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カエルでもウニと同じように発生がすすみますが、卵割腔が動物極側にできるなど、違いもあります。
神経胚期では、神経管と呼ばれる管が生じ、やがてその管は脳や脊髄になります。
原腸ができてから、神経管ができるのですよ。順番を間違えないようにしてください。
(神経より消化管を先に作るのは当然である!神経系をもち、あれこれ考えることよりも、生物として大切なのは食うことである!進化の過程で、神経よりも、採餌のシステムを先に獲得したはずである!
ヘッケルの反復説によれば、個体発生は系統発生を繰り返す!もしかしたら、消化管と神経の順番も、進化の歴史をなぞっているのかもしれない)
この神経の形成には、誘導という現象がかかわっています。
誘導とは、ある組織が、別の細胞集団に働きかけて、特定の組織への分化を促すことです。
「~になれ!」という命令のようなものです。
発生の過程ではAがBを誘導し、BがCを誘導し、・・というふうに、誘導の連鎖がおきています。
講習
□ テーマ1 : カエルについて、受精卵から原腸胚期までをマスターしよう!
★胞胚腔という名称と、原口が肛門になることは必ず問われる!!
★胞胚腔という名称と、原口が肛門になることは必ず問われる!!
(1)受精卵~胞胚期
① 両生類は端黄卵(弱)である。
卵黄が植物極側で多い!そのためその部分で卵割が活発に起こらず、「植物」という名がついた!
カエルでは4細胞期から不等割がおこり8細胞期になる。
カエルでもウニと同様に卵割腔も生じる。
卵割腔が胞胚腔になるのも同じ。
ただし、カエルでは卵割腔と胞胚腔は動物極側にできる。
植物極には卵黄が多く、卵割しにくいからである!
植物極には卵黄が多く、卵割しにくいからである!
②受精の目印として灰色三日月環があらわれ、そちらが背側になる。
(2)原腸胚期
① 胞胚期を過ぎると、赤道面よりもやや植物極側に近い側に原口が生じ始め、原腸胚期となる。
そして、原口から細胞が内部に陥入して原腸が発達する。
それに伴い、胞胚腔はせばめられていく(やがて胞胚腔はつぶれてなくなってしまう)。
② 両生類では、原腸胚形成の際、原口で円形に卵黄が見える部分がある。
この部分を卵黄プラグ(卵黄栓)という。
卵黄プラグが見えてくると原腸胚後期とよばれる。
③ 原口側には将来肛門ができる。
原腸胚後期になると、外側を取り巻く細胞層が外胚葉になり、原腸に接する背側の壁が中胚葉に、原腸の下側の壁が内胚葉になる。
□ テーマ2 : 神経胚期~尾芽胚期までをマスターしよう!
(1)神経胚期~尾芽胚期
① 原腸胚期が終了すると、背側外胚葉神経板領域の周囲がもりあがる。
このもりあがりを神経しゅうという。
② もりあがりは大きくなり、神経板は溝のようになる。
この溝を神経溝という。
やがて、神経しゅうはくっつき、神経板だった部分は丸まって管状になり、神経管とよばれるようになる。
(③ このとき、神経管と表皮の境目から、神経冠細胞(神経堤細胞)が生じる。神経冠細胞は将来感覚神経や交感神経になる。)
④ 神経胚期をすぎると、胚は前後に伸び、尾の原基(原基とは、~のもとになるもの、の意味)が生じ始める。
この時期を尾芽胚期という。
□ テーマ3 : 尾芽胚期からの器官形成はぜ~ったいにマスターせよ!
★真皮だけは必ず覚えよ!!
① 外胚葉から分化するもの
表皮⇒皮膚の表皮、目の角膜、水晶体
神経管⇒脳、脊髄、目の網膜
網膜の構造を見てみよ!神経があるではないか!神経管から生じるのは当たり前である!
網膜の構造を見てみよ!神経があるではないか!神経管から生じるのは当たり前である!
② 中胚葉から分化するもの
脊索⇒退化する(よくテストに出る!!!)
体節⇒骨、骨格筋、真皮
腎節⇒腎臓、輸尿管
側板⇒心臓、血管、血球、平滑筋、腸間膜(腸をつるして定着させる膜)
③ 内胚葉から分化するもの
消化管(腸管)⇒胃・腸の内壁、肺、えら、肝臓、すい臓
もともと我々は肺を持たない魚だった!消化管の一部がふくらみ、原始的な肺となったと考えられている!内胚葉から肺が生じるのはごく自然なことである!
補足
ある段階で細胞が死ぬように予定されている細胞死をプログラム細胞死という。
プログラム細胞死の多くは、染色体が凝集し、細胞全体が断片化する過程を経る。このような細胞死をアポトーシスという。
指と指の間を見てほしい。もともとその空間に細胞が詰まっていたと聞いて信じられるだろうか。それらの細胞は発生途中、すべてアポトーシスにより死滅した。
指間の細胞のアポトーシス異常により、水鳥などの水かきができた。実際、アポトーシスを起こすことができなくなってしまった患者には、指と指の間に水かきがみられる。
□ テーマ4 : 発生学を支えた過去の研究について知っておこう!
★シュペーマンの実験だけはおさえておこう!
(1)クシクラゲは、二細胞期に2つの細胞に割ると、不完全の2個体が生じる。
このような卵をモザイク卵という。
(2)イモリでは、二細胞期に2つの細胞に割ると、完全の2個体が生じる。
このような卵を調節卵という。
(3)イモリの胚を2つの細胞がどちらも灰色三日月環を含むように2つに分割すると、正常な二個体が生じる。
しかし、灰色三日月環を一方のみが含むように分割すると、灰色三日月環を含む胚のみが正常に発生し、もう一方は背側構造を欠いた未分化な細胞の塊になる。
(4)シュペーマンは、原口背唇を移植することで、二次胚を誘導する実験を行った。
このような卵をモザイク卵という。
(2)イモリでは、二細胞期に2つの細胞に割ると、完全の2個体が生じる。
このような卵を調節卵という。
(3)イモリの胚を2つの細胞がどちらも灰色三日月環を含むように2つに分割すると、正常な二個体が生じる。
しかし、灰色三日月環を一方のみが含むように分割すると、灰色三日月環を含む胚のみが正常に発生し、もう一方は背側構造を欠いた未分化な細胞の塊になる。
(4)シュペーマンは、原口背唇を移植することで、二次胚を誘導する実験を行った。
□ テーマ5 : ショウジョウバエの発生
★母性因子、母性効果遺伝子という用語は必ず覚えよう!
★母性因子、母性効果遺伝子という用語は必ず覚えよう!
キイロショウジョウバエ・・・節足動物門 昆虫綱 双翅目 ショウジョウバエ科(過去入試に出た)
性決定・・・XY型
体細胞の染色体構成・・・2n=8
(1)ショウジョウバエは、複雑な遺伝子操作が可能な、発生研究の重要モデル生物である。
モーガンによる功績が大きい。最も研究が進んでいるモデル生物と言って良い。(飼育が簡単、丈夫で繁殖力が強い)
(2)卵の成長は哺育細胞からの細胞質流入による。
哺育細胞は卵形成時にできる。
卵原細胞は不完全な細胞質分裂を伴った4回の核分裂を行い、16個のたがいに繋がった細胞群を形成する。
このうち15個が哺育細胞となる。
1つのみが卵母細胞になる。
これら16個の細胞は、何百もの濾胞細胞という体細胞で囲まれた卵室に収納されている。
哺育細胞や濾胞細胞が卵母細胞に供給するmRNAやタンパク質が母性因子として軸形成に関与する。
(たとえば、卵形成過程において、Dorsal mRNA は、哺育細胞で合成されて卵母細胞に貯蔵される。その後、翻訳されたDorsalタンパク質は、胚の腹側領域のみで核に移行する。
核内でDorsalタンパク質は転写因子として働き、背腹軸の形成にかかわる。)
9回目の核分裂の時に、4~5個程度の核が胚後極の表層へと到達する。
この5個程度の核は細胞膜に覆われ将来成虫において配偶子を作り出す極細胞となる。
極細胞はやがて始原生殖細胞を形成する。
9回の核分裂が完了すると、それまで細胞内に分散していた核が細胞の表面に移動する。
(4)多核性胞胚はやがて細胞化し、原腸形成により3胚葉を生じる。
細胞膜がくびれこみ、細胞化がはじまる。
細胞質分裂によって多核性が失われた胚を細胞性胞胚という。
核が表層に移動した後の細胞質には卵黄が残され、その後の発生における養分を提供する。
受精は、精子が卵門(ショウジョウバエでは、精子が卵内に入ることのできる場所が1か所に決められている。その場所を卵門という)と呼ばれる開口部から侵入することで起こる。
受精後、ほかの母性因子(卵にあらかじめ入っているmRNAやタンパク質)とともに、卵の前端に局在しているビコイドmRNAの翻訳が始まる。
母性因子をコードする遺伝子を母性効果遺伝子という。
母性因子をコードする遺伝子を母性効果遺伝子という。
ビコイドタンパク質は拡散により前端が濃く後端が薄い濃度勾配を形成する。
そのため、発生が進んで細胞性胞胚になる(細胞の仕切りができる)と、胚の前方にある細胞ほどビコイドタンパク質の濃度が高くなる。
一方、卵の後端には母性因子の一つであるナノスmRNAが局在している。
ナノスmRNAが翻訳されてできるナノスタンパク質は、標的となるRNAに結合する。
ナノスの標的の1つがハンチバックmRNAである。
ナノスはハンチバックmRNAに結合して翻訳を阻害する。
母性因子の一つであるハンチバックmRNAは、卵全体に分布している。
コーダルmRNAも母性因子として卵全体に分布している。
受精後、コーダルmRNAの翻訳が始まるが、その翻訳はビコイドタンパク質に阻害される。
ビコイドタンパク質は転写因子だが、コーダルmRNAにも結合し、その翻訳を阻害する。
このように、いろいろなタンパク質の前後軸に沿った濃度勾配が形成される。
濃度差によって異なる細胞運命を特定化する因子をモルフォゲンという(形作るものの意味)。
(5)ショウジョウバエの体節(動物体の体軸方向に同じ構造が繰り返し並んでいるときの単位構造を体節という)形成の制御
ギャップ遺伝子、ペアルール遺伝子などは、多数の遺伝子の総称であることに注意。
たとえばギャップ遺伝子には9種類の遺伝子が含まれる。
①母親由来のビコイドタンパク質とナノスタンパク質の濃度勾配が前方と後方の方向を決める。
②ハンチバックタンパク質の濃度勾配が形成される。
③ギャップ遺伝子群による領域分割
ギャップ遺伝子は母性効果遺伝子のタンパク質産物の濃度に応答して発現する。
ギャップ遺伝子にコードされた転写因子はペアルール遺伝子の発現を導く。
ギャップ遺伝子の突然変異体では、体節の一部区画が大きく欠失してギャップを生じる(『ギャップ』の語源)。
ギャップ遺伝子は、一定の幅(約3体節分)で発現し、これら遺伝子の発現領域は一部で重なっている。
④ペアルール遺伝子がコードする転写因子が7つの領域を決定。
各々のペアルール遺伝子は胚を約2体節の幅で分画化する。
ペアルール遺伝子の突然変異体は、1体節おきに一部領域が欠失する(『ペア・ルール』の語源)。
ペアルール遺伝子は転写因子をコードし、それらはセグメントポラリティ遺伝子を活性化する。
⑤セグメントポラリティ遺伝子が7つの領域を14のストライプに分割する。
セグメントポラリティ遺伝子の突然変異体は、各体節すべてに異常が出る。
ペアルール遺伝子とセグメントポラリティ遺伝子が作るパターンが重なり合って擬体節が区分化される。
擬体節は、最終的に幼虫あるいは成虫の体の表面にあらわれる体節とは約半体節分位置がずれている。
⑥ホメオティック遺伝子が各ストライプに固有のアイデンティティーを与える。
ギャップ遺伝子、ペアルール遺伝子、セグメントポラリティ遺伝子をあわせて分節遺伝子という。