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テーマ:ホルモン
T「今日はホルモンについて学ぶ」
T「今日はホルモンについて学ぶ」
「昨日食べました」
T「君、焼肉のメニューにあるホルモンとは違うよ」
「いったいなにものです、あなたのいうホルモンというのは?」
「いったいなにものです、あなたのいうホルモンというのは?」
すべてのホルモンは共通して血液中をながれる。しかしその作用や標的器官、ホルモン自身の構成成分(アミノ酸がつながってできたペプチドホルモンや、細胞膜と同じ成分でできた細胞膜を通過できるステロイドホルモンなど)は様々だ」
T「ホルモンが作用する(ホルモンを受け取る)器官を標的器官という。同じ使い方で、ホルモンを受け取る細胞(標的器官の細胞)を標的細胞という」
S「甲状腺?聞いたことないな」
T「君にもついているよ。喉の下のあたりだ」
T「チロキシンを分泌させる命令は、脳の中でも、間脳というエリアから出される。大脳ではないよ!大脳からの命令で、つまり意識的に、代謝を上昇させることはできない。間脳(の、視床下部という部位)から放出ホルモン(正式名称は甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンというが、放出ホルモンと覚えておけばよい)というホルモンが、『脳下垂体(の、前葉)』という脳に垂れ下がった器官に送られる。脳下垂体は甲状腺刺激ホルモンを分泌し、甲状腺を刺激する」
T「チロキシンを分泌させる命令は、脳の中でも、間脳というエリアから出される。大脳ではないよ!大脳からの命令で、つまり意識的に、代謝を上昇させることはできない。間脳(の、視床下部という部位)から放出ホルモン(正式名称は甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンというが、放出ホルモンと覚えておけばよい)というホルモンが、『脳下垂体(の、前葉)』という脳に垂れ下がった器官に送られる。脳下垂体は甲状腺刺激ホルモンを分泌し、甲状腺を刺激する」
S「その放出ホルモンや甲状腺刺激ホルモンも血液中を通るのですか?」
T「その通りだ。すべてのホルモンは血液中を通って標的細胞に向かう。これはホルモンの定義と思ってよい」
S「ホルモンは化学物質といいましたね。消化酵素や汗はホルモンですか?」
T「いや、消化酵素や汗はホルモンとは呼ばない。血液中に分泌されないからね。君が言ってくれた二つは体の外に分泌される。注意したいのは、胃や腸の中の空間も一般に体外と見なすということだ」
T「また、少し変わった例として、神経分泌細胞を教えておこう。この細胞は間脳にいる神経細胞なのだが、ホルモンも分泌できる変わった細胞で、注目されている。例えば、バソプレシンという尿量を減らすホルモンをつくっているのは間脳にいる神経分泌細胞だ」
T「もう一つ今日伝えたいことがある。フィードバック調節だ」
T「チロキシンは全身の代謝を促進させると共に、脳や脳下垂体に働きかけ、それぞれ放出ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制する」
S「チロキシンの分泌が減ってしまいます!」
T「その通り。それが上手いしくみなんだ。この仕組みがあることで、血液中のチロキシン濃度が丁度いい位置に保たれるのだ。高すぎるチロキシン濃度はチロキシンの分泌を抑制する。」
T「この作用を負のフィードバック作用という。エアコンにもついている機能だ。温度が低すぎると、エアコンは室温を上げる。しかし、設定温度を室温が上回ると、今度は室温を下げ始める。室温上昇という結果が、エアコンという原因に作用した。これと同じことが、ほぼすべてのホルモンについても言える。分泌しすぎたホルモンは、自身の分泌を抑制させる。結果、丁度良い血中濃度に落ち着くのだ」
●参考資料
内分泌腺とホルモン
(1)動物体内では,ホルモンとよばれる物質が分泌され,体内環境の維持にはたらいている。脊椎動物の内分泌腺は,脳下垂体,甲状腺,副甲状腺,副腎,すい臓などである。
参考 内分泌腺には排出管がなく,ホルモンは体液中に直接分泌される。これに対して外分泌腺である汗腺や消化管には排出管があり,分泌物はそこを通って体表や消化管内に分泌される。
ホルモンには次のような特徴がある。
① 内分泌腺でつくられ,体液によって運ばれる。
② 微量でも大きなはたらきをする。
③ 作用する細胞(標的細胞)が決まっており,標的細胞にはホルモンを受け取る受容体がある。同じホルモンの受容体を複数種の細胞がもつ場合もある。
内分泌腺
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ホルモン
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おもなはたらき
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視床下部
(間脳)
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各種 放出ホルモン
放出抑制ホルモン
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脳下垂体の前葉からのホルモン分泌の促進または抑制
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脳下垂体
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前葉
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成長ホルモン
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タンパク質合成促進,血糖濃度を上げる。
骨の発育・からだ一般の成長を促進
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甲状腺刺激ホルモン
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甲状腺からのチロキシンの分泌促進
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副腎皮質刺激ホルモン
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副腎皮質からの糖質コルチコイドの分泌促進
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後葉
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バソプレシン
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血圧の上昇,腎臓での水分の再吸収を促進
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甲状腺
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チロキシン
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代謝を促進,成長と分化を促進
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副甲状腺
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パラトルモン
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血液中のCa2+量を増加
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副腎
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髄質
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アドレナリン
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グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を増加
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皮質
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糖質コルチコイド
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糖の代謝を促進,血糖濃度を増加
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鉱質コルチコイド
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腎臓でのNa+の再吸収とK+の排出を促進
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すい臓
ランゲル
ハンス島
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インスリン
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グリコーゲンの合成と,組織での糖の消費を促進し,血糖濃度を減少
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グルカゴン
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グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を増加
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(覚え方)インスリンリン、Bellの音(インスリンはB細胞から分泌される)
(覚え方)宇宙恐竜グルカゴーン!ボカーン!(グルカゴンはグリコーゲンを壊して、血中にグルコースを放出させる命令を肝臓に送る)
(2)視床下部と脳下垂体 ホルモン分泌の調節は視床下部と脳下垂体で行われ,次の2つの経路がある。
① 視床下部の神経分泌細胞から血液中に分泌される放出ホルモンや放出抑制ホルモンのはたらきによって,脳下垂体前葉から分泌されるホルモン量が調節される。 例)副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
② 視床下部の神経分泌細胞から脳下垂体後葉までホルモンが運ばれ,後葉内の血液中にホルモンが直接放出される。
例)バソプレシン
(3)フィードバック:最終的につくられた物質がはじめの段階に戻って作用することをフィードバックという。動物体内でホルモンの分泌量が一定の範囲内に保たれているのは,このフィードバック調節のしくみがあるためである。
(4)血糖量調節 血糖濃度調節の中枢は間脳の視床下部にあって,ヒトではほぼ0.1%(0.1g/100mL)に保たれている。
高血糖の時:間脳視床下部から副交感神経で膵臓ランゲルハンス島B細胞へ・・・インスリン分泌
低血糖の時:①間脳視床下部から交感神経で副腎髄質へ・・・アドレナリン分泌
②間脳視床下部から交感神経で膵臓ランゲルハンス島A細胞へ・・・グルカゴン分泌
③間脳視床下部から脳下垂体前葉→副腎皮質へ・・・糖質コルチコイド分泌
(5)体温調節:哺乳類や鳥類などの恒温動物では,体温を一定に保つしくみが発達している。寒いときの調節方法
①発熱量の調節:外温の変化に応じて組織の代謝量を変化させ,発熱量を調節する。
②放熱量の調節:皮膚の毛細血管の収縮・拡張,発汗量の増減,立毛筋の収縮・弛緩,皮下脂肪の増減,換毛・換羽(夏毛と冬毛)