2016年1月19日火曜日

高校生物 第18講 神経系

神経系のリアル授業はこちら

脳の語呂合わせ動画
https://youtu.be/Qy5M6lc9NaY

予習
神経細胞は特徴的な形をしています。
長く伸びた軸索という部分では、興奮が伝導します。伝導は電気的なしくみであり、とてもはやいです。
神経細胞内部は外側に比べてマイナスに電位をもっているのですが、興奮が伝わると、その部分の電位が逆転し、外側がマイナス、内側がプラスに電位をもつようになります。このプラスマイナスが逆転している部分が、軸索を伝わっていくのです。
つぎの神経細胞へは、伝達という仕組みで情報を伝えます。神経伝達物質という物質を分泌し、受け取った次の神経細胞に興奮が生じます。



神経伝達物質にはアセチルコリンやノルアドレナリンがあります。
脊髄反射という言葉を聞いたことがありますか?大脳へ信号を伝える前に、脊髄経由で行動を起こそうとするのです。緊急回避せねばならない事態にすばやく対応できます。
たとえば、熱いものに触れると、手→脊髄→筋肉の収縮という経路で反応が起きます。
いちいち大脳で判断していられない危険なときにこのような「反射」がおこります。

講習
□ テーマ1 : 神経細胞の特徴を押さえよう!
ニューロンの構造を教科書で覚えれば最低点が取れる!特に狙われるのは、ランビエ絞輪!!

神経系は、神経組織で構成され、神経細胞(ニューロン)やグリア細胞がその構成単位となっている。

神経細胞の突起を除く部分を細胞体といい、突起には長い軸索と、短く枝別れの多い樹状突起がある。



 ニューロンや神経繊維は,体の中でみられる場所や伝える情報の違いで分類される。

受容器からの情報を伝えるニューロンを感覚ニューロン,その神経繊維を感覚神経と呼ぶ。

感覚神経は,体の周辺部から頭や脊髄などの中心へ向かう神経繊維(求心性の神経)の1つである。

脳や脊髄が心と仮定して、心を求めて信号を伝える神経だからである。

また,筋肉などを作動させるニューロンを運動ニューロン,その神経繊維を運動神経と呼ぶ。

運動神経,自律神経などの体の周辺部の効果器へと情報を伝える神経繊維を遠心性の神経と呼ぶ。

心から遠ざかる神経だからである。

運動ニューロンと感覚ニューロンの間をつなぐ介在(かいざい)ニューロンは密に集合し,中枢神経系を形成している。

脳を顕微鏡で見ると、ニューロンと、その働きを助ける神経膠細胞(グリア細胞)からなることがわかる。

グリア細胞はニューロンより数が多い。グリア細胞には以下のような種類がある。シュワン細胞以外覚えなくてよい。研究中。
一つ目、末梢神経系にみられるシュワン細胞。
二つ目、中枢神経系で見られるオリゴデンドロサイト。
この二つは、軸索にミエリン鞘を形成する。ミエリン鞘は髄鞘とも呼ばれ、リン脂質に富み、これがある軸索(有髄繊維)では興奮の伝導が速い、跳躍伝導が可能になる。末梢神経系ではシュワン細胞が、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトがミエリン鞘を形成する。
三つ目、中枢神経系で見られるアストロサイト。神経細胞と神経細胞の間の埋めて神経伝達物質の代謝などに関与する。
四つ目、中枢神経系で見られるミクログリア。細胞の死骸や異物を除去する。

(末梢神経系では衛星細胞という細胞もある。この細胞は神経細胞の細胞体などを包んでいる。シュワン細胞とともに外胚葉由来であって、ニューロンを包み込み物質代謝を助ける他、ニューロンが死滅した場合は食作用を発揮して死骸を片付ける)














アクティブラーニング課題:ニューロンの形状から考えて、一般に伝導速度と伝達速度ではどちらが速いか。










(伝導速度の方が速い。だから伝導を行う部分、軸索が長い。
しかし、(かつてゴルジが間違って信じていたように、)神経細胞すべてを軸索でつなぐわけにはいかない。
伝達は必要である。
伝達は、抑制性ニューロンの伝達、シナプスの可塑性など、繊細な情報伝達の制御を担っている。)


テイサックス病は、特定の脂質分子を分解する酵素の不足によって起こる遺伝性神経疾患である。この脂質分子が脳細胞内に、蓄積すると、最悪の場合3歳までに死に至る。この疾患について説明せよ。





(脂質が異常に蓄積することにより神経走行部の形成が妨げられてしまう。)









髄鞘がみられる神経繊維を有髄神経繊維、髄鞘がみられない神経繊維を無髄神経繊維という。

□ テーマ2 : 静止電位と活動電位を説明できるようになろう!







伝導と伝達の用語だけおさえよう!特に、伝導では跳躍伝導、伝達では神経伝達物質・シナプス小胞・シナプス間隙という用語が必ず出る!

静止電位の電位差が減少する変化を脱分極といい、増加する変化を過分極という。

神経細胞を刺激して脱分極させると、小さい刺激では小さな脱分極が、強い刺激では大きな脱分極が起こる。

脱分極がある一定の値を超えて大きくなると、神経細胞は一時的に活動状態となり、膜電位が変化する。

この電位変化を活動電位という。


(1)伝導

ニューロンが興奮すると,隣接部との間に電位差ができる。

すると,興奮部と隣接部との間で活動電流とよばれる微弱な電流が流れ,この電流によって隣接部が次々と刺激されて興奮が伝わる。

これを興奮の伝導という。


神経繊維は髄鞘の有無で有髄神経繊維と無髄神経繊維に大別されるが,興奮の伝わる速さは有髄神経繊維のほうが速い。

その理由は、「髄鞘が電気を通さない絶縁体であるため、興奮がランビエ絞輪をとびとびに伝わる跳躍伝導がおこるから」である。

また、同じ神経繊維ならば,神経繊維の太さが太いほうが伝導速度は速い。

ニューロン1本は全か無かの法則に従う。

これは、1本のニューロンは、活動電位が発生するかしないかの2通りの状態しかもち得ないという意味である。

アクティブラーニング課題:ではなぜ君たちは弱い刺激と強い刺激を区別できるのか。


(強い刺激を受けた場合、ニューロンの活動電位発生の頻度と、興奮するニューロンの数が増えるのである。 ) 

静止時、神経細胞内はマイナス、細胞外はプラスに帯電している。

膜内外の電位差は,細胞膜の内外でイオン分布が異なることによって生じるが,その成因の1つには,ナトリウムポンプが常にエネルギーを用いて細胞膜内から膜外へナトリウムイオンをくみ出しカリウムイオンをくみ入れることによる。


さらに,細胞膜は各イオンに対する透過性が異なっており,ナトリウムイオンは膜を通りにくい。

興奮時、刺激を受けると,大量のナトリウムイオンが流れこみ,細胞膜内外で電位が瞬間的に逆転して内側がプラス,外側がマイナスに帯電する。

やがて膜のはたらきは回復してもとにもどる。
この電位の逆転が伝わっていく現象が伝導である。

活動電位の発生は、ナトリウムチャネルが開き、細胞内にナトリウムイオンがどっと流入してくることによる。


やがてナトリウムチャネルは閉じ(ナトリウムチャネルはしばらく動かず、この時期を不応期という)、カリウムチャネルが開いてカリウムイオンが流出し、電位の逆転は元に戻る。

(2) 伝達

①興奮が軸索末端(神経終末)に達すると、末端にある電位依存性のカルシウムチャネルが開き、Ca2+が細胞内に流入する。

②①により、シナプス小胞の膜が神経終末の細胞膜と融合し、シナプス小胞に包まれていた神経伝達物質シナプス間隙(かんげき)に放出される。

「品川庄司(シナプス小胞)感激(シナプス間隙に神経伝達物質を分泌)」


③神経伝達物質が、次のニューロンや筋繊維の細胞膜上にある受容体に結合する。

この受容体は、神経伝達物質と結合するとチャネルとして働く。

*サリンは、この受容体に結合した神経伝達物質を分解できなくしてしまう猛毒である。受容体に結合した神経伝達物質が分解されない限り、もう2度と伝達は正常に怒らない。


④もし神経伝達物質を受け取った細胞が、開いたチャネルによりNa+が流入すれば、+-が逆転することで活動電位が発生し、負の電荷をもつCl-が流入すれば、さらに細胞内はマイナスに偏り、興奮は抑制されることになる。

□ テーマ3 : 中枢神経
白質・灰白質の関係はよく問われる!脊髄の腹根、背根は必ず選ばせられる!反射弓という用語も超頻出!!大脳のどこがどんな機能を担っているかもよーく出る!特に視覚、随意運動、皮膚感覚の部位だけ資料集で覚えよ!

1 大脳の構造
大脳には皮質(灰白質、細胞体が集中している、中枢)と髄質(白質、神経繊維が集まっている)がある。

「ノー(大脳)!外(外側の皮質)界はく(灰白)さい!(細胞体)」

皮質は新皮質(ヒトは新皮質が非常に発達している!)と古皮質と原皮質にわけられる。

細胞体が集まっているところは灰色っぽい色をしている。

これは灰白質とよばれる。

脳では灰白質は皮質である。

神経繊維のあるところは白く白質とよばれ、大脳の場合は白質は髄質である。

脊髄ではこの逆で、髄質が灰白質、皮質が白質である。
(めちゃめちゃよく出る!)

大脳の新皮質では、視覚・聴覚・皮膚感覚を処理する感覚野、随意運動を制御する運動野、高度な精神活動に関係する連合野が発達している。

大脳の中には、欲求・感情に基づく行動の中枢もあり、辺縁皮質(古皮質・原皮質などを含む。明確な定義はない)とよばれる。

ヒトでは新皮質においやられるように頭部の深部に存在している。辺縁皮質には海馬(医学部で問われる)も含まれる。




脳の他の部分については、機能のキーワードを抑える。

中脳 :姿勢の保持、だ液、瞳孔
「姿勢ダメ(眼→瞳孔)でちゅ(中脳)」

小脳:運動調節、平衡
「笑瓶(小脳)(平衡)運動超切ない(運動調節)」

延髄:涙、だ液、心拍、呼吸
「えーん(延髄)、涙だ(だ液)、心(心拍)呼吸しよう!」





2 反射

神経系の比較的単純な特定の行動を引き起こす現象。

脊髄以外が中枢となる反射もある。

瞳孔反射は中脳が中枢

消化液分泌の反射は延髄が中枢

感覚神経は背根から脊髄に入る。
感覚神経がある背根には、脊髄神経節という小さな膨らみがある。
反射弓(感覚神経→脊髄→運動神経といった反射の経路のこと。U字型、つまり弓のような型の経路だからこう呼ばれる)の問題が出たら
問題文の図に描かれた小さな膨らみを
見つけて、そちらが背根と判断する。

脊髄神経節には、感覚神経を構成する感覚ニューロンの細胞体がある。

運動神経が脊髄からでているところが腹根。

「君の腹筋運動(腹根、運動)に乾杯!(感覚、背根)」


アクティブラーニング課題:反射の意義はなにか。



(危険からすばやく逃れることができる、生命活動に重要な反応を正確にすばやく行うことができる)