2016年7月27日水曜日

夏期講習 生物基礎特講⑥自律神経系と内分泌系


自律神経系と内分泌系による調節
1.交感神経と副交感神経:意思とは直接関係なく,臓器などの働きを自律的に調節している末梢神経。中枢は『間脳』の視床下部




 


(拮抗的に働く)

心臓の拍動

血 圧

体表の血管

皮膚立毛筋

発 汗

ひとみ

消化管の運動

排 尿

すい臓のランゲルハンス島

副腎髄質

肝臓

気管支

平滑筋

交感神経

促 進

上げる

収 縮

収 縮

促 進

拡 大

抑 制

抑 制

A細胞を刺激

アドレナリン分泌促進

グリコーゲン分解

弛緩

副交感

神経

抑 制

下げる

分布無し

分布無し

分布無し

縮 小

促 進

促 進

B細胞を刺激

分布無し

グリコーゲン合成

収縮
参考 神経細胞(別名:ニューロン)


交感神経

交感神経の細胞の節前ニューロンの細胞体は脊髄に存在する

副交感神経

副交感神経の節前ニューロンの細胞体は中脳、延髄、脊髄に存在する











自律神経の特徴は、脳や脊髄から出た神経繊維がそのまま標的器官に達するのではなく、必ず途中でシナプス(神経細胞と神経細胞のつなぎ目)を経由することである。脳や脊髄から起こる神経細胞を節前ニューロンといい、ニューロンを代えて節後ニューロンとなり標的器官に分布する。
参考 神経伝達物質(=ニューロンから分泌され、次の細胞を興奮させる情報伝達物質)


交感神経

ノルアドレナリン

副交感神経

アセチルコリン (覚え方)汗散るゆーこりん服交換(アセチルコリン、副交感神経)
2.内分泌腺とホルモン 
(1)動物体内では,ホルモンとよばれる物質が内分泌腺から分泌され,体内環境の維持にはたらいている。
参考 内分泌腺には排出管がなく,ホルモンは体液中に直接分泌される。これに対して外分泌腺である汗腺や消化管には排出管があり,分泌物はそこを通って体表や消化管内に分泌される。
 ホルモンには次のような特徴がある。
内分泌腺でつくられ,体液によって運ばれる。② 微量でも大きなはたらきをする。③ 作用する細胞(標的細胞)が決まっており,標的細胞にはホルモンを受け取る受容体がある。同じホルモンの受容体を複数種の細胞がもつ場合もある。


内分泌腺

ホルモン

おもなはたらき

視床下部

(間脳)

各種 放出ホルモン

放出抑制ホルモン

脳下垂体の前葉からのホルモン分泌の促進または抑制

脳下垂体

前葉

成長ホルモン

タンパク質合成促進,血糖濃度を上げる。

骨の発育・からだ一般の成長を促進

甲状腺刺激ホルモン

甲状腺からのチロキシンの分泌促進

副腎皮質刺激ホルモン

副腎皮質からの糖質コルチコイドの分泌促進

後葉

バソプレシン

腎臓での水分の再吸収を促進→血圧上昇

甲状腺

チロキシン

代謝を促進,成長と分化を促進

*間脳視床下部、脳下垂体前葉に作用して、放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモンホルモン分泌を抑制させる(このような負のフィードバック作用を持つホルモンはチロキシンだけではないが、チロキシンが代表例としてよく問われる)

副甲状腺

パラトルモン

骨からCa2流出→血液中のCa2量を増加

副腎

髄質

アドレナリン

グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を増加

皮質

糖質コルチコイド

糖の代謝を促進,血糖濃度を増加

鉱質コルチコイド

腎臓でのNaの再吸収とKの排出を促進





すい臓

ランゲル

ハンス島

インスリン

グリコーゲンの合成と,組織での糖の消費を促進し,血糖濃度を減少

グルカゴン

グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を増加
(覚え方)前向きな人生って刺激的だし成長できるよ(脳下垂体前葉、各種刺激ホルモン、成長ホルモン)
(覚え方)後ろに婆さんが・・・(後葉、バシプレシン)
(覚え方)甲状腺の甲の字をなぞるだけでチロキシンと書ける








(覚え方)ふひひ、こっちこいよ(副腎皮質、コルチコイド)
(覚え方)リンリンBellの音で落ち着いて(インスリン、B細胞、休息に働く副交感神経が分泌促進)




(覚え方)宇宙恐竜グルカゴーン!ボカーン!(グルカゴン、グリコーゲンを壊す)



(覚え方)骨からカルシウムがパラパラとれるよパラトルモン(パラトルモン、骨からのカルシウム流出促進)












(2)視床下部と脳下垂体
① 視床下部の神経分泌細胞から血液中に分泌される放出ホルモンや放出抑制ホルモンのはたらきによって,脳下垂体前葉から分泌されるホルモン量が調節される。 例)副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
視床下部の神経分泌細胞から脳下垂体後葉までホルモンが運ばれ,後葉内の血液中にホルモンが直接放出される。例)バソプレシン 









(3)フィードバック:最終的につくられた物質がはじめの段階に戻って作用することをフィードバックという。動物体内でホルモンの濃度が一定の範囲内に保たれているのは,このフィードバック調節のしくみがあるためである。
3.血糖量調節 血糖濃度調節の中枢は間脳の視床下部にあって,ヒトではほぼ0.1%(0.1g/100mLに保たれている。
①高血糖の時:
●間脳視床下部から副交感神経で膵臓ランゲルハンス島B細胞へ・・・インスリン分泌
②低血糖の時:
●間脳視床下部から交感神経で副腎髄質へ・・・アドレナリン分泌
●間脳視床下部から交感神経で膵臓ランゲルハンス島A細胞へ・・・グルカゴン分泌
●間脳視床下部から脳下垂体前葉→副腎皮質へ・・・糖質コルチコイド分泌
4.体温調節:哺乳類や鳥類などの恒温動物では,体温を一定に保つしくみが発達している。寒いときの調節方法
(1)発熱量の調節:外温の変化に応じて組織の代謝量を変化させ,発熱量を調節する。代謝の促進には、チロキシン、アドレナリン、糖質コルチコイドが働く。
(2)放熱量の調節:皮膚の毛細血管の収縮・拡張,発汗量の増減,立毛筋の収縮・弛緩,皮下脂肪の増減,換毛・換羽(夏毛と冬毛)