2021年4月5日月曜日

生物基礎 光学顕微鏡についての問題演習+ミニ講義動画(接眼ミクロメーター・対物ミクロメーター、焦点深度など)

 

問題を解く前に・・・


顕微鏡の各部のミニ講義動画はこちら


接眼ミクロメーター、対物ミクロメーターの設置方法ミニ講義動画はこちら


焦点深度の動画はこちら


問題

光学顕微鏡で細胞を観察した。

接眼ミクロメーターを接眼レンズに、対物ミクロメーターをステージにセットしたところ、図左のように見えた。その後、対物ミクロメーターをはずし、細胞を観察したところ、図右のように見えた。


①接眼ミクロメーターの1目盛りの長さを求めよ。

②観察された細胞の長径を求めよ。

③視野の右下にあるものを視野の中央に移動させたい。プレパラートをどちらの方向に移動させればよいか?

④焦点深度は、しぼりをしぼるほど、倍率を下げるほど、(    )くなる。

⑤倍率を上げると、接眼ミクロメーターの1目盛りのあらわす長さは(    )くなる。


解答・解説



問題文に何も書いてなくても、対物ミクロメーターの1目盛りの長さは10マイクロメートル(μm)と考えて良い。



ちなみに、1マイクロメートルは1000分の1ミリメートルである。
このような問題は、必ず、接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの、二種類の目盛りが、ピッタリ一致するところが二箇所ある。
今回は、接眼ミクロメーター10目盛りと、対物ミクロメーター3目盛り(30マイクロメートル)が一致している。




したがって、接眼ミクロメーター10目盛りは、30マイクロメートルの長さと同じである。
よって、接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、30÷10=3マイクロメートルである。

答え:3μm(マイクロメートル)


問題の図をもう一度見てみよう。
①より、接眼ミクロメーター1目盛りの長さが分かっている(3マイクロメートル)ので、図右の細胞の長径(楕円の長い方の長さ)は  
22目盛り×3マイクロメートル=66マイクロメートルである。

答え:66μm(マイクロメートル)

補足:どうして二種類のミクロメーターを使うんだ!面倒すぎ!はじめから1目盛り10マイクロメートルの対物ミクロメーターに細胞のせて見ろよ!
と思うだろう。実際、我々は、定規の上に何かを乗せて物の大きさを測っている。
しかし、光学顕微鏡の世界のように、とても小さな世界では、見たいものにピントを合わせるのが難しい。
実は、対物ミクロメーターと見たいものに、同時にピントを合わせることはできない。
なので、一度、対物ミクロメーターで(その倍率の時の)接眼ミクロメーターの大きさを求めてから、接眼ミクロメーターで見たいものの大きさを測るのだ。








補足:大学では、対物ミクロメーターは絶対目盛り、接眼ミクロメーターは相対目盛りなどと呼ばれる。
実際、接眼ミクロメーターの目盛りの大きさは相対的なもので、倍率を変えるごとにコロコロ変わる。
対物ミクロメーターの1目盛りの大きさはいつだって10マイクロメートルである。

光学顕微鏡では、上下左右が逆に見える。



なので、視野の右下に見たいものがあるように見えても、実際は、見たいものは左上にある。なのでプレパラートを右下に動かせば、見たいものは視野の中央に動く。

答え:右下

Q どうして右下に見たいものがあるのに、右下にプレパラートを動かすの?
A 光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えています。
ふつう、たとえば、目で物を見ているとき、プリントの左上の端っこのほうにある小さな文字を、自分の目の前に持っていきたいと思ったらプリントを右下に動かしますね?
お皿の左上にある物を真ん中に持ってきてよく見たいと思ったら、お皿を右下に動かしますね?
光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えているので、顕微鏡を覗いたとき、右下にあるように見えているものは、実際は左上にあるんですね。
だから、プレパラートを右下に動かすと、視野の中央に動くのです
視野というお皿の、右下にあるように見えているものは、実際は左上にある!
左上にあるものを中央に持ってきたかったら、お皿は右下に動かせばよい!






焦点深度とは、ピントが合う許容範囲と覚えておけば良い。
焦点深度が浅いとは、ピントのあっている範囲が小さい、ピントが合いにくいという意味である。
しぼりをしぼると、光量が減って視野が暗くなるが、焦点深度は深くなる(=余計な光が無いので、ピントの合う許容範囲が大きくなる。輪郭はハッキリする)。逆に、しぼりを開くと視野は明るくなるが、焦点深度は浅くなり、ピントは合いにくくなる。

答え:焦点深度は、しぼりをしぼるほど、倍率を下げるほど、( 深く )くなる。

補足:しぼりを動かすほかに、倍率を変えても焦点深度は変化する。
みんなも、光学顕微鏡の、高い倍率で物を見た時、ステージを、ほんのちょっと動かしただけでピントがずれてしまった経験があると思う。それが焦点深度が浅い状態である。
逆に、低倍率だと、簡単にピントが合うように思える。それは実は、ピントの合う範囲が大きいのである。専門的に言えば、焦点深度が深いのである。
倍率が高い方が焦点深度は浅く、ピントが合いにくい。
(実際は、焦点深度は、対象物の周りにある媒質の屈折率、総合倍率、眼の分解能などによって決定されるが、知らなくて良い)
暗記する必要はない。光学顕微鏡の最高倍率で何かを見てみると良い。低倍率に比べて、とんでもなくピントを合わせるのが難しいはずである。それが焦点深度が浅いということである。

倍率を上げると、視野の全てのものが拡大して見える。しかし、接眼ミクロメーターの目盛りは、眼鏡の傷、スマホ画面のヒビのようなもので、倍率をどのように変えても見え方は変わらない(スマホにうつった画像を拡大しようが縮小しようが、スマホ画面のヒビの見え方は変わらない)。
なので、倍率を上げると、見えるものの大きさは大きくなるが、接眼ミクロメーターの見え方は変わらない。よって、接眼ミクロメーター1目盛りがあらわす長さは、倍率を上げると、小さくなる。

答え:⑤倍率を上げると、接眼ミクロメーターの1目盛りのあらわす長さは( 小さ )くなる。


たとえば、
スマホ画面にマジックで目盛りをふるとする。
そのスマホに、富士山をうつす。
俺たちがスマホに付けた目盛りの1目盛りの大きさは1000mくらいである。
そこで、富士山にめちゃめちゃクローズアップする。倍率をめちゃくちゃ上げて、富士山に落ちていた十円玉がスマホ画面いっぱいに見えるくらいに、クローズアップする。すると、1目盛りの大きさは1㎝くらいになる。
倍率を上げたら、俺たちがスマホに付けた目盛りの1目盛りのあらわす大きさが、小さくなった。これと同じ原理である。









細かい話だが、倍率を2倍大きくすると、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは、2分の1になる。なぜなら、見えるものの長さが2倍に拡大されるからである(あと、この問題と関係ないが、長さが2倍になれば、当然面積は4倍になる。難関大で問われる)。







2021年3月22日月曜日

しつがい腱反射、脊髄、反射弓、脳

反射についてのリアル授業はこちら

脊髄反射


 ニューロンは,そのはたらきによって3つに分けられる。

① 感覚ニューロン:集まって感覚神経を構成(軸索が2本あるが、片方は樹状突起の働きをする)。



② 介在ニューロン:脳や脊髄などの中枢神経系(脳・脊髄)を構成。下図では1本しかないが、本来もっと多数で脳・脊髄をつくっている。


③ 運動ニューロン:集まって運動神経を構成。









● 脊髄:内側が灰白質,外側が白質(大脳とは逆!!!)。










*入試では、背根と腹根を


図から選ばされることが多い。


脊髄神経節


(感覚ニューロンの細胞体がある場所)


のふくらみのある方が背根である。





要点:反射(意識に上ることなく反応が引き起こされる)に関与する神経経路を反射弓という。

反射の経路を反射弓という。下の図は膝蓋腱反射の図。

自己受容器である筋紡錘(きんぼうすい)が、

自己の筋肉の伸びすぎを感知し、

強制的に収縮させる。

大脳の判断を経由せず、脊髄が命令を出すことで、素早く危険を回避することができる。

 

 

 〔反射弓〕

受容器感覚神経反射中枢(延髄や中脳や脊髄)運動神経効果器








余裕のある人は脊髄以外に中枢がある反射もチェック!!













*屈筋反射(熱いものを触ったときに、手を引っ込める反射)の場合は、膝蓋腱反射と異なり、感覚ニューロンと運動ニューロンの間に介在ニューロンが入る。

 

 





● 大脳,間脳,中脳,小脳,延髄に分けられる。


語呂「悪代官中症え~ん(脳は上から、脳、脳、脳、脳、髄)」

大脳:外側の層は細胞体の集まった灰白質大脳皮質という。内部は軸索が集まった白質大脳髄質という。哺乳類の大脳皮質は,古皮質・原皮質と新皮質からなる。(雑談:名探偵エルキュール・ポアロの口癖は『あなたも灰色の脳細胞を働かせなくてはいけませんよ』[大脳の外側は灰白質]

新皮質:感覚の認知(視覚・聴覚など),随意運動,精神活動(記憶・思考・理解など)の中枢

・古皮質と原皮質:本能や基本的な感情の中枢

・大脳辺縁系:古皮質・原皮質およびそれらと関係する部位などを含めた名称。明確な区分けは確定していない。情動、欲求、本能を統合する。海馬(記憶に関係)を含む。

覚え方「大図鑑見る(脳皮質の機能は前から、意運動、皮膚覚、覚)」

大脳は領域ごとに担当する機能が異なる。人は(ある意味)脳の後ろで物を見ている。







神経の興奮を伝える経路は左右反転する(主に延髄で反転する。右半身からの情報は左脳で処理される)。右から敵に襲われたとき、右の感覚がマヒしてしまっては戦えないからだろうか。(雑談:延髄で交叉しない神経もある。粗大な感覚や温感を伝える感覚神経は脊髄で交叉する)




間脳:視床と視床下部がある。視床下部は自律神経系と内分泌系の中枢(生物基礎の復習)。

中脳:姿勢保持,眼球運動,瞳孔反射の中枢。語呂「しせいだめでちゅ(姿勢保持、球運動・瞳孔反射中枢、脳)」

小脳:筋肉運動の調節,からだの平衡を保つ中枢。語呂「しょうへい運動超切ない(脳、衡、運動調節)」

延髄:呼吸運動,血液循環(心臓拍動・血管収縮)の調節。・だ液・涙の分泌などの中枢。語呂「え~ん、涙だ、深呼吸しよう(延髄、涙、だ液分泌、心臓、呼吸運動)」




2021年3月19日金曜日

サルコメアの長さと張力のグラフ

筋肉についての授業はこちら

サルコメア

滑り説


 筋原繊維のZ膜(Z帯)からZ膜までの構造体は,サルコメア(筋節)と呼ばれ,筋原繊維の構造及び筋収縮上の反復の単位と考えられている。



ミオシン頭部がATPを分解(ATP分解酵素活性はミオシン頭部にある)して角度を変え、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの間で滑り込みが起こる。この2者の運動は相対的なもので、どちらのフィラメントから見るかによって、どちらが動いて見えるかは異なるが、入試に出てくる図ではミオシンフィラメントが固定された芯のように描かれることが多い。ミオ「芯」フィラメントと覚えてしまおう。





下図には,サルコメアの長さと張力との関係を調べた実験結果が示されている。(筋肉をいろいろな長さに固定して、発生する力(張力)を調べて描く)

図から,アクチンフィラメントとミオシンフィラメント各々の1本の長さが求まる。

アクチンフィラメント…1.0μm 

(アクチンフィラメント同士が重なり始め、張力が減じはじめる長さが2.0μmだから、アクチンフィラメント2本分の長さが2.0μm) 


ミオシンフィラメント…1.6μm

(アクチンフィラメント2つとミオシンフィラメントの合計の長さ[アクチンフィラメントとミオシンフィラメントがちょうど重ならない時、つまり張力0になったときの長さ]が3.6μmなので、そこからアクチンフィラメント2つ分[2.0μm]を引く)


・覚えなくてよいが、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが張力を発生させるために結合している部分の全体をクロスブリッジという。

・サルコメアの長さが2.0μmより短いときに張力が低下する仕組みは良く分かっていないが、アクチンフィラメントの重なりによるアクチンフィラメントの変性などが考えられている。



神経筋接合部では、アセチルコリンによる伝達が起こる。

①神経筋接合部において、運動神経の軸索末端からアセチルコリンが分泌される。②Naが流入し活動電位が発生する。筋細胞膜は深く陥入し、筋小胞体(特殊化した滑面小胞体)に達している(この筋細胞膜が陥入しているところをT管という)。③筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。④カルシウムイオンはトロポニンに結合し、トロポミオシンの立体構造を変える。⑤トロポミオシンによって塞がれていたミオシン結合部位が露出し、筋収縮がはじまっていく。

 


 

 雑談:筋肉は. ヒトにおいて体重の約30 %から40 %を占め、単一の組織としては最大のものである。 骨格筋や心筋を光学顕微鏡で観ると、 明暗の縞模様が見えることから、 これらは横紋筋と呼ばれる。1876年に、 LéonFredericqは、昆虫の筋肉の長さを変化させても、縞模様の暗帯の長さが変わらないことを報告していた。この観察結果は、筋肉の収縮には少なくとも2種類のタンパク質がかかわることを示唆しているが、この現象は長い間筋研究者から忘れ去られることになる。

20世紀前半の学者らは、「筋収縮の実体は、ミオシンフィラメントが、スプリングのように伸び縮みすることである」と信じこみ、 この説の検証に終始していた。
その後、スプリング仮説に反して、革命的な説となる 「滑り説」 が提唱され|た。 すなわち、 「筋収縮は、 ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが互いに長さを変えることなく滑りあうことでおこる」 という仮説である。