は難しいと思いますが、好きな学問を続けることができるということはとても贅沢なことですから、一歩一歩、楽しみながら頑張ってください。益々のご活躍を期待しています。