2016年1月18日月曜日

高校生物 第1講 細胞

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予習

生物は細胞からできています。







ロバート・フックは,その著書『ミクログラフィア』(1665年)の中で自作の顕微鏡を用いてコルクの細部構造を観察し,コルクが細かい小胞でできていることを発見しました。フックはその小胞に「小部屋」を意味する「cell」という名前を与えました。これが後の細胞です。フックが最初に観察したのは,死んだ植物細胞の細胞壁に過ぎませんでしたが,後に生きた植物組織においても同様の構造を観察しています。

「セール(cell)で服(フック)を買う」

その後,19世紀にシュライデンとシュワンによって,細胞説が提唱され,細胞が生物に共通して存在する基本的な構造であることが明らかになりました。
 19世紀後半にはフィルヒョーが「すべての細胞は細胞から生じる」と述べ,「すべての生物は細胞から成り,細胞は細胞の分裂によって生じる」という細胞説の概念が広く認知されるようになりました。
「これで細胞説が確立だ!うひょー!(フィルヒョー)」

あらゆる生物の構造と機能の基本単位である細胞には、2つのタイプがあります。

真核細胞と原核細胞です。
 細菌と古細菌の2つのドメイン(ドメインについては教科書の最後のほうに触れられています)に属する生物は原核細胞からなります。原生生物や、菌類、植物、動物は、すべて真核細胞からなります。
真核細胞には核がありますが、原核細胞ではDNAが核膜で包まれていません。そのほかにも、真核細胞には多種多様な細胞小器官が存在しますが、原核細胞には存在しません。




真核生物の細胞小器官についてみてみましょう。
核にはDNAが入っています。
小胞体は物質の輸送路として働いたり、脂質の代謝を行ったりしています。リボソームが付着している部分を粗面小胞体、付着していない部分を滑面小胞体といいます。
ゴルジ体は物質の修飾、分泌、合成にかかわります。
ミトコンドリアは呼吸に、葉緑体は光合成にかかわります。あとで詳しく学びます。
中心体は微小管の形成を開始させる部分です。1対の中心小体を含みます。
液胞は成熟した植物細胞に顕著な細胞小器官(動物細胞では発達しない)で、貯蔵、不要物質の分解などにかかわります。液胞の拡大は、植物の成長に大きく貢献します。


植物に排出器官がない。そのため、液胞の中に老廃物を蓄積しなければならない!


核、ミトコンドリア、葉緑体は二重膜構造をとります。ミトコンドリア、葉緑体はもともと1匹の生物だったものが、われわれの細胞にとりこまれました。だから、二重の膜で包まれているのです。


*現在では、ミトコンドリアの外膜、内膜は、両方とも細菌由来であり、真核生物由来の膜は退化したとされている。

講習
□ テーマ1 : 細胞について

ックは何をした人?言えるようになろう!

イギリスのフックがコルクに小さな孔を見つけ、細胞と命名した(実際には細胞壁をみた)。
レーウェンフックは原生動物を発見した。
シュライデンは植物について、シュワンは動物について細胞説を提唱した。
フィルヒョーは「すべての細胞は細胞から生じる」とした。ゴルジがゴルジ体を観察した。
ブラウンは核を発見した。


「シュワンワン!犬は動物!」




★ 生物とはどんなものか、勉強を始める前にざっくり知っておこう!
細胞は生命の基本単位である。30億年以上前に出現した1個の細胞から進化したと考えられている。

すべての細胞はDNAを持ち、その情報に従ってタンパク質を合成する。

細胞が生きていくのに必要な最小遺伝子数は400以下らしい。生物学者の予想に反してヒトのような生物でもその数多くなく、20000ほどである。

ヒトは、大腸菌と違い、持っているDNAのほんの数パーセントしかタンパク質のコードに用いていない。
残りの配列は反復配列など、一見無駄な領域となっている。
しかし、近年このジャンクDNAにも、重要な働きがあるらしいことがわかってきた。詳しくは大学で。

「ヒトの遺伝子数がわかったぞう〜ニンマリ(二万)」


生物体をつくる物質については、物質名と、何に使われているかをおさえよう!特に、リン脂質→細胞膜、ヌクレオチド→核酸、タンパク質→酵素の関係は超重要!

細胞内の成分を分析してみると,細胞に含まれる有機物は,タンパク質,DNAやRNAなどの核酸、多糖、リン脂質に分けることができる。

これらの有機物を,さらに小さい構成単位に分けると,タンパク質はアミノ酸,核酸はヌクレオチド,多糖は単糖、リン脂質は脂肪酸とリン酸などの小さい分子にすることができる。


つまり,細胞内の水以外の重量の大半は,この小さい分子やこれらが長くつながった巨大な分子である。
タンパク質は酵素や構造の一部、核酸は遺伝情報の保持、糖はエネルギー源、リン脂質は生体膜などに使われている。

小さな物質をつなげて複雑なものをつくることには重要な意味がある。他の生物の物質を分解して、自身の体の成分に作り替えたり、多すぎる物質を分解して足りない物質を補給することができる。











補足
生物体の中で、各種イオンは重要な働きを持っている。
細胞内と等張な食塩水は生理食塩水とよばれる。
体液と同じ濃度になるよう、さまざまなイオンを含んだ水溶液を、リンガー液という。





アクティブラーニング課題:ヌクレオチドの核酸の構成単位以外の役割を述べよ。







(エネルギーの通貨、つまり、ATP)



□ テーマ2 : 細胞小器官について、「内部構造」「膜の構造」「働き」を押さえよう!
核にみられる構造体の名前は超頻出!必ず覚えよう!特に核膜と核膜孔はめちゃめちゃよく出る!
核液・・・核小体と染色体を浮かべている。低分子のたんぱく質や脂質などを含む。
核膜・・・同じ性質を持つ膜に二重に包まれている。これを、「同質二重膜からなる」と表現することがある。

(細胞骨格とモータータンパク質の運動によってDNAが壊れないように、自らのDNAを自らの細胞膜で包んだことが核の獲得につながったと考えられる)

核膜は、細胞質基質と核内を明確に区分する!これにより、核内でのRNAの加工(スプライシング)が可能になった。
<核内でRNAの加工→細胞質基質に輸送>
選択的スプライングにより、ひとつの遺伝子から多様なタンパク質を作ることができる!
ここにも、少ない遺伝子数でやりくりする真核生物の工夫がみられる!
*スプライシング=遺伝子が転写されてできたRNA前駆体からイントロンを切りのぞき、エキソンだけを連結する反応。真核生物の核内で行われている。
*選択的スプライシング=複数のイントロンをもつRNAがスプライシングを受ける場合、遺伝子によってはイントロンとイントロンにはさまれたエキソンが一緒に切り出され、結果的に構成エキソンの異なる複数種のmRNAができること(つまり、スプライシングで取り除くイントロンを多様に選択することで、1つの遺伝子DNAから複数の[長さの]mRNAをつくっていることになる)。


核膜孔(RNA等が通る)がある。

核膜孔には、様々な物質を、ATPを使って輸送する、まるで検問所のようなタンパク質がある。
(核移行シグナルについてはわかっていないことも多い)

   染色体・・・DNAと、ヒストンというタンパク質からなる。

   核小体・・・RNAとタンパク質からなる。
(核小体はrRNA遺伝子を含む染色体領域を中心としてタンパク質とRNAが結合した小球体である。核小体では、リボソーム組み立ての他、テロメラーゼタンパク質とテロメラーゼRNAの合成も行う)


核小体はrRNA合成の場。
したがってRNAを多く含む。
核小体は一般に細胞分裂の前期に消失する。
メチルグリーン・ピロニン液で染色すると、
DNAは緑色、
RNAのある部分、すなわち核小体は赤色に染め分けることが出来る。

アクティブラーニング課題:真核生物の細胞でも核が観察されない場合がある。また、複数の核が観察される場合がある。どういう場合か。説明せよ。


(分裂期中期などの細胞には核膜は無い。哺乳類の赤血球は核を失う。
脊椎動物の骨格筋の細胞は多核


ミトコンドリアと葉緑体について、共通点を覚えよう!
超定番問題「ミトコンドリアと葉緑体の共通点を述べよ」
答え:核内DNAとは異なる固有のDNAとリボソームをもち、半自律的に増殖する。
また内外異質の二重膜からなる構造を持つ。

当然内膜が原核生物由来の膜である!

アクティブラーニング課題:ミトコンドリアや葉緑体が単独培養できたという報告はまだない。なぜか。説明せよ。

(独立して増殖するだけの遺伝子をもっていないから。)


共生説=好気性細菌が共生しミトコンドリア、シアノバクテリアが共生し葉緑体になったという説。マーギュリスが提唱。
「共生したのはまーぐれです(マーギュリス)」

ミトコンドリアはヤヌスグリーンで青緑色に染色される。

ミトコンドリアDNAには、タンパク質を指定する遺伝子のほか、tRNAやrRNAをつくる遺伝子もコードされている。

(ミトコンドリアは実際には細胞内に網のように張り巡らされており、融合と分裂を繰り返している。教科書に載っているボール状の絵は、その断面である。ミトコンドリアには呼吸、DNA複製、RNA転写に関わるタンパク質がある)

葉緑体において、チラコイドが積み重なっているところはグラナと呼ばれる。
(葉緑体でのタンパク質合成はN-ホルミルメチオニンからはじまる。これは細菌と同じである)

「そんなにチラコイド重ねたらぐらぐら(グラナ)しちゃうよー!」


膜構造を持たない構造体は3つを言えるようになろう!

① リボソーム・・・タンパク質合成(翻訳)の場
リボソームRNAとタンパク質からなる。

タンパク質合成とは、つまり、肉体を作るということである!水を除けば、生物はほとんどタンパク質でできているといってよい!
つまり、リボソームは生体を作り上げる超重要装置であり、これをもたない生物など存在しない!

② 中心体・・・紡錐体の形成やべん毛に関与

(中心小体2個のまわりに中心小体周辺物質があり、sこから+端を外向きにして微小管が伸びている)
動物細胞では、中心体が2つに分かれて細胞の両極に移動し、それぞれ星状体を発達させる。


微小管によって星状体と染色体とが結びつく。


細胞の両極から延びる微小管の束が糸を紡ぐ紡錘のように見えるため、紡錘体(ラグビーボールみたいな構造)と呼ばれる


紡錘体を形成する微小管を紡錘糸という。


補足
中心体は、2つの中心粒(中心小体)が直交して配置された構造である(詳細な構造は電子顕微鏡でないと観察できない)。
中心粒→9組の微小管(3本で1組になっている)が集まったもの。
すべての真核生物の鞭毛・繊毛は、この微小管が関係する(9+2構造という構造をとる)。
さらに微小管は体細胞分裂時の紡錐体形成に関係している。
中心体は動物とシダ・コケのように精子をつくる下等植物に存在する。
③細胞骨格(あとで学ぶ)



一重の膜で囲まれた構造体は4つを説明できるようになろう!
① 小胞体

細胞内において,遺伝情報をもとに合成されたタンパク質は,合成された段階で,細胞内での移動先が決まっている

 細胞質基質に遊離したリボソームで合成されたタンパク質は,核,葉緑体,ミトコンドリアなどの細胞小器官へ取り込まれる。


リボソームは細胞質基質に遊離しているものもあれば、小胞体に付着しているものもある。粗面小胞体上のリボソームで合成されたタンパク質は,小胞体に取り込まれ,小胞を介してゴルジ体へ移動したのち,再び小胞に包まれる。一部の小胞は細胞膜と融合し,小胞内のタンパク質が細胞外へと分泌される。

(滑面小胞体では、リン脂質やステロイドの合成、グリコーゲンなどの糖代謝、薬物代謝に働く。副腎皮質では、最も目立った細胞小器官である)

補足
細胞小器官に輸送されるタンパク質には,その輸送を指示する特異なアミノ酸配列部位がある。この配列をシグナル配列という。
リボソームで翻訳がはじまり,ポリペプチドのシグナル配列が合成されると,シグナル配列が特殊なタンパク質(SRPという)によって認識される。
すると,翻訳は一時中断され,SRPは細胞質基質にいるリボソームと結合して,小胞体膜の受容体に結合させる
つまりSRPはリボソームを小胞体に案内するのである。
SRP「ほら、そんなところで翻訳してちゃだめ。ちゃんとポリペプチドを小胞体内に入れないと。こっちにきなさい。」
その後,SRPがシグナル配列から離れ,シグナル配列は小孔を通って小胞体内に移動する。移動後,翻訳は再開され,タンパク質が小胞体内に取り込まれる



② ゴルジ体・・・タンパク質への糖の添加、濃縮、分泌
リボソームが作ったタンパク質は、小胞体を通ってゴルジ体へ運ばれ、修飾されて完成する。その後、分泌顆粒というかたちで分泌される。

ゴルジ体は小胞体(核膜と一部でつながっている)と共同して働く!これはゴルジ体が小胞体より生じてきた構造である一つの根拠である!
したがって、小胞体を持たない原核生物(小胞体の一部は核膜とつながっている!核を持たない原核生物が小胞体をもつわけない!)がゴルジ体を持つことなどあり得ない!


③ 液胞・・・有機酸、糖、無機塩類の貯蔵、浸透圧調節

液胞には細胞液が入っている。花弁の細胞にはアントシアンが含まれる。液胞は成長した細胞で大きい。
(アントシアン=アントシアニンともいう。2フェニルベンゾピリリウム構造を持つフラボノイド系植物色素の総称)

④ リソソーム・・・加水分解酵素を含み、細胞内消化



細胞膜の脂質二重層や膜タンパク質を透過できない大きな分子が細胞内外を移動するときには,細胞膜の融合や分離を伴う輸送がみられる。



大きな分子や細菌などの異物は,細胞膜が内部に陥入することによって,細胞内に取り込まれる
このような現象をエンドサイトーシス(飲食作用)という。

 エンドサイトーシスは,真核細胞で頻繁にみられる現象である。
たとえば,マクロファージによる異物の取り込みなどは,エンドサイトーシスによって行われる。

「飲み込まれたら(細胞内に取り込む方が)ジ、エンド(エンドサイトーシス)」


ゴルジ体などから分離した小胞には,細胞外に分泌される物質を含むものがある。
これらの小胞は,細胞膜と融合し,内部の物質を細胞外へ放出する
このような現象をエキソサイトーシス(開口分泌)という。

 植物細胞では,エキソサイトーシスは,細胞膜の外側に細胞壁の成分であるペクチンなどを運ぶ役割を果たしている。
また,動物細胞では,エキソサイトーシスによって,多くのホルモンや消化酵素などを細胞外へ分泌している。


(ギリシャ語で、エキソは外を、エンドは内をあらわす)

アクティブラーニング課題:生物や細胞小器官が膜で包まれていることの利点は何か。不利な点は何か。

(有利な点⇒膜上や膜内部に酵素や基質を集め、代謝に最適な環境をつくることができる点。

不利な点⇒膜で包まれることで、細胞小器官の内外への物質の輸送にエネルギーや特別な仕組みが必要になる点。)




補足(近年注目されている話題)
細胞膜がエンドサイトーシスにより取り込んだ物質は、小胞で包まれ、リソソームへ送られる。
リソソーム自体はゴルジ体から生じる。
また、リソソームはその加水分解酵素を、細胞自身の有機物(細胞小器官など)を再利用する「自食作用」と呼ばれる過程を行うために利用している。
「自食作用」をうけ生じた有機物分解産物は再び細胞質で再利用される。


以下のポイントは特にテストでよくねらわれる!
1.動物細胞には見られない細胞小器官⇒細胞壁・葉緑体・発達した液胞
2.光学顕微鏡で観察できないもの⇒リボソーム・小胞体・リソソーム・ミトコンドリアや葉緑体の内部構造・細胞骨格
3.液胞に含まれる色素⇒アントシアン
「駅の方は(液胞)案外しーんと(アントシアン)してるでちょ(浸透圧調節、貯蔵)」

□ テーマ3 : 生物界のスケール
ヒトの卵、赤血球、ソゾウリムシの大きさは必ず覚えよう!めちゃめちゃよく出る!


インフルエンザウイルス・・・0.1μm

ミトコンドリア・・・2μm

葉緑体・・・5~10μm

ミトコンドリア、葉緑体が数μmのスケールなのは、これらの細胞小器官がもとは原核生物であったからだと考えると覚えやすい。
人の赤血球・・・7~8μm

酵母・・・10μm




ヒトの卵・・・140μm




ゾウリムシ・・・200μm

ニワトリの卵黄・・・25mm

ヒトの坐骨神経・・・1m



□ テーマ4 : 細胞分画法


細胞粉砕液に遠心力をかけて、細胞小器官を密度や大きさで分けることを細胞分画法という。


細胞小器官の分離できる順序は以下のとおり。覚えよ。


1.核、細胞片


2.葉緑体


3.ミトコンドリア


4.リボソームなどの微細構造

(細胞質基質は最後まで沈殿しない)



アクティブラーニング課題:細胞分画法は、低温で、等張、あるいはやや高張液中で行う。なぜか。












(低温で行うのは、酵素作用を抑え、酵素による細胞内の構造物の分解を防ぐため。
低張液中では、細胞小器官が吸水し、破裂して壊れてしまうので、等張あるいはやや高張液中で行う。)










アクティブラーニング課題:以下の空欄にはどのような言葉が入るだろうか。想像してみよ。
「生物学のあらゆる問題を解く鍵は、最終的に細胞の中に見つかるに違いない。なぜなら、
(                                                  )」

EB.ウィルソン 1925 Essential細胞生物学より



(どの生物も、その時点で一個の生物であるか、過去のどこかで一個の生物だったからである、が正解だが、入試的には、細胞が生物の構造的、機能的基本単位だからである、だろうか)