2016年1月22日金曜日

高校生物基礎発展 第8講 心臓


□ テーマ : 心臓

心臓についてのミニ講義動画はこちら

洞房結節はペースメーカーとして働く。

洞房結節は右心房にある。

洞房結節は特殊な心筋細胞群で、活動電位を自然発生する。

活動電位の発生頻度、すなわち心拍数は、交感神経と副交感神経の制御を受ける。

交感神経は心拍数を増加させ、副交感神経は心拍数を減少させる。


(あまりテストに出ないが、房室結節は心房と心室の間をつなぐ電気的な架け橋となる。)

興奮の経路は、特殊な心筋であるヒス束、プルキンエ線維などが伝える。


心拍の速さは交感神経と副交感神経で制御されている。

洞房結節で発生したリズムは刺激伝導系によって心臓全体に伝わる。




心臓は意思に関係なく一生のあいだ常に動き続けている。
拍動を毎分 70 回とし、
心臓が一回収縮したときの拍出量を 70ml とすると、
一分間では 
70×70=4,900ml
の血液が排出される。

単純な計算だが、看護栄養系でよく出るので注意。



心室に注目して心臓の拍動を考える。難問になりやすいので詳しく書く。

筋収縮による圧力の変化と弁の開閉に注目すること!看護栄養系でたまに出る!

新課程でも出題が見られた!




①まず、房室弁(文字通り心房と心室の間にある弁)が開き、心室に血液が流入する。

このとき半月弁(心室と動脈の間にある弁)は閉じている。

血液が流入するので、心室の容積は増加する。

血液が流入している間、心室の内圧はほぼ変化しない。



②房室弁は閉じる。半月弁も依然としている。

ここで、心室に筋肉の収縮による圧力が加わる。

入り口と出口にあたる2つの弁は閉じていいて、心室の容積は変わらない。


(液体は圧力の変化によってほぼ体積変化しない。
注射器の針を閉じている限り、ピストンを押してもシリンダー内の液体の体積を変えることはできない。
ピストンを押すとシリンダー内の液体分子の暴れ具合、つまり圧力は増加する。
逆に、ピストンを引くと、圧力は低下する。
どちらの場合も、液体の出入り口が閉じていればシリンダー内の液体の体積は変わらない。)







③心室内部の血液の圧力が動脈内部の圧力に打ち勝つと、半月弁が開く。

心室の血液は動脈に流れ出ていく。

心室の容積は減少する。

心室に加わる圧力は、血液が抜けている間もほぼかわらない。

高い内圧を持っている心室は、内部の血液を押し出し続ける。



④半月弁が閉じる。房室弁も依然として閉じている。

筋肉が弛緩し、心室の内圧は下がるが、
2つの弁が閉じているので体積は変化しない。




⑤心室の内圧は低くなり続け、心房の血液の圧力に押し負けると、房室弁が開き、

血液が心室に流入する。
(①と同じことが繰り返される)

心室の容積は増加する。

心室の圧力は変わらない。






テストに出ないが、房室弁が閉じるときの音が心音第一音、半月弁が閉じるときの音が心音第二音である。



概略図
(厳密には③や⑤①は等圧変化ではない。)






詳しいまとめ



1.房室弁が開き、心室に血液が急速に流入する。①

 心室の拡張がゆるやかに続く。①

 心房が収縮し、心室に更に血液が流入する。①

房室弁が閉鎖に向かう。①のラスト




2.心筋は収縮を開始し心室内圧は上昇する。②
*ただし、心室には液体が入っているので、体積は変化できない。液体が入っているペットボトルを握るイメージ。






3.半月弁が開き、急激に心室が収縮して心室圧は最大となり一気に血液が吐出される。③の前半
③の途中で内圧が最大になる。






4.心室の緊張が解け、心室圧が低下に転じ、血液の吐出が緩やかになる。③の後半








5.心室圧が動脈圧よりも低下し、半月弁が閉鎖に向かう。③のラスト






6.全ての弁が閉じ、心室圧が低下する。④
*ただし弁が閉じているので、体積は変化しない。



アクティブラーニング課題:人の胎児では、左心房と右心房の壁に穴が空いている。ということは、右心房に流入した、血液が肺を経由せず左心房に流れ込むということである。問題はないか。血液は肺で酸素を受け取れないが、問題はないか?






(もちろん問題ない。胎児は酸素を胎盤を通して母体の赤血球から奪う。胎児は肺でのガス交換は行わない。)