2016年7月27日水曜日

夏期講習 生物基礎特講③DNA

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DNA

DNA

1.DNAとRNA

(1)核酸糖・リン酸・塩基の結合した単位構造であるヌクレオチドが、鎖状に結合したポリヌクレオチドからなる。DNA(デオキシリボ核酸)RNA(リボ核酸)の2種類がある。


DNA


(2)DNAの構造:糖とリン酸が交互に結合した2本の主鎖から内側につき出た相補的な塩基同士が水素結合で結びつき、二重らせん構造をとっている。参考 10塩基対毎ごとにらせんが1回転し(3.4nm)、積み重なった塩基対間の長さは0.34nmである。
(3)DNAの複製:細胞周期のS期に複製される。

DNAの複製方式・・・半保存的複製(娘DNAの一方の鎖は親DNA由来)

参考 遺伝子の本体に関する実験

(1)肺炎双球菌:S型菌・・・カプセル(被膜)をもち病原性がある。 R型菌・・・カプセル(被膜)がなく病原性がない。

(2)グリフィスの実験(1928年):肺炎双球菌の形質転換を発見。

①加熱殺菌したS型菌をネズミに注射→発病しない

②加熱殺菌したS型菌+生きているR型菌をネズミに注射→発病する→ネズミの体内から生きているS型菌が出現・・・R型菌がS型菌の形質を得た→形質転換 *形質転換を起こさなかったR型菌はネズミの白血球に貪食され観察されない。

(3)エイブリーらの実験(1944年):形質転換を起こす原因物質はDNAであると発表

①S型菌の抽出物+生きているR型菌→多数のR型菌と小数のS型菌(培地に白血球はないのでR型菌は生存)

②S型菌の抽出物+タンパク質分解酵素+生きているR型菌→多数のR型菌と小数のS型菌(培地に白血球はないのでR型菌は生存)

③S型菌の抽出物+DNA分解酵素+生きているR型菌→R型菌のみ・・・DNAが分解されると形質転換起きず→形質転換に必要な物質はDNAである

(覚え方)エイッと分解エイブリー(エイブリー、タンパク質やDNAの分解実験)

(4)バクテリオファージの増殖

ウイルスの特徴:①細菌より遙かに小さい(100nm)、②細胞構造がない、③タンパク質と核酸(RNAやDNA)からなる、④各ウイルスは特定の生物の細胞内で増殖

(2)ハーシーとチェイスの実験(1952年);T2ファージを用いた実験でDNAが遺伝子の本体であることを証明。ファージのタンパク質は大腸菌外に取り残され、DNAのみが大腸菌内に注入されていた→遺伝子の本体はDNAである。

(覚え方)ティーツーファージはチェイスとハーシー(実験材料と研究者達の前が似ている)

                            

2.セントラルドグマ(1)遺伝暗号:アミノ酸配列に対応するDNAやmRNAの塩基配列。

コドン:1種類のアミノ酸と対応する遺伝情報の単位で、mRNAの3つの連続した塩基がコドンとなる。

参考 コドン表から、1種類のアミノ酸には複数のコドンが対応する場合が多いこと、開始コドンや停止コドンがあることがわかる。→資料集などのコドン表参照

(2)転写と翻訳:DNAやmRNAの遺伝情報(塩基配列)は、RNAの塩基配列に写し取られ(転写)、それをもとにタンパク質が合成される(翻訳)。

(3)転写の過程:❶RNA合成酵素の働きでDNAの二重らせんの一部がほどける。→➋DNAの一方の鎖(塩基配列)を鋳型にして相補的な塩基をもつRNAのヌクレオチドが並ぶ。→mRNAの完成

(4)翻訳の過程:❶mRNAの最初のコドンにアミノ酸―tRNA複合体と、リボソームが付着する。→➋次のコドンに対応するアミノ酸―tRNA複合体が、mRNAと結合する。→➌アミノ酸同士がつながる。→➍リボソームがmRNAのコドン1つぶんだけ移動する。→➎以降、➋~➍の過程が繰り返されてポリペプチド鎖が合成される。

真核生物では転写は核内、翻訳は細胞質で行われ、両者が同時に起こることはない。原核生物では、転写と翻訳が細胞質内で、同時に行われる。





種類

働き


塩基

構造

存在場所

DNA

遺伝子の本体

デオキシリボース

A,T,C,G

二重らせん構造

主に核(ミトコンドリア、葉緑体)


NA

伝令(m)RNA

遺伝情報の転写・運搬

リボース

A,,C,G

(覚え方)DNAとRNAはチがウ(TがU)

ふつう一本鎖

細胞質、一部は核小体

転移(t)RNA

アミノ酸の運搬

リボソーム(r)RNA

リボソームの構成成分








夏期講習 生物基礎特講②酵素と代謝



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酵素と代謝


1.酵素の働き


細胞内では一連の化学反応が起こっており、各反応には別々の酵素が働いている。

物質A ⇒ 物質B ⇒ 物質C ⇒ ・・・

              

   酵素α    酵素β    

  (一般に、酵素βが阻害されると、物質Cはつくられず、物質Bが蓄積する)

(1)酵素:細胞内で合成され、生物体内で起こる反応を効率よく進める物質。自身は化学反応の前後で変化しない生体触媒で、タンパク質から主にできている。

(2)細胞内酵素:細胞内で働く酵素(カタラーゼ、呼吸に関係する酵素など)。

細胞外酵素:細胞外に分泌されて働く酵素(アミラーゼ、ペプシンなど)。

参考 酵素の性質 

基質特異性:酵素には基質と結合する部位(活性部位)があり,活性部位の立体構造が酵素の種類によって異なるため,酵素は決まった基質としか結合しない。この性質を基質特異性という。
最適温度:温度が高くなるほど酵素や基質の分子運動が盛んになるため,基質が酵素と出会う頻度が増す。一方,酵素はタンパク質でできており,ある一定の温度以上になると構造が変化(変性)し,触媒作用を失う(失活)。そのため,酵素反応が最も速くなる温度があり,これを最適温度という。ふつう40℃付近。
最適pH:れぞれの酵素には反応速度が最も速くなるpH最適pH)がある。

2.代謝:生体内で起こっている化学反応。異化と同化があり、エネルギーの出入りを伴う。

(1)代謝とエネルギー代謝:生物体内で起こる化学反応を代謝といい、代謝に伴って起こるエネルギーの出入りや変換をエネルギー代謝という。代謝は全生物の特徴の一つで有り、全生物が同化(例:タンパク質の合成)と異化(例:糖の分解)を行う。

(2)ATP(アデノシン三リン酸):呼吸などで生じたエネルギーを一時的に蓄える物質。すべての生物が使うエネルギーの共通通貨にあたる化学物質。  ATP H2O ADP H3PO4(リン酸) エネルギー






ATPのリン酸とリン酸の間の結合に蓄えられている化学エネルギー(高エネルギーリン酸結合)は、ATPの加水分解とともに、物質合成、能動輸送のほか、筋収縮(運動エネルギーに変換)、発光(光エネルギーに変換)に使われる。

3.異化体内に取り入れた物質を簡単な物質に分解することを異化という。

(1)呼吸:有機物を分解してエネルギーを取り出し、ATPを生成すること。

有機物(C6H12O6) 酸素(O2) (H2O) 二酸化炭素(CO2) ATP

(覚え方)高級イカ(呼吸は異化)

参考 呼吸では、呼吸基質から電子が引き抜かれ、呼吸基質は分解する。分解産物として二酸化炭素が生じ、最終的に酸素がHとともに電子を受け取って水に変化する

参考 発酵:酸素のない条件下で,有機物を分解してATPを生成する過程を発酵という。原核生物である乳酸菌は乳酸発酵を行う。乳酸発酵ではグルコースは中途半端に分解され、乳酸が生じる。酵母菌はミトコンドリアを持つ真核生物であるが、酸素が存在しない環境下ではアルコール発酵でグルコースを分解する。ヒトの筋肉においても、酸素欠乏下においては、乳酸発酵と同じ化学反応が起こる。

(2)呼吸基質:呼吸の材料になる物質。例)グルコースなどの糖、脂質、タンパク質

4.同化:体内で簡単な物質から複雑な物質を合成することを同化という。同化には炭酸同化と窒素同化などがある。

(覚え方)こんなに複雑な物を作るなんてどうかしてるよ(複雑な物を合成するのは同化)

(覚え方)光合成の「合」の字と同化の「同」の字は似ている(光合成は同化)

・炭酸同化(二酸化炭素から有機物を合成) ・・・例)光合成(光エネルギーを利用)、化学合成(化学エネルギーを利用)

・窒素同化(窒素を含む物質から必要な有機窒素化合物を合成)・・・例)アンモニウムイオンを用いてアミノ酸を合成する(植物)

光合成は植物細胞の葉緑体や、ユレモ、ネンジュモなどのシアノバクテリアの細胞で行われる。シアノバクテリアは光合成を行うが葉緑体を持たないことに注意。

(H2O) 二酸化炭素(CO2) 光エネルギー 有機物 酸素(O2)



参考 光合成色素:光合成に必要なエネルギーを吸収する色素。クロロフィルやカロテノイドなどがある。

参考 エンゲルマンの実験 1882年,エンゲルマンは,糸状の緑藻類と好気性細菌を密封して顕微鏡下に置き,プリズムで分光した光を緑藻類に当てて,細菌がどの部分に集まるかを調べた。その結果,細菌は赤色と青紫色の部分に多く集まり(その部分で活発に酸素が発生したと考えられる),特定の波長の光で光合成による酸素の発生が盛んに起こることがわかった。

参考 化学合成:光エネルギーの代わりに無機物の酸化によって得られたエネルギーを利用して有機物を合成する。  

化学合成の例)

①亜硝酸菌・・・アンモニウムイオンを酸化し亜硝酸イオンにする反応(無機物の酸化)で得た化学エネルギーを用いて二酸化炭素を固定・炭水化物を合成

②硝酸菌・・・亜硝酸イオンを酸化し硝酸イオンにする反応(無機物の酸化)で得た化学エネルギーを用いて二酸化炭素を固定・炭水化物を合成

(覚え方)パンを作るのがパン屋さん!亜硝酸イオンを作るのが亜硝酸菌!硝酸イオンを作るのが硝酸菌!

このような細菌を硝化細菌といい、土壌中のこのような作用(アンモニウムイオンを硝酸イオンに変化させる作用)を硝化作用という。

5.窒素同化

(1)植物の窒素同化:植物では、主にNOは根から吸収された後、NH→→→アミノ酸へと合成反応(窒素同化)が進んでいく。合成されたアミノ酸を材料にタンパク質(アミノ酸に窒素が含まれる)・核酸・ATP(塩基に窒素が含まれる)・クロロフィルなどの窒素含有有機物がつくられる。動物は他の生物を摂食することによりアミノ酸を摂取する。

(2)窒素固定空気中の窒素ガスをNHに変える働き。  

窒素固定細菌根粒菌(マメ科植物の根に共生したときだけ窒素固定能力がある)、ネンジュモ(シアノバクテリア)、アゾトバクター(好気性細菌)、クロストリジウム(嫌気性細菌)がある。

夏期講習 生物基礎特講①細胞


細胞

1.細胞の発見と細胞説

(1)細胞の発見:フックは自作の顕微鏡でコルク薄片を観察し、小部屋(細胞)からなることを発見した(1665年、実際に観察された物は細胞壁だった)

(2)細胞説:「生物体はすべて細胞から成り立っている」という説。植物についてはシュライデンが(1838年)、動物についてはシュワンが(1839年)提唱。

2.細胞の研究:細胞の形や大きさは、生物の種類や体の部位によってさまざまである。

参考 人の座骨神経(1m)、インフルエンザウイルス(100nm)、ミトコンドリア(2μm)、ヒトの赤血球(7μm)、ゾウリムシ(250μm)、カエルの卵(3mm)  なお、1mm=1000μm 、 1μm=1000nm

(1)細胞分画法:細胞をすりつぶし、遠心分離によって細胞小器官などを重さや大きさの違いによって分離する方法。

沈殿しやすさ 核・細胞壁断片>葉緑体>ミトコンドリア>リボソームなど>(細胞質基質は沈殿しない)

*例えば、ミトコンドリアが多数含まれる分画は酸素を消費する。

参考 細胞を破砕する際はスクロース溶液を等張またはやや高張(細胞内液より少し濃い濃度)にしておき、細胞小器官が吸水して破裂するのを防ぐ。また、低温下で行う。(リソソームの中から出てしまった加水分解酵素などの働きで細胞小器官などの構造が分解されないようにするため)。





 
参考 顕微鏡の使い方
①光学顕微鏡:可視光線を利用して細胞などを観察する。解像度は0.2μm
②電子顕微鏡:電子線を利用して細胞などの微細構造を観察する。走査型と透過型があり透過型の解像度は0.2nm程度。
 光学顕微鏡の使い方とミクロメーターによる測定
①直射日光を避け,水平な台上におく。
はじめに接眼レンズ,次に対物レンズをつける(はずすときは,この逆)。
接眼レンズをのぞきながら反射鏡を動かし,視野全体が最も明るくなるようにする。
最初は焦点深度(ピントの合う範囲)が深く,視野の広い低倍率で観察する。反射鏡は,ふつう低倍率では平面鏡を使用する
⑤側方から見ながらプレパラートと対物レンズを近づけ,次に接眼レンズをのぞきながらそれらを遠ざけるように調節ねじをまわしてピントを合わせる。
鮮明な像が見えるように,しぼりを調節する。上下左右が実物と見えている像では逆(例えば、視野の左上に見えている物を視野の中央に持ってくるには、プレパラートを左上に動かす)なことに注意。
    適当な像がみつかれば,レボルバーをまわして高倍率に切りかえる。高倍率にすると視野が暗くなるので凹面鏡を使う。高倍率の時のほうが、視野が暗く、視野が狭く、焦点深度が浅くなる。
  ⑦接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターを用いた観察物の測定
接眼ミクロメーター1目盛りの長さ=
(対物ミクロメーターの目盛り数×10μm) / 接眼ミクロメーターの目盛り数
観察物の長さは、接眼ミクロメーターの目盛り数を数え、そこから算出する(ピントが対象物と対物ミクロメーターの目盛りに同時には合わないから)。





3.生物体の構造

(1)原核細胞と原核生物:染色体(DNA)はあるが核膜はなく、明瞭な核は存在しない細胞が原核細胞で、ミトコンドリア・葉緑体・ゴルジ体などもない。原核細胞から成る生物が原核生物。 例)大腸菌、乳酸菌、ネンジュモ、ユレモ、納豆菌(枯草菌)、肺炎双球菌

(2)真核細胞と真核生物:染色体が核膜に包まれ、核が存在する細胞が真核細胞で、真核細胞から成る生物が真核生物。 例)酵母菌、ゾウリムシ、クラミドモナス、アメーバ、ユードリナ、ヒト

(3)単細胞生物:一生を通じて個体が1個の細胞から成る生物。 例)すべての原核生物、ゾウリムシ、アメーバ、クロレラなど

4.生物の共通性と多様性: 地球上には多様な生物が存在するが、生物は皆①DNAをもつ②細胞でできている③刺激に反応する④自己の遺伝情報を後世に伝える⑤恒常性を持つなどの共通性を持つ。

5.様々な細胞小器官



細胞の構造体

構 造

はたらき


核 膜

2 枚の薄い膜からなり,核膜孔とよばれる小さな穴が多数ある。核膜孔は核と細胞質の間での物質の通路となる

核の保護

物質の出入りの調節

染色体

DNA(デオキシリボ核酸)とタンパク質からなる。通常は糸状であるが,細胞分裂時には凝縮して太く短いひも状になる。酢酸カーミンや酢酸オルセインなどの塩基性色素で染まる

DNA は遺伝子の本体

細胞質

ミトコンドリア

内外2 枚の膜で包まれ, DNA を含む。ヤヌスグリーンで染まる

(覚え方)三鷹は高級住宅地(ミトコンドリア、呼吸、二重膜)

呼吸によって有機物を分解し,ATP(アデノシン三リン酸)を供給

葉緑体

内外2 枚の膜で包まれ,光合成色素が存在する。DNA を含む 

光合成によって光エネルギーを吸収し,デンプンなどの有機物を合成

細胞膜

リン脂質とタンパク質からなる厚さ5 10nmの薄い膜

物質の出入りの調節

リボソーム

RNAとタンパク質からなる小さな構造体。小胞体の表面に付着しているものと,細胞質に散在しているものがある

タンパク質の合成(翻訳に関与)

リソソーム

1 枚の膜からなる球状の構造体。加水分解酵素を含む

細胞内消化

液 胞

内部の細胞液には有機物,無機塩類,色素(アントシアン)などが溶けている。成長した植物細胞でよく発達している

(覚え方)駅のほうは案外シ~ンとしてるでちょ?(液胞、アントシアン、貯蔵)

老廃物の貯蔵

細胞質基質

細胞内の液体成分であり,酵素など各種タンパク質やRNAなどを含む

解糖(酸素を使わない異化反応)によって有機物を分解し,ATP を供給

細胞骨格

真核生物のみが持つ、細胞質基質全体に広がる繊維状のタンパク質構造。細胞内に張り巡らされ、細胞の形の決定や維持に関係する。アメーバ運動や原形質流動、べん毛運動などの細胞運動にも関与する。

細胞の形の維持

細胞の運動

細胞内の物質輸送

細胞壁

セルロースを主成分とする丈夫な構造(菌類や原核生物の細胞壁はセルロースでできていない)

(覚え方)セールで買うから平気(セルロース、細胞壁)

植物細胞の保護と形の維持

6.共生説:大形化した原核生物の細胞膜が内部に入り込んで核膜を形成し,真核生物が生じた。この原始的な真核生物に好気性細菌が共生してミトコンドリアの起源に,原始的なシアノバクテリアが共生して葉緑体の起源になったという説を共生説という。ミトコンドリアや葉緑体は二重膜構造をもち、内部には,核のDNAと異なる独自のDNAが存在する。このDNAは,原核生物のDNAと同じように,環状の構造をしている。また,分裂によって半自律的に増殖する。これらの事実は共生説の根拠である。