生物体を構成する物質には、水、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、無機塩類などがあります。
水は比熱が大きく、生物体内の急激な温度変化を防ぐのに役立ちます。水の働きは必ず問われます。
タンパク質には酵素として働くものや、細胞骨格として働くものなど、多様な種類が存在します。タンパク質はアミノ酸がいくつもつながったものです。
炭水化物はエネルギー源になったり、植物の細胞壁の構成成分になったりします。
脂質はエネルギー源や、細胞膜の成分(細胞膜の主成分は『リン脂質』という脂質にリン酸がくっついたものです)になったりします。
脂質はステロイドホルモン(細胞膜もステロイドホルモンも脂質の仲間なので、なじみが良く、ステロイドホルモンは細胞膜を通過できます。したがってステロイドホルモンの受容体は細胞内にあるのが普通です)という種類のホルモンの成分にもなります。
無機塩類には、骨を作るリン酸カルシウムなどがあります。
地球上には100種類以上の元素があり,そのうち生体を構成する元素の種類は限られていて,約20種類あります。
主要元素としては水素(H),炭素(C),窒素(N),酸素(O)の4元素で,これらで,生体を構成するタンパク質や核酸,脂質,糖質(炭水化物)などの有機物と,水などの無機物の大部分を占めています。
講習
□ テーマ1 : 細胞小器官の配置や移動には、細胞骨格がはたらいている!
★細胞骨格は3種類言えるようになろう!細かい知識は覚えなくてOK!
(1)細胞骨格
細胞が一定の形を作ったり、細胞小器官を正しく配置させたり移動したりする際に働くタンパク質を細胞骨格という!細胞骨格は3種ある!
① アクチンフィラメント⇒筋肉のイメージ!
アクチンフィラメントは細胞の表面に多く、細胞の形を保つ。アクチンというタンパク質が集合したもの。細胞骨格の中でも最も細い。筋収縮(ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込む。すべり説という。)、
細胞質の分裂(分裂溝の形成)、
(動物細胞では、細胞膜のすぐ内側に、アクチンフィラメントとミオシンで構成される束が形成される。
ミオシンがアクチンフィラメントに沿って、ATPのエネルギーを利用して移動すると、束が収縮するようになっている。その結果、細胞がくびれ、細胞が2つに分けられる。
植物細胞では、赤道面に細胞板(ペクチンが集合して形成される)ができて、細胞を2つに仕切る。)
アメーバ運動(仮足の形成、原形質流動のひとつ)、
(細胞の内部構造が移動することを原形質流動という。原形質流動は生きた細胞でしか見られない。)
などに関与する。
③ 中間径フィラメント⇒丈夫なイメージ!
中間径フィラメントは細胞の形や核の形を保つ。少なくとも50種類が確認されている。
それらの多くがある種の細胞にしか存在しない。
デスモソームに使われるケラチン(上皮にある)が有名。
核膜を裏打ちして支える網目状の中間径フィラメントをラミンといい、丈夫な核ラミナをつくる。
ATPを加水分解したエネルギーによって細胞骨格上を運動するタンパク質をモータータンパク質という。アクチンフィラメント上を移動するミオシンや、微小管上を移動するキネシンとダイニンがある。
□ テーマ2 : 生物体を構成する物質は、生物ごとの比率を押さえよう!
★特に「1位が水である理由」と「2位は何か」に注意せよ!!必ず問われる!!
(1)生物体を構成する物質
植物細胞:水>炭水化物>タンパク質>脂質・無機塩類
アクティブラーニング課題:なぜ植物の体に炭水化物が多いのか。
(炭水化物は細胞壁の成分であるセルロースや、細胞内の貯蔵物質として豊富に存在している。)
動物細胞:水>タンパク質>脂質>炭水化物・無機塩類
タンパク質の例は爪や毛のケラチン、軟骨のコラーゲン、酵素など、多数!
細菌:水>タンパク質>核酸
細菌では、細胞体積が小さい分、核酸の割合が大きい!
アクティブラーニング課題:なぜ水が生物に多く含まれているのか。水の有用性について説明せよ。
(温度変化を和らげる(比熱が大きい)、化学反応の場となる、運搬を容易にする、いろいろな反応の基質となる(光合成など)、高分子物質の立体構造を安定化させる(タンパク質の内側に疎水結合を形成させる))
補足
私たちヒトのからだは,主に約20種類の元素で構成されている。ヒトの場合,酸素(O),炭素(C),水素(H),窒素(N)の4種類の元素を合わせた重量は,体重の約96%を占めている。
生重量:O>C>H>N
Hの方が数が多いが、CやOの方が『重い』ので上位に来る。
乾燥重量:C>O>N>H
H2Oがごそっと抜けるので、OとHの順位が下がる。
などに関与する。
アクティブラーニング課題:80度の熱湯で10分処理したオオカナダモ細胞の原形質流動の様子を、熱する前と比べて論じよ。
(原形質流動は停止する。オオカナダモの細胞が死んだからである。)
② 微小管⇒線路のイメージ!
微小管はチューブリンというタンパク質が集合したもの。αチューブリンとβチューブリンが二量体をつくり、それが集まって中空の管をつくっている。細胞骨格の中で最も太い。両端の構造が異なる(プラス端とマイナス端がある。)。
微小管に方向性があることで、細胞内の輸送を決った方向に行える。
細胞小器官を細胞内の持ち場に固定したり、細胞内の物資の移動を導いたりする。
動物細胞では中心体が微小管形成の中心となる。
微小管は細胞分裂の際、染色体の動原体に付着し、染色体を両極へ移動させる『紡錘糸』として働く。
キネシン、ダイニンは微小管の上を動くモータータンパク質(ATPを分解して得たエネルギーを用いて積み荷を微小間に沿って輸送する。微小間が線路ならモータータンパク質は貨物車)である。
「禁断(キネシン、ダイニン)の鞭毛美少女(微小管)」
参考:キネシン、ダイニンは微小管を歩くことができるが、歩くことのできる方向が異なる。微小管には向きがあり、キネシン、ダイニンは決まった向き(互いに逆向き)にしか進めない。
アクティブラーニング課題:微小管に方向性があることは、細胞小器官の配置の制御に必要である。なぜか。
微小管はチューブリンというタンパク質が集合したもの。αチューブリンとβチューブリンが二量体をつくり、それが集まって中空の管をつくっている。細胞骨格の中で最も太い。両端の構造が異なる(プラス端とマイナス端がある。)。
微小管に方向性があることで、細胞内の輸送を決った方向に行える。
細胞小器官を細胞内の持ち場に固定したり、細胞内の物資の移動を導いたりする。
動物細胞では中心体が微小管形成の中心となる。
微小管は細胞分裂の際、染色体の動原体に付着し、染色体を両極へ移動させる『紡錘糸』として働く。
キネシン、ダイニンは微小管の上を動くモータータンパク質(ATPを分解して得たエネルギーを用いて積み荷を微小間に沿って輸送する。微小間が線路ならモータータンパク質は貨物車)である。
「禁断(キネシン、ダイニン)の鞭毛美少女(微小管)」
参考:キネシン、ダイニンは微小管を歩くことができるが、歩くことのできる方向が異なる。微小管には向きがあり、キネシン、ダイニンは決まった向き(互いに逆向き)にしか進めない。
アクティブラーニング課題:微小管に方向性があることは、細胞小器官の配置の制御に必要である。なぜか。
(微小管に方向性があることで、一定の方向に細胞小器官を輸送できる。
キネシンとダイニンは、微小管上を決まった方向にしか動けないと考えられている。ダイニンはマイナス端方向に、キネシンはプラス端方向に動くと考えられている。)
アクティブラーニング課題:がん細胞の、治療に使われるタキソールの働きを推定せよ。
(様々な推定ができたであろう。実際のタキソールの働きはこうである。がんは、細胞分裂が制御できなくなることを特徴とする一連の病気である。タキソールは微小管に結合して安定化させる。細胞分裂には、微小管の伸長、縮小の激しい動きが不可欠である。紡錘糸の実態は微小管である。タキソールはこの微小管を安定化することで細胞分裂の暴走を止める。)
③ 中間径フィラメント⇒丈夫なイメージ!
中間径フィラメントは細胞の形や核の形を保つ。少なくとも50種類が確認されている。
それらの多くがある種の細胞にしか存在しない。
デスモソームに使われるケラチン(上皮にある)が有名。
核膜を裏打ちして支える網目状の中間径フィラメントをラミンといい、丈夫な核ラミナをつくる。
ATPを加水分解したエネルギーによって細胞骨格上を運動するタンパク質をモータータンパク質という。アクチンフィラメント上を移動するミオシンや、微小管上を移動するキネシンとダイニンがある。
□ テーマ2 : 生物体を構成する物質は、生物ごとの比率を押さえよう!
★特に「1位が水である理由」と「2位は何か」に注意せよ!!必ず問われる!!
(1)生物体を構成する物質
植物細胞:水>炭水化物>タンパク質>脂質・無機塩類
アクティブラーニング課題:なぜ植物の体に炭水化物が多いのか。
(炭水化物は細胞壁の成分であるセルロースや、細胞内の貯蔵物質として豊富に存在している。)
動物細胞:水>タンパク質>脂質>炭水化物・無機塩類
タンパク質の例は爪や毛のケラチン、軟骨のコラーゲン、酵素など、多数!
細菌:水>タンパク質>核酸
細菌では、細胞体積が小さい分、核酸の割合が大きい!
アクティブラーニング課題:なぜ水が生物に多く含まれているのか。水の有用性について説明せよ。
(温度変化を和らげる(比熱が大きい)、化学反応の場となる、運搬を容易にする、いろいろな反応の基質となる(光合成など)、高分子物質の立体構造を安定化させる(タンパク質の内側に疎水結合を形成させる))
補足
私たちヒトのからだは,主に約20種類の元素で構成されている。ヒトの場合,酸素(O),炭素(C),水素(H),窒素(N)の4種類の元素を合わせた重量は,体重の約96%を占めている。
生重量:O>C>H>N
Hの方が数が多いが、CやOの方が『重い』ので上位に来る。
乾燥重量:C>O>N>H
H2Oがごそっと抜けるので、OとHの順位が下がる。
ヒトのからだには,カルシウム(Ca)や,リン(P)も含まれ,それぞれ体重の1.5%,1%を占める。
Caは,体内では99%が骨や歯に存在する。また,Pは,核酸やリン脂質を構成する元素である。
ヒトの体内には,硫黄(S),カリウム(K),ナトリウム(Na)など,微量に含まれる元素がある。
Pは核酸を、Sはタンパク質を構成する重要な元素となっている。また,KやNaは,細胞内外の情報伝達などに関与する。
骨はコラーゲンにリン酸カルシウムが沈着してつくられる。
ヒトでは骨格がかなりの重量を占めるので、無機塩類の割合が多くなる。
(CaとMgはトリプシンの阻害剤として働く)
ナトリウムポンプというしくみ(このしくみを行う実体はタンパク質でできた酵素で、正式名称はNa-K-ATPアーゼ)により、細胞内から細胞外へナトリウムイオンが3つ、細胞外から細胞内へカリウムイオンが2つ輸送されている(この輸送はATPのエネルギーを用いる能動輸送である)。このしくみにより、細胞外ではナトリウムイオンが多く、細胞内ではカリウムイオンが多くなっている。
骨はコラーゲンにリン酸カルシウムが沈着してつくられる。
ヒトでは骨格がかなりの重量を占めるので、無機塩類の割合が多くなる。
(CaとMgはトリプシンの阻害剤として働く)
ナトリウムポンプというしくみ(このしくみを行う実体はタンパク質でできた酵素で、正式名称はNa-K-ATPアーゼ)により、細胞内から細胞外へナトリウムイオンが3つ、細胞外から細胞内へカリウムイオンが2つ輸送されている(この輸送はATPのエネルギーを用いる能動輸送である)。このしくみにより、細胞外ではナトリウムイオンが多く、細胞内ではカリウムイオンが多くなっている。