2016年1月22日金曜日

高校生物基礎発展 第1講 細胞

□ テーマ1 : 細胞について

イギリスのフックがコルクに小さな孔を見つけ、細胞と命名した(実際には細胞壁をみた)。

レーウェンフックは原生動物を発見した。

シュライデンは植物について、シュワンは動物について細胞説を提唱した。

フィルヒョーは「すべての細胞は細胞から生じる」とした。ゴルジがゴルジ体を観察した。


「シュワンワン!犬は動物!」


細胞は生命の基本単位である。30億年以上前に出現した1個の細胞から進化したと考えられている。


すべての細胞はDNAを持ち、その情報に従ってたんぱく質を合成する。


細胞が生きていくのに必要な最小遺伝子数は400以下らしい。生物学者の予想に反してヒトのような生物でもその数多くなく、20000ほどである。(2万という数字はテストに出る!)







□ テーマ2 : 細胞小器官について押さえよう!

(1)核
 
核液が核小体と染色体を浮かべている。低分子のたんぱく質や脂質などを含む。
核膜は同じ性質を持つ膜の二重膜からなる。これを、「同質二重膜からなる」と表現することがある。
核膜孔(RNA等が通る)がある。

   染色体・・・DNAと、ヒストンというタンパク質からなる。


   核小体・・・RNAとタンパク質からなる。



脊椎動物の骨格筋の細胞は多核!


核小体はrRNA合成の場。したがってRNAを多く含む。
核小体は一般に細胞分裂の前期に消失する。
メチルグリーン・ピロニン液で染色すると、DNAは緑色、RNAのある部分、すなわち核小体は赤色に染め分けることが出来る。





核膜がない細胞を原核細胞といい、原核細胞からなる生物を原核生物という。ふつう1~10μmの大きさ。

原核細胞は、核膜、ミトコンドリア、葉緑体、ゴルジ体、小胞体、中心体などほとんどの細胞小器官をもたない!
いくつかの原核生物は、線毛とよばれる毛状の突起物によって基質や他個体に付着する。


原核生物=細菌(根粒菌、大腸菌、乳酸菌、ユレモ、アナベナ、ネンジュモ)と古細菌(超好熱菌、メタン生成菌)
細菌の鞭毛は、真核生物の鞭毛とは構造が異なる。


アナベナ、ユレモ、ネンジュモはシアノバクテリア門である。


アクティブラーニング課題:生物界で自給自足が得意な生物群は何であろう。


(窒素固定を行うシアノバクテリアはもっとも自給能が高い生物の一つであり、成長するために必要なのは光、窒素分子、水、無機塩類のみである。)


葉緑体やミトコンドリアを持たないが、多くの原核生物は光合成や呼吸を行える!


細胞膜、リボソーム(真核生物のものより小型)、細胞壁はある!



原核生物のDNAが二重らせんであるのは変わらない!



原核生物のDNAは核様体に局在している!


アクティブラーニング課題:原核生物において、細胞の表面でエネルギーを生産し、細胞の内部でエネルギーを消費する。このことは原核生物が大きくなれない理由の一つと考えられている。もし大きくなれるとすると、どのような形状になると考えられるか。



(多くの突起を持ち、細胞体積に対する表面積の割合を最大にする)







(2)ミトコンドリアと葉緑体


超定番問題「ミトコンドリアと葉緑体の共通点を述べよ」

答え:核内DNAとは異なる固有のDNAとリボソームをもち、半自律的に増殖する。また内外異質の二重膜からなる構造を持つ。

アクティブラーニング課題:ミトコンドリアや葉緑体が単独培養できたという報告はまだない。なぜか。説明せよ。


(独立して増殖するだけの遺伝子をもっていないから。)


共生説=好気性細菌が共生しミトコンドリア、シアノバクテリアが共生し葉緑体になったという説。マーギュリスが提唱。

「共生したのはまーぐれです(マーギュリス)」

ミトコンドリアはヤヌスグリーンで青緑色に染色される。


ミトコンドリアDNAには、タンパク質を指定する遺伝子のほか、tRNAやrRNAをつくる遺伝子もコードされている。




(3)膜構造を持たない構造体は2つ!


① リボソーム・・・タンパク質合成(翻訳)の場

② 中心体・・・紡錐体の形成やべん毛に関与


リボソームはタンパク質とrRNAからなる!


中心体は2つの中心粒(中心小体)からなる。

電子顕微鏡で見ると、中心粒は9組の微小管(3本で1組になっている)が集まったもの(これを中心粒という)が直交して2つ配置されていることがわかる。
すべての真核生物の鞭毛・繊毛は、この微小管が関係する(9+2構造という構造をとる)。
さらに微小管は体細胞分裂時の紡錐体形成に関係している。
中心体は動物とシダ・コケのように精子をつくる下等植物に存在する。



(4)一重の膜で囲まれた構造体は4つ!


① 小胞体・・・物質の輸送路

② ゴルジ体・・・タンパク質への糖の添加、濃縮、分泌
リボソームが作ったタンパク質は、小胞体を通ってゴルジ体へ運ばれ、修飾されて完成する。
その後、分泌顆粒というかたちで分泌される。
③ 液胞・・・有機酸、糖、無機塩類の貯蔵、浸透圧調節

液胞には細胞液が入っている。花弁の細胞にはアントシアンが含まれる。
液胞は成長した細胞で大きい。

④ リソソーム・・・加水分解酵素を含み、細胞内消化




アクティブラーニング課題:生物や細胞小器官が膜で包まれていることの利点は何か。不利な点は何か。


(有利な点⇒膜上や膜内部に酵素や基質を集め、代謝に最適な環境をつくることができる点。

不利な点⇒膜で包まれることで、細胞小器官の内外への物質の輸送にエネルギーや特別な仕組みが必要になる点。)



補足)

1.動物細胞には見られない細胞小器官⇒細胞壁・葉緑体・発達した液胞
2.光学顕微鏡で観察できないもの⇒リボソーム・小胞体・リソソーム・ミトコンドリア、葉緑体の内部構造、細胞骨格
3.液胞に含まれる色素⇒アントシアン
「駅の方は(液胞)案外(アントシアン)しーんとしてますけどねえ(浸透圧調節)」
4 真核細胞は、核と細胞質からなる。
細胞質には、細胞小器官が存在し、その間は細胞質基質と呼ばれる。
細胞質基質は液状で、水やタンパク質を含んでいる。


□ テーマ3 : 生物界のスケール



インフルエンザウイルス・・・0.1μm

ミトコンドリア・・・2μm


葉緑体・・・5~10μm

ミトコンドリア、葉緑体が数μmのスケールなのは、これらの細胞小器官がもとは原核生物であったからだと考えると覚えやすい。
人の赤血球・・・7~8μm


酵母・・・10μm


酵母・・・10μm





ヒトの卵・・・140μm




ゾウリムシ・・・200μm

ニワトリの卵黄・・・25mm


ヒトの坐骨神経・・・1m





□ テーマ4 : 細胞分画法


細胞粉砕液に遠心力をかけて、細胞小器官を密度や大きさで分けることを細胞分画法という。


細胞小器官の分離できる順序は以下のとおり。覚えよ。


1.核、細胞片


2.葉緑体


3.ミトコンドリア


4.リボソームなどの微細構造


アクティブラーニング課題:細胞分画法は、低温で、等張、あるいはやや高張液中で行う。なぜか。

(低温で行うのは、酵素作用を抑え、酵素による細胞内の構造物の分解を防ぐため。
低張液中では、細胞小器官が吸水し、破裂して壊れてしまうので、等張あるいはやや高張液中で行う。)





□ テーマ5 : 生体膜はリン脂質の二重の層からなる!

(1)リン脂質と生体膜

生体膜とは、細胞膜、ミトコンドリア膜、ゴルジ体膜などの総称。

リン脂質は脂溶性であるので、クロロホルムなどの有機溶媒に溶けだしてしまう。

リン脂質とは、グリセリンに脂肪酸が2分子(疎水性)とリン酸化合物(親水性)が結合した複合脂質のこと!

グリセリンに脂肪酸が3分子結合したものは脂肪(こちらは単純脂質という)という。

動物では皮下脂肪、植物ではアブラナ、ゴマ、トウゴマなどの種子に多く貯蔵される。

リパーゼ・・・脂肪の分解を触媒する酵素。

胆汁・・・アルカリ性で胃液を中和するほか、脂肪を乳化してリパーゼの働きを助ける。消化酵素は含まれない。

その他の脂質には、ステロイドという化学構造(4つの環が融合した炭素骨格)を含むコレステロールがある。

性ホルモンや副腎皮質ホルモン(コルチコイド)はステロイドを含むので、コレステロールはその材料になる。

ステロイドホルモンはペプチドホルモンと違い細胞膜を通過できる。


(3)流動モザイクモデル

リン脂質の二重層にタンパク質が埋め込まれ、タンパク質は流動性があるという細胞膜のモデルを流動モザイクモデルという。

シンガーとニコルソンによって提唱された。


(2)選択的透過性

細胞膜のもつ、溶質によって透過性が異なる性質を選択的透過性という!

水は脂質膜を通過しにくいが、分子が小さいため、ある程度は通過する。


水に対する透過性を上げるにはアクアポリン(水分子を通すチャネル)が必要。


アルコールやエーテルなどの脂質に溶けやすい物質は生体膜(脂質膜)を通過しやすい。


タンパク質やグルコースのような分子の大きな物質は細胞膜を通れない。


Mg+などの無機イオンも、電荷をもっているので、まわりの水分子に引っ張られ、膜を透過できない(透過にはチャネルが必要。例えばKチャネルなど。)。


ビタミンAは脂溶性なので透過できる(ビタミンBは水溶性なので透過できない)。


酸素や二酸化炭素などの非極性小分子は拡散により迅速に膜を透過する!


尿素はゆっくり、拡散により透過する(しだいに透過してくる)。


細胞膜にはホルモンの受容体となるタンパク質も存在する。


ステロイドホルモンは脂溶性であり細胞膜を通過できる(ステロイド⇒ステロイド核をもつ化合物のこと。他にもコレステロールや性ホルモン、コルチコイドなどがステロイドである。性ホルモンやコルチコイドをステロイドホルモンという。チロキシンはステロイドホルモンではないが細胞膜を透過できる。)。


ステロイドホルモンは細胞内に入って受容体と結合する(受容体と複合体を形成し、転写因子になることが多い)。


ペプチドホルモンは細胞膜を透過できない。
したがってペプチドホルモンは細胞膜上の受容体と結合することによって細胞内に情報を伝える。

アクティブラーニング課題:ペプチドホルモンは細胞膜を通過できない。にもかかわらず情報を細胞内に伝える。どのように細胞内に情報が伝わるのか。説明せよ。



(セカンドメッセンジャーがかかわる)



□ テーマ2 : 生体膜を介した輸送の仕組みをマスターしよう!

(1)ポンプ
ポンプ・・・ATPのエネルギーを使って物質輸送を行うしくみ。能動輸送!  
例:ナトリウムポンプナトリウム・カリウム-ATPアーゼというタンパク質がATPのエネルギーを使って細胞内にカリウムイオンを、細胞外にナトリウムイオンを輸送する)



(2)チャネル
チャネル・・・イオンや水の通路。一般的に開閉にはエネルギーは不要!
濃度勾配に従って物質を輸送する(濃度差が解消される方向に輸送する)ので受動輸送!
例:カリウムチャネル(カリウムイオンが通れる)、アクアポリン(水が通れる)

腎臓での水の再吸収にも関与!アクアポリンの数が細胞膜上に多いほど水の透過性が高くなる!

アクアポリンは小胞に埋め込まれており、バソプレシンが分泌されると、小胞が細胞膜と融合し、集合管の細胞膜上に埋め込まれる。


(3) 共役運搬体・・・ナトリウムイオンの濃度勾配を利用してグルコースを濃度差に逆らって輸送する。ナ
トリウムイオンの濃度勾配に蓄えられたエネルギーを用いてグルコースを輸送するので、能動輸送である!
このような輸送を共役輸送という!





アクティブラーニング課題:以下の空欄にはどのような言葉が入るだろうか。想像してみよ。
「生物学のあらゆる問題を解く鍵は、最終的に細胞の中に見つかるに違いない。なぜなら、
(                                                  )」

EB.ウィルソン 1925 Essential細胞生物学より




(どの生物も、その時点で一個の生物であるか、過去のどこかで一個の生物だったからである、が正解だが、入試的には、細胞が生物の構造的、機能的基本単位だからである、だろうか)