問題を解く前に・・・
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問題
光学顕微鏡で細胞を観察した。
接眼ミクロメーターを接眼レンズに、対物ミクロメーターをステージにセットしたところ、図左のように見えた。その後、対物ミクロメーターをはずし、細胞を観察したところ、図右のように見えた。
①接眼ミクロメーターの1目盛りの長さを求めよ。
②観察された細胞の長径を求めよ。
③視野の右下にあるものを視野の中央に移動させたい。プレパラートをどちらの方向に移動させればよいか?
④焦点深度は、しぼりをしぼるほど、倍率を下げるほど、( )くなる。
⑤倍率を上げると、接眼ミクロメーターの1目盛りのあらわす長さは( )くなる。
解答・解説
①
問題文に何も書いてなくても、対物ミクロメーターの1目盛りの長
このような問題は、必ず、接眼ミクロメーターと対物ミクロメータ
今回は、接眼ミクロメーター10目盛りと、対物ミクロメーター3
したがって、接眼ミクロメーター10目盛りは、30マイクロメー トルの長さと同じである。
よって、接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、30÷10=3マ イクロメートルである。
補足:しぼりを動かすほかに、倍率を変えても焦点深度は変化する。
よって、接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、30÷10=3マ
答え:3μm(マイクロメートル)
②
問題の図をもう一度見てみよう。
①より、接眼ミクロメーター1目盛りの長さが分かっている(3マイクロメートル)の で、図右の細胞の長径(楕円の長い方の長さ)は
22目盛り×3マイクロメートル=66マイクロメートルである。
22目盛り×3マイクロメートル=66マイクロメートルである。
答え:66μm(マイクロメートル)
補足:どうして二種類のミクロメーターを使うんだ!面倒すぎ!はじめから1目盛り10マイクロメートルの対物ミクロ メーターに細胞のせて見ろよ!
と思うだろう。実際、我々は、定規の上に何かを乗せて物の大きさ を測っている。
しかし、光学顕微鏡の世界のように、とても小さな世界では、見たいものにピントを合わせるのが難しい。
実は、対物ミクロメーターと見たいものに、同時にピントを合わせ ることはできない。
なので、一度、対物ミクロメーターで(その倍率の時の)接眼ミク ロメーターの大きさを求めてから、接眼ミクロメーターで見たいも のの大きさを測るのだ。
と思うだろう。実際、我々は、定規の上に何かを乗せて物の大きさ
しかし、光学顕微鏡の世界のように、とても小さな世界では、見たいものにピントを合わせるのが難しい。
実は、対物ミクロメーターと見たいものに、同時にピントを合わせ
なので、一度、対物ミクロメーターで(その倍率の時の)接眼ミク
補足:大学では、対物ミクロメーターは絶対目盛り、接眼ミクロメ ーターは相対目盛りなどと呼ばれる。
実際、接眼ミクロメーターの目盛りの大きさは相対的なもので、倍 率を変えるごとにコロコロ変わる。
対物ミクロメーターの1目盛りの大きさはいつだって10マイクロ メートルである。
実際、接眼ミクロメーターの目盛りの大きさは相対的なもので、倍
対物ミクロメーターの1目盛りの大きさはいつだって10マイクロ
③
光学顕微鏡では、上下左右が逆に見える。
なので、視野の右下に見 たいものがあるように見えても、実際は、見たいものは左上にある 。なのでプレパラートを右下に動かせば、見たいものは視野 の中央に動く。
答え:右下
Q どうして右下に見たいものがあるのに、右下にプレパラートを動かすの?
A 光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えています。
ふつう、たとえば、目で物を見ているとき、プリントの左上の端っ このほうにある小さな文字を、自分の目の前に持っていきたいと思 ったらプリントを右下に動かしますね?
お皿の左上にある物を真ん中に持ってきてよく見たいと思ったら、 お皿を右下に動かしますね?
光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えているので、顕微鏡を覗いたとき、右下にあるように見えているものは、実際は左上にある んですね。
だから、プレパラートを右下に動かすと、視野の中央に動くのです 。
Q どうして右下に見たいものがあるのに、右下にプレパラートを動かすの?
A 光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えています。
ふつう、たとえば、目で物を見ているとき、プリントの左上の端っ
お皿の左上にある物を真ん中に持ってきてよく見たいと思ったら、
光学顕微鏡では、上下左右が逆に見えているので、顕微鏡を覗いたとき、右下にあるように見えているものは、実際は左上にある
だから、プレパラートを右下に動かすと、視野の中央に動くのです
左上にあるものを中央に持ってきたかったら、お皿は右下に動かせばよい!
④
焦点深度とは、ピントが合う許容範囲と覚えておけば良い。
焦点深度が浅いとは、ピントのあっている範囲が小さい、ピントが 合いにくいという意味である。
焦点深度が浅いとは、ピントのあっている範囲が小さい、ピントが
しぼりをしぼると、光量が減って視野が暗くなるが、焦点深度は深 くなる(=余計な光が無いので、ピントの合う許容範囲が大きくなる。輪郭はハッキリする)。逆に、し ぼりを開くと視野は明るくなるが、焦点深度は浅くなり、ピントは 合いにくくなる。
答え:焦点深度は、しぼりをしぼるほど、倍率を下げるほど、( 深く )くなる。
補足:しぼりを動かすほかに、倍率を変えても焦点深度は変化する。
みんなも、光学顕微鏡の、高い倍率で物を見た時、ステージ を、ほんのちょっと動かしただけでピントがずれてしまった経験が あると思う。それが焦点深度が浅い状態である。
逆に、低倍率だと、簡単にピントが合うように思える。それは実は 、ピントの合う範囲が大きいのである。専門的に言えば、 焦点深度が深いのである。
倍率が高い方が焦点深度は浅く、ピントが 合いにくい。
逆に、低倍率だと、簡単にピントが合うように思える。それは実は
倍率が高い方が焦点深度は浅く、ピントが
(実際は、焦点深度は、対象物の周りにある媒質の屈折率、総合倍率、眼の分解能などによって決定されるが、知らなくて良い)
暗記する必要はない。光学顕微鏡の最高倍率で何か を見てみると良い。低倍率に比べて、とんでもなくピントを合わせ るのが難しいはずである。それが焦点深度が浅いということである。
倍率を上げると、視野の全てのものが拡大して見える。しかし、接 眼ミクロメーターの目盛りは、眼鏡の傷、スマホ画面のヒビのよう なもので、倍率をどのように変えても見え方は変わらない(スマホ にうつった画像を拡大しようが縮小しようが、スマホ画面のヒビの 見え方は変わらない)。
なので、倍率を上げると、見えるものの大きさは大きくなるが、接 眼ミクロメーターの見え方は変わらない。よって、接眼ミクロメー ター1目盛りがあらわす長さは、倍率を上げると、小さくなる。
なので、倍率を上げると、見えるものの大きさは大きくなるが、接
答え:⑤倍率を上げると、接眼ミクロメーターの1目盛りのあらわす長さは( 小さ )くなる。
たとえば、
スマホ画面にマジックで目盛りをふるとする。
そのスマホに、富士山をうつす。
スマホ画面にマジックで目盛りをふるとする。
そのスマホに、富士山をうつす。
俺たちがスマホに 付けた目盛りの1目盛りの大きさは1000mくらいである。
そこで、富士山にめちゃめちゃクローズアップする。倍率をめちゃ くちゃ上げて、富士山に落ちていた十円玉がスマホ画面いっぱいに 見えるくらいに、クローズアップする。すると、 1目盛りの大きさは1㎝くらいになる。
倍率を上げたら、俺たちがスマホに付けた目盛りの1目盛りのあらわす大き さが、小さくなった。これと同じ原理である。
そこで、富士山にめちゃめちゃクローズアップする。倍率をめちゃ
倍率を上げたら、俺たちがスマホに付けた目盛りの1目盛りのあらわす大き
細かい話だが、倍率を2倍大きくすると、接眼ミクロメーターの1 目盛りの大きさは、2分の1になる。なぜなら、 見えるものの長さが2倍に拡大されるからである(あと、 この問題と関係ないが、長さが2倍になれば、当然面積は4倍にな る。難関大で問われる)。